株主は「無限責任」であれば、投資したお金を失うだけではすまない。
投資した会社が、二酸化炭素大量排出により、地球を破壊しようとした事実がはっきりしたら、株主は投資したお金を失うだけでなく、それによる「損害賠償」も負うようにすべきなのだ。
かつては、こうしたことが科学的に立証されなかったので、企業も投資家(株主)も知らんふりをできた。
しかし、現代は、世界中がネットワークで結ばれており、ほぼリアルタイムで「立証」できるようになっている。
しかも、G7の国々は民主主義である。
選挙権を持った大多数の選挙民がそれに「賛成」すればすぐに出来るはずである。
つまり、G7の国々の国民は、お金の正しい使い道をする「投資家」や「株主」を優遇するように法的体系を改めればいいのである。
何がおかしいかと言えば、お金だけ投資してそれを失うだけの「責任」しかないということがおかしいのだ。
お金を投資したということは、例えば、二酸化炭素大量排出により、地球を破壊した企業に加担したのとおなじである。
これは、ウクライナの戦争でも同じことが言える。
戦争により失われる多くの命、つまり戦争は人権を犯しているのに、ロシアのクリミア半島の併合の時でも、G7は今回のような金融制裁をしなかった。
もちろん、ロシアに進出している日米欧の有名企業も、撤退や生産中止をしなかった。
見て見ぬふりをしたのだ。
(もちろん我々も。)
企業(株主)がそれを出来たのは、株主資本主義だからである。
株主が「有限責任」であるからだ。
仮に、「無限責任」となって、クリミア半島を併合されたウクライナ政府が、こうした企業を相手取って「訴訟」を起こして、株主に対して責任を追及できるシステム(法体系)になれば、株主はこうした企業に投資するだろうか?
絶対投資しないだろう。
投資した金額はおろか、法的責任を問われて、投資した金額以上の賠償をしなければならなくなるからだ。
こうした状態を放置してきたのは、G7をはじめとする国家の元首と国民である。
それも「民主主義国家」である。
つまり問題は、株主資本主義の「株主の責任」が「有限責任」であることなのだ。
ウクライナでの戦争が起こってしまったのは、そのシステム(株主資本主義)の「誤謬」(あやまり)をつかれたのである。
人権無視や地球破壊をする企業を放置してはならないのである。
人類の生命を脅かす企業の経営者、株主を。
もちろん、国家や国家元首も。
この誤りを正すことが出来なければ、人類が地球上にこれ以上存続することは出来ないであろう。
しかし、わたしはこの絶望の淵にあっても、希望は失っていない。
何が誤りだったかはっきりと分かったからである。
この記事が生まれたのは、朝日新聞3月21日(月)の8面の
「みんなの資本主義」 経済部 江渕崇さんの記事を読んだからである。
感謝申し上げる。
この記事の中の、つぎの引用した赤太字の部分にハッとなったからである。
「ただ、米国での動きが見せかけであっても、『資本主義が本来の姿に向かう重要な一歩』と岩井克人・東京大学名誉教授(経済理論)は希望を抱く。会社をめぐる研究を重ねてきた岩井氏は『有限責任の株主は、会社資産を全て保有してはいない。存続できる利潤さえ確保すれば、会社の目的は多様でいい。それが資本主義の強みだ』と説く。」
当たり前だが、もし、株主の責任が「有限責任」でなく「無限責任」であるならば、地球をも保有していると思いあがった馬鹿げた会社の経営者や株主が出てくることは絶対あり得ないからである。
経営者ばかりでなく株主も地球を破壊したことや、人命を奪ったことの「賠償責任」を問われるからである。
民主主義では、国民は国民や世界の人々のためにならない国家元首をクビに出来るが、企業の経営者をクビにすることは今出来ない。
しかし、株主の「有限責任」が「無限責任」となれば、株主でなく国民が法的にそうした経営者や株主に責任を負わすことが出来るのだ。
G7の国々の政府の元首と国民は真っ先にこの改革に取り組むべきである。
人類の存続のために。
そうした改革をしないG7の元首を、真っ先にわれわれ国民は「クビ」にしなければならない。