地下鉄T線のT駅…始めて訪れる街です。
仕事前のお昼時で…腹ごしらえをしようと散策します。
牛丼屋さんやハンバーグ店さんは…チェーン店しかありません。
そこで小さなラーメン屋さんを発見し…入店します。
カウンターのみの…椅子は10席だけのお店です。
でもお昼時なのに…お客さんは一人も居ません。
しかしテーブルには…帰られたお客さんの器が並んでます。
そしてその器には…全て麺や汁が残してあります。
『何故?』そんな不安を胸に…お店の奥に進みます。
すると厨房に座り込み…残ったラーメンを試食してる店の方が居ます。
お二人は御主人と奥様のようで…中国語で何か話し合ってます。
「なんで残すのかな」とでも言ってるようで…不思議そうな二人です。
僕は『この店はヤバイ出て行くなら今だ』と思い…引き返そうとします。
しかし「いらっしゃい」と日本語で言われ…座ってしまう僕です。
そして僕は薄汚れたメニューから…一番無難な醤油ラーメンを頼みます。
さぁ無言で差し出されたラーメンは…見た目は普通の様です。
まずスープを恐々啜ると…なんと!味がありません。
そしてまさに隠し味と云うように…遅れて醤油の味がチョコッとします。
次に麺を箸で掴むと…ちぢれ麺ではないのに縮れています。
チャーシューは煮込み過ぎて…口に入れると溶ける感じです。
脂が汁の上部に浮かび…卵は独特の匂いがします。
そこに2人組のお客さんが…「煙草吸えるよね」と言って入って来ます。
僕はこのラーメンを食べながら…煙草の煙はW攻撃なので急いで食します。
そして彼らを見ると…実に平然とラーメンやチャーハンを食べてます。
すると3人組ののお客さんが…「煙草吸えるよね」と言って入って来ます。
そこで僕は『この店は…愛煙家専用のラーメン屋さんだ』と理解し店を出ます。
禁煙して3年半の僕のお味と…愛煙家の方々のお味は雲泥の差がありました。
ちなみに空腹だった僕は…完食しました。
そして…このお店の名前は解らないのです。
表にも暖簾にも店内にも…名前がなかったのです。