日々 是 変化ナリ ~ DAYS OF STRUGGLE ~
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昨日 日曜の日経新聞、朝日新聞の書評欄で紹介されたタイミングで、こちらも。


スティグリッツは、言わずと知れたノーベル経済学賞受賞の論客。
教授のここ数年の新聞コラムや小論文をまとめたベースとして、各章アタマに解説がつく。

各章は以下の通り。
Prelude 亀裂の予兆
第1部 アメリカの“偽りの資本主義”
第2部 成長の黄金期をふり返る(個人的回想)
第3部 巨大格差社会の深い闇
第4部 アメリカを最悪の不平等国にしたもの
第5部 信頼の失われた社会

Preludeにはリーマンショック前後の論文が集まっており、なかなかいいアペタイザー(笑)


そして各章に突入するわけだが、まず第1部で、おっ!となるのはスティグリッツによるピケティ解説。
彼の業績を評価しつつ、ピケティの「システム批判」とは違う角度、「政策・税制」を提示し、貧富の差の拡大の理由とする。


続いて登場するのが、この本に何度も登場するキーワード「レントシーキング」

通常、レントとは地代のことだが、最上層が特権を駆使し尽くそうとすること、を言う。
このレントシーキングがなぜ問題か?!
それはアメリカの原稿の政治手法において、国民全体の犠牲のもと、様々な方法で富裕層に支援がなされているのは、このレントシーキングの結果だから!



解りやすい例でいうと、第4部「アメリカを最悪の不平等国にしたもの」のトップにくる論文がその具体例。
(論文=99%に不利な税制)

「ファンドの試算管理担当者の所得は、成功報酬とみなされるため、低税率が適用される」

何だって?!



その他にも、読ませる論文が多く収録されている。
例えば、

・タダでさえ沈む環境にあったデトロイト市が、デリパディブに手を出しさらに崩壊に進んだケース
(第5部 論文=デトロイト破綻からの間違った教訓)

・CEOへのストップオプションなど、インセンティブ第一の文化?批判
(論文=我ら誰も信じざる)

・ジェネリック医薬品を閉め出し、医療費を高騰させる法律

また、日本も ×2度 登場。
第7部の書き下ろし部分と、論文=日本を反面教師ではなく手本とすべし
この日本の部分だけでも 読む価値があると思うので、興味ある向きはまずはそこだけでもトライしてみたらいかがだろうか。



結論:同じ資本主義批判でも、ピケティの「システム批判」とは違う角度、「政策・税制」から一貫して切り込む1冊。
この切れ味、今のクソ熱い盛夏にもってこいの一撃では?(笑)



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