アカデミー賞外国語映画賞受賞という大金星をあげてしまった「おくりびと」が早くもDVDで登場。
というよりは、予想以上のヒット + 全く予想外のアカデミー賞受賞 の結果、まだ劇場公開中なのにDVDリリースのタイミングを迎えてしまったのだった。(ウレシイ誤算?)
今のDVDリリースタイミングが早いからこういうことも起こる。
なんたって公開は去年の9月だから、まだ公開日から半年しかたってない。
評判の映画をこうして家でごろっと観れるなんて最高の連休!
公開当初からこの映画に興味はあったけど、「死」を扱っている映画ということで、そこに躊躇するものがあった。
先日アップした「コルテオ」の感想でもふれたが、そもそも「コルテオ」の意味は「葬列」を意味し、こちらも主題は「死」。
「臨終」のシーンのオープニングはから始まり、その人が昇天するまで描くという点で、サーカスが全体のテーマとして「死」を扱っているという点でかなり挑戦的な演目ではあった。
つい最近に身近で接触した人だとした場合、どうしても微妙な気持ちになってしまう内容ではある。
「コルテオ」を横で観ていたおじいさんが最初から最後まで泣きっぱなしというエピソードを聞いた時、その涙の意味をつい考えてしまった。
このように「死」をテーマに扱ってエンタテイメントにすることは難しい。
最近ネットでも話題になっている「映画芸術」で「おくりびと」がワースト1位になっているのも、おそらく選者の多くが年齢が高めだという点でそう判断されたのではないか。
「キネ旬」(映画雑誌 キネマ旬報)でも、ランキングに反映されてはいないが、ワースト1位にしている人がそれなりにいて、驚くとともに自分の中でも腑に落ちるところはあった。
さて、鑑賞してみて。
真摯に「死」に向き合っているという点で、懸念は全く杞憂に終わった。
この映画では、「死」を描くことによって、徐々に浮き彫りにされてくることがある。
それは「生」がいかに貴重な価値があるものであり、意義があること。
この表現が素晴らしい。
俳優陣も山崎勉をはじめ、文句のつけどころがない。
笹野高史もいつもながら見事。
山形の自然を感じさせ、ロケ地にこの映画のファンが巡っているというのも納得がいく。
今更だが、劇場で観ておけばという気にもなる。
少なくともそう思わせる出来。
久石譲の音楽もこの風景にズバリはまっていて、強い印象を残す。
この映画が海外で評価されたことは、日本映画にとって大きな一歩なのではないだろうか。
日本ならではの感受性が認められたことは、今後の映画も含めた日本文化にいい影響を及ぼしていくような気がする。
一方で、前半でふれたようにこのテーマに嫌悪感を持つ人がいるのも理解できる。
(それでいうと、エンドロールだけはちょっとあざとく感じた)
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