<日本の女性の「美しい姿勢・立ち居振る舞い・健康」を形作る草履や下駄、靴を脱いで上がるなど、和の国の生活習慣のすすめ>
写真は能を演じる男性である。鼻緒のついた草履を履いている。
小石川後楽園にて。
鼻緒にて
姿勢の歪み
取り綺麗
はなおにて ha na o ni te
しせいのゆがみ shi se i no yu ga mi
とりきれい to ri ki re i
なぜ、日本の和服姿の女性は、背筋が伸びた美しい姿勢をしているのか、美しい立ち居振る舞いをするのか、ずっと考えていた。
7月20日、その答えが見つかった。
日本テレビの「世界一受けたい授業」で、佐藤義人さんが授業のオープニングでサンダルを履かれている理由を述べておられたことがその答えだったのだ。
その答えは、これから先をお読みいただければ分かるので、ここでは詳しく言わない。
だが、「なぜ日本の和服姿の女性は、美しい姿勢をしているのか、立ち居振る舞いをするのか」という私の問いに対する答えを、私なりに簡潔にまとめると、和の国の生活習慣に答えがあった。
詳しく述べる。
和の国では、外出から家に戻ると靴を脱いで、住居に上がる。
住居内では、靴下か裸足である。
まれに足袋の方もいらっしゃるが。
つまり、多くの家では住居内では、足の指を使って足裏全体を使って歩く。
具体的には、床や畳を足指で無意識にグリップして歩いている。
フジテレビの「サザエさん」をご覧いただくとよく分かる。
着物をよく着る日本の女性は、なおさらである。
家の外でも、下駄(浴衣を着るとき)や草履(着物を着るとき)を使って、足の親指とその他の指でしっかりと鼻緒をグリップして、草履や下駄を脱げないようにするとともに、草履や下駄の面を足の指を使って、しっかり、グリップしながら歩いている。
冒頭の写真のように。
以下に再掲する。
つまり、靴では指先が使えない状態であることが多いのに、下駄や草履では靴のようにカバーがないので、サイズにゆとりがあり、しっかりしかも自由に、足指を使うことができる。
このことが、立ち姿勢のゆがみ、つまり「身体のゆがみ」をとるのである。
人の身体は足裏と、足の指先の両方をつかって、初めて正しい美しい姿勢となるよう支えられるのである。
佐藤義人さんの言われることを、私はこう理解した。
着物をよく召される日本の女性の姿勢が、美しいわけである。
家の中でも、家の外でも立ち姿勢のゆがみ、つまり「身体のゆがみ」がなくなるように、歩いているからである。
反対に、合わない靴を履いて、足指を使わないあるいは使えない歩き方をすると、身体がゆがんで猫背になったりする。
姿勢を矯正する機会がなくなって。
このことは、自分の体験から言っても間違いない。
以前は軽い腰痛だったが、靴を履かない時間が多くなり、サンダルを履く時間が多くなったため、まったく腰痛がなくなった。
自然に足指を使う機会が増えて、悪い姿勢が矯正されてきたのだ。
つまり、足指は単に美しい姿勢に関係していただけでなく、身体の痛みにも関係しているのだ。
さきほど、「着物をよく召される日本の女性の姿勢が美しいわけである。家の中でも、家の外でも立ち姿勢のゆがみがなくなるように、歩いているからである。」と述べた。
正確に言うと、女性だけではない。
男性もそうである。
次の写真がその証拠だ。
もう一つ。
7月20日の千葉県の地方紙「千葉日報」の記事と写真を見ていて、驚いた。
それは、「日本野球、最古の記録か?」
という記事である。
日本に野球が伝えられたとする1872年に、日本人が米国で野球の試合をすでにおこなっていたという新聞記事が、複数発見されたということである。
私が驚いたのは、日米の得点17:18もさることながら、日本チームの写真である。
記事によると日本チームは「ロイヤル江戸劇団」という軽業師の一団であることを割り引いても、写真に写っている男女、子供から大人まで全員和服(着物)姿だが、全員、背筋がピンとして、ものすごく姿勢がいい。
もちろん、男性もだ。
背筋が伸びて実に美しい。
男性の方が身長がある分、より美しく立派に見えるのだ。
草履や下駄を普段から履いているからだろう。
草履や下駄には、鼻緒があって、足指を普段から使って鼻緒をグリップすることで、足指を使って身体を支えたり、歩行したりすることで、自然に姿勢がよくなったと考えられる。
残念ですが、記事や「写真」は転載できないので、図書館などでご確認いただきたい。
YouTubeなどでも明治時代の着物姿の男女の写真を見ると、やはり姿勢がよいことが分かる。
なので、和の国へいらっしゃる方々には、外では和服(浴衣や着物)を召され、草履ないしは下駄を履かれ、家の中では和風の生活をされることを強くおすすめする。
美しい姿勢だけでなく、腰痛など身体の姿勢の不具合による痛みを避けられ、健康な身体でいられるからだ。
具体的には、
(1) 玄関で靴を脱ぎ、住居の中ではできるだけ、足裏全体特に指先まで使った歩行を心がける。畳はクッション性が高く、身体への負担が軽減されて、身体によい。
(2) 家の外でも足裏全体を使った歩行を心がける。特に着物であれば、足袋をはいて草履を履く。このことで足の指を使った足裏全体の歩行ができ、美しい姿勢が自然に形作られる。足指の強さが得られるのと同時に。また、足袋をはけば足の汚れ防止にもなる。
(3) 浴衣であれば、下駄を履く。素足が気持ちいいので、手軽に温泉へ行ったり、銭湯へ行ったりできる。そのまま、縁日や盆踊り、夜店、花火大会に参加でき、自然に正しい綺麗な姿勢が身につく。
実際、YouTubeを見ると海外から来られた方が、レンタル着物や浴衣に着替えて京都の町を歩く姿は、まるで別人である。
洋服の時とは比較にならないほど、姿勢がよくしかも美しくなっている。
次のYouTubeの映像が一つの例である。
Day Two Exploring Kyoto in Kimonos and Taking the Shinkansen Train to Tokyo
(4) 草履や下駄でなくもっと手軽に姿勢がよくなりたければ、鼻緒付きのサンダルがおすすめである。鼻緒がついているので、容易に足指で鼻緒や地面をグリップする正しい歩き方と姿勢を手に入れることができる。このサンダルは是非お土産にしていただきたい。あなたは健康と美まで和の国へいらして、手に入れることができるのだから。
自分自身のために。
サンダルならどこでも使えるし。
ただし、鼻緒は、草履も下駄もサンダルも、しっかりとした純日本製のものを和の国でお求めになることを強くおすすめする。そして、専門店で確実に足にフィットするよう鼻緒等の調整を受けてほしい。簡単に切れてしまうものでは、あなたのよい姿勢と健康と美を形作ることはできないから。また、フィットしないと逆に足を痛めるので。
たったこれだけで、美しい立ち姿、立ち居振る舞い、健康な身体が手に入るのであれば、こんなに安い「お土産」はない。
あなたが、健康で美しい立ち居振る舞いを身につけたいのであれば、和風の生活を強くおすすめします。
和服だけでなく、いつもの洋服も完璧に美しく着こなすことができるでしょう。
足指こそ、あなたの身体のすべてを支えている基礎なのです。
和の国の人々は、古くから草履や下駄を履いて、その美しい姿勢を身につけたのです。
もちろん、美しい着物や浴衣を着て、さらに美しくなったのです。
そうした、すべての基礎は、下駄・草履を履いて、靴も家に上がるときは脱ぐという和風の生活が形作ったのです。
足指を鍛えることで。
日本の美しい和服姿の女性の「美しい立ち姿」と「立ち居振る舞い」と「健康」を支えていたのは、足指にあったのです。
あなたが、和の国で和風の生活をされれば、美しい姿勢と健康を同時に手に入れられるでしょう。
その上、浴衣や着物や召されれば、「美しさ」まで手に入れられるでしょう。
間違いなく。
和の国の女性と同じように。
(^_^)
補足
本文中で、詳しく述べなかったが、「姿勢の歪み」は全身の筋肉をボディースーツのように覆っている「筋膜」の歪みによって起こっていることが、最近の研究によって明らかになってきている。
そうした筋膜の歪みは、腰痛だけでなく肩の痛みや首の痛みなど様々な痛みと関係していることも判明している。
様々な痛みに対する対処法は、「世界一受けたい授業」のホームページにあるので、番組を見逃された方は、一度ご覧いただくとよいかもしれない。
科学的な解明の手段を持たなかった、いにしえの和の国の人々の、実体験に基づいた健康的で効果のある歩行手段と生活習慣の選択に、感謝するほかない。