歪曲される情報を見る。

日本を馬鹿(馬鹿文系)が叩く、だが、それはどの程度正しいのか?非常に疑問である。

おや?結構受けている?罪刑非法廷主義。

2015年12月15日 23時42分11秒 | 経団連の黙示録

うほほ!結構見てくれていますね?まぁその1とその2は結構な滑り出しで、久々のマシな小説でした。

東野圭吾氏ほどの才能は無いのですが、あれは凄いですね。量産も凄い。文章は読んでいないけど、ドラマはバッチリ良いです。

ガリレオは最高ですね。次が見たいのですが、どうだろか?福山雅治が掛け値なしにカッコいいと言えるのは、ガリレオですね。正直完敗です。乾杯です。

ただ麒麟は今一でした。私の領域に近いから。何か復讐とか、そんな糞みたいなものしかやっておらず、ガリレオのような爽快感が無いですね。

あと、ガリレオでは柴崎コウが良いのですが、二回目は違ったでしょう?柴崎コウは、作詞の才能はある意味中島みゆきを超えています。

私は、中島みゆきの世界で芸能界を見ているといっても過言じゃなく、中島みゆきが一番好きです。頭抜けて好きでして、歌が上手かった頃の中島みゆきの歌が好きです。

ミーシャが歌が上手いですが、中島みゆきとは違って、音色が少ない。

中島みゆきは、少女、少年、アンちゃん、おねぇちゃん、姉御、そして、神様か悪魔の歌が歌える。「5つの頃」は女神様、「時刻表」は少年、「ファイト」は少女、「世情」は仏様。「友情」は悪魔?

私は中島みゆきの時間を同時に経験したと言う点では恵まれた人生だったのでしょう。そういえば「伝われ愛」はどこかに行ったな?好きだったのに。

さて、今日は食中りで、酷い目にあっていました。反省を込めて、色々考えていたら午後3時頃に思いついたのが新しい小説で2時間で構成完了。書き始めは17時ぐらいです。

久々、感情を込めて書ける話でして、ミステリーなんぞ大体人殺せば終わりみたいな、感じではなく、トリックよりも思いが前に出ていると思っているけど、どうでしょう?

結構PVが上がっているので盛り上がっていますが腹は壊れたままです。死んでいたら、もうアップできないでしょう。そんな人生かもしんない。阿部税理士のぼやきは、私の現在です。

皆さん、とりあえず、腐ったものは食わない。私は今年3回目の食中りです。そろそろ死ぬでしょう。それも人生です。バイバイ。


とりあえず一日で形をつけました。小説。罪刑非法廷主義。

2015年12月15日 23時21分22秒 | 経団連の黙示録

マシなものが書ける事が分かってくれたでしょうか?

この罪刑非法廷主義はLycos時代にHPとして小説を載せたのが最初です。

時は1999年12月。失業中だったので暇がありまして、思い付きを30秒で構成して200ページフルに3日で書いて、体裁整えを合わせると一週間で書き上げたものでした。

この罪刑非法廷主義は主人公磯川梧郎ともう一人三宅英資と言う人が出てきます。三宅英資は片山右京に相当するようなものですが、問題は日にちです。

1999年には相棒はありませんでした。あれを見た時には驚いたものです。

また私の書いてHPに乗せた「呪詛現在完了形」は「告白」と同じで、公然と虐めをした連中クラス全体に対する復讐のストーリーで、これもまた、2000年頃に書いたので「告白」を見てびっくりしました。

ただ、復讐の手法は私の方が上でしょう。

実は、この他にも「架空の隣人」と言う奴が盛り上げが不十分で途中が無い形であるのですがミステリーとしては、何処の誰も書いていないから、その内アップします。神様が降りてくれば。

実は、インスピレーションと言う奴を1999年にはビンビン来ていて、それからすると、今回の小説は、そうでもない感じですが、とりあえず、罪刑非法廷主義は生きている感じです。

他にも「命の現場」シリーズのオマージュの復讐ものを書きまして、それもHPには載せました。海道尊さんが出る前は結構医療ミステリーも考えましたが、海道さんの方が、感じが出ています。あの厚生省の官僚は、荒っぽい三宅そのもので、そう言う点で、似た人が居るもんだと思いました。

元々は、って言うかLycosのHPの中には書いていたのですが、この磯川・三宅シリーズは「踊る大走査線」のオマージュで、最初、室井も青島も居ました。完全なパクリでしたが、何とかオリジナルストーリーが降って来まして、室井、青島なしで行きました。

