車のナビゲーション、GPS などの位置情報 が当たり前になった現代。
だがそれに頼りすぎる弊害を時々感じる。
・スマホの電池が切れるか何らかの理由で GPS機能 を失った直後から遭難しかかる登山者
・車のナビゲーションの指示に従いすぎて、滅茶苦茶な遠回りルートに気づかず実行してしまう運転者
・待合せや新しい店を訪問する際、GPS などの位置情報 を信じすぎる故に少なくとも当日はたどり着けない人
今何処にいて、どっちに向かうかという感覚・判断は、元々長い長い進化を通して培われた、人間の根源的な力のはず。
これらを車のナビゲーション、GPS などの位置情報 に頼り過ぎることで、簡単に失ってしまうのは、不味くないか?!?
そんな疑問に応えようとする挑戦的な本がコチラ。
原題は、Wayfinding :The Art and science of How We Find and Lose Our Way
章立てから、内容がざっと把握できると思うので以下。
第1章: 最初のウェイファインダーたち
第2章: うろつきまわる権利
第3章: 心の中の地図
第4章: 考える空間
第5章: A地点からB地点へ、そして戻る
第6章: あなたはあなたの道を行き、私は私の道を行く
第7章: 自然を読む
第8章: 道に迷うことの心理学
第9章: 都市の感覚
第10章: 私はここにいるの?
第11章: 道の終わり
当ブログが刮目したのが ×2章。
まずは第3章: 心の中の地図
2つの目新しいワードが登場。
・「格子細胞」(グリッド細胞)
・「場所細胞」
お互いがどう関連し合うのかなどは不明・調査中で、未だ研究中のトピックではある。
この分野がフォーカスされてきたのは21世紀に入ってからとのことだそうなので、正に最新の科学的研究!
この本では脳のそのような 神経科学分析 から分野を飛び越え、ヒトの感覚に立ち返り、人類学、社会学 に向かう。
こういったジャンプも、読書の醍醐味ではないか!?!?
そして 第9章: 都市の感覚
NY、ロンドンなどの都市を比較・検証しながら、ロンドンにフォーカス。
そのフォーカスの仕方がとてもユニーク → ロンドンの地下鉄マップ!
ロンドンの地下鉄マップは実は、実際の距離感を無視して作成されている。
が、そうやって整理された構造に一度慣れてしまうと、手放せなくなるのだ!
当ブログも一度ロンドンで地下鉄移動の末、迷子になったことがあったが、それが理由か!と、もの凄く腑に落ちた(笑)
興味を持たれた方は、まずこの本を本屋で立ち読みし、巻頭のカラー図数ページをご覧いただきたい。
正に当ブログが注目した上記の2つがカラーで登場するので、グッと引き寄せられるはずだ!
【最後に】
先日クルマで都内を大きく周回する機会があった。
自分の「過去の記憶」と「場所の記憶」が強くリンクしていることを実感(汗)
パズルのような行き当たりばったりに近い都内周回だったが、その一筆書きが綺麗にフィニッシュした!
自分の感覚はまだ、テクノロジーによって衰えてはいなさそうなことに、ホッと。
一つだけ残念だったのは、「過去の記憶」は思い出して決して嬉しい出来事ではほとんどなかったこと(笑)
結論:テクノロジーの進化で失われていく人間の基本的能力にフォーカスしたこの本、読書の醍醐味 が詰まってる!