彩雲の
すき間を縫って
月離陸
子梨
さいうんの sa i u n no
すきまをぬって su ki ma o nu tte
つきりりく tsu ki ri ri ku
妻と買い物を終えて、スーパーの屋上に上ると、満月前の月が、まさに地球から飛び立とうとしている。
満月前の月は、左半分が少し欠けている。
その為、月の山の影が浮き上がり、月が宇宙に浮かんでいる。
手に届きそうな近さに感じられる。
しかも、我が家の周りは、丘の上の台地で低層住宅が多いので、空を遮る高い建物がない。
比較的、都心に近いにもかかわらず。
だから、一層月が浮き上がって、まるで地球から飛び立とうとしているように見える。
こんな月を見たことが初めてだったので、句にした。
月が余りに近く、大きく感じた。
まるで、月は地球の兄弟ではないか?
と思った時、月の成因についてある説を思い出した。
月は、地球に巨大な彗星又は小惑星が衝突して、地球が引きちぎられて出来たという説だ。
確かに、この説は説得力がある。
なぜなら、この説なら月がいつも同じ側を地球に見せていることに納得出来るからだ。
柔らかい大福かマシュマロを想像してもらいたい。
両手で引きちぎるとどうなるだろう?
引きちぎった部分が伸びる。
しかし、伸びた部分は引きちぎった両手の位置が変わらなければ、そのまま伸びている。
しかし、実際の地球は卵のように中身は液体と考えてよい。
液体なら、国際宇宙ステーションでの実験映像のように、水は分離するとすぐ球形になって、無重力空間に浮かぶ。
だから、巨大な彗星ないしは、小惑星が地球に衝突して、地殻(例えると卵の殻)を除いてほぼ液体の地球が引きちぎられて、地球と月に分離して、その後双方とも球形になったという説はよく理解出来る。
おそらく、月は地球から引きちぎられて、球体になって、地球と月の共通重心を相互に回転しつつ、太陽のまわりを公転しているのだ。
まるで、ディズニーランドにあるアミューズメント「コーヒーカップ」のように。
自分でこの句を作って、自分で驚いている。
実際、月は地球から分離つまり「離陸」したのに間違い無いと。
月の大きさ、立派さ、宇宙に浮いている姿を、どうやって俳句(詩)に表現して伝えたらいいのかと考えて「離陸」にしたのに、科学の真理に迫るとは?
和の国へいらしたら、ぜひ月をご覧下さい。
建物が低いので、まるで、月が地球から「離陸」するように見えますよ!
「かぐや姫」の物語がうまれるのもむべかなです。
特に、満月前後の月の出は一見の価値があります。