まぁ基本的にA4で22ページですが、その3は20000字以内に入らなかったので、この調子で色々描写を含めると、A4で40ページぐらいにはなるし、もっと入れる話とかも入っていないし、そんな点では、まぁまた変わるかもしれないんですが、実際罪刑非法廷主義も体裁を整えている時に大変動していまして、その辺では安定性の無さには定評があります。

小説なんてもの自分が書くとは思っていなかったのですが、実は小学校5年生ぐらいからずっとストーリーは考えていました。実は別のブログでも小説を載せています。

そっちは、江戸時代のそれで、まぁ見れば分かるでしょうが、似たような話です。

って事で、また神様が降りてくるのを待っています。所詮その程度の物書きです。。。。。。。。。。。。。。。。。。


罪刑非法廷主義(最新刊)「金で全てを失った男(陳腐な題名)」その4(終)

2015年12月15日 22時54分08秒 | 経団連の黙示録

3-3.だいじなもの

 

磯川の携帯に電話がかかった。

「はい…磯川ですが…」

「畜生!この亡霊め!」

「はっ?」

「墓を暴いた仕返しのつもり!この糞!」

「何ですか?」

「高 木の糞に教えてやったわ!見つかったの!レッドブックの一人を。奇しくも冒四証券の奴だったわ。古泉小太郎は、2000年のインターネットバブルと 2008年のリーマンショックで多額の負債を抱えていたの…。それの返済を迫られていたの。そして、それをやっていたのが冒四証券の馬越ってクズなの。冒 四証券は榎本エターナルマンションの出資者の一つで、マンションへの投資で、出資額の比率からすると異常な利益を計上していた。」

「それが…。」

「そう、狙っていたのは、それ…」

「でも…、それはマンション下に…」

「馬鹿!信じるな!疑え!馬鹿!大事なものは隠すの?見つけたくないものは、何処に隠す?」

「ええ!」

「死体は、どうする?シェリフ」

「シェリフ!死体は、別の死体の下に埋める」

「正解!物証は確認したんだけど、墓暴いたでしょう?どうも復讐らしいの…、自分の悪行を棚に上げてよ!私は今交通事故で鞭打ち確実。くそー!この亡霊め!後は高木の糞に任せるわ!」

「何で私に…」

「おべっかは役に立つものね…。じゃぁバイバイ!」

一方的に電話は切れた。

「あの馬鹿、漫画は読んでいたみたいね…」

「なんですかぁ~永田さん…痛いですよぉ~、気分も最低…」

「榎本のやろう!うちの実家を知らないみたいね!神主なのよ!」

「だからぁ~」

「祓ってやる!その前に税金を払え!」

「そういうオチですか?」

 

 最後の鍵は、冒四証券の馬越の死体は妻康子の墓の中に隠されていたのだ。

 この手の隠し方は税務署ではよくある内容だった。今回は、榎本エターナルマンションの仕掛けに目を奪われたためにNoチェックだったのを税務署が見つけ出したのだ。

 そして分かる。2012年11月19日冒四証券の馬越が隠されている17回忌を終えて、これで良いのかと榎本武は悩んだ挙句、遺言を書き換えたのだが、その狭山弁護士が死亡した。殺されたかどうか?その当時榎本武氏は知らない。ただ、それが決定的な鍵となった。

 そして失踪したのである。

 

 その後、古泉小太郎は、逮捕される前に飛び降り自殺。

 妻の敦子は、その後、狭山弁護士の車を追いかけていた事を自供した。

これにより、敦子の相続権利は消失する筈だった。

 だが、その後狭山弁護士の事件は妻の敦子が人格性乖離障害を発症して、精神病院へ送られる事となった。

  子供の居なかった古泉夫妻の遺産だが、狭山弁護士の一件を自白した敦子容疑者の発言の信憑性が問われ不問となった。だが、当の敦子の相続権は確保されたも のの、もう一方で、非治産者を認定され、遺産は故榎本武氏の阿部税理士が管理を依頼され、それを取り仕切る事となった。

 そして阿部弁護士は、運用益は、今後、痴呆症で身元不明の人間を引き受けたケアハウスなどの補助に宛てる事をNPOなどと共に認めた。また敦子容疑者の完治或いは死亡によって、その遺産の扱いが詮議されるだろう。

 唯一、金以外のものが残った。

 それは「愛情」「共感」であろう