2015年7月26日(日)とうとう最終回、後期三大ソナタ、30、31、32番。(実際には30番の前に「幻想曲 Op.77」が演奏されました)
第1回が2013年6月2日(日)でしたので、2年と少しかかったということになります。
ここ2年というと、私などは、父が亡くなって2年か・・という程度の変化しかなく、あえていうと、40代から50代になったというくらいか・・・。
松本氏はベートーヴェンの一方で、この間にショパンエチュード全曲演奏会を何回も開き、
ほかにももちろん多数の曲を抱え、個人的にもさまざまな変化がおありになったのでは?と推察しております。
あらてめて振り返ってみますと、第1回から私、好きなこと書かせていただいてますけど(汗)、
8回とも会場は同じ、ピアノも同じ(たぶん調律師さんも同じか)、お客さんは多少出入りはあったにしても人数に極端な変化もない、という安定した条件の下、
聴き手としてのコンディションに多少は左右されるとしても、それぞれの回で私なりのショックがあったというのは、やはり全曲聴いた甲斐があったというもの。
32曲のなかには、演奏会でこれでもかというくらい聴く曲、めったに生では聴かない曲、CDすらも少ない曲・・とありますけど、それでも、メジャーな曲集であることには変わりなく、
だいたいスタンダードな線というものはあるように思いますけど、スタンダードな範囲でありながら、「なるほどそこはそうくるのか」という部分あり(そのあたりは途中から始まった演奏会直前公開講座で、思いや経過に接することもできましたが)、
また日頃松本氏の演奏を聴き慣れている者にとっても、新たな音や表情表現の発見があったりで、
ベートーヴェンの生涯をたどる旅であると同時に、松本氏のリアルタイムの生き方と向き合う時間であったとも思います。
こうして終わってみると、「あれがよかった、ここがよかった」という感想は実に瑣末なことのような気がし、
さらに昨日から24時間以上がたってみると、第1番から昨日の32番までが走馬灯のように(?)想起されるように思います。
演奏する方は、あの電話帳のようなソナタ上下巻をすべて暗譜し、短期間のうちに取り込んで表現しなければならないわけですから、
細かいことを積み重ねて昨日を迎え、ほんとに大変なご苦労をされたことと思うのですが、
そういうことをもはやこちらが感じないという点で、2年がかりで、ひとつの巨大な曲を弾かれた・・・という感慨です。
これから生涯をかけてさらにこの32曲を深めていかれることと思いますが、一つの区切りに立ち会うことができたこと、心より感謝しております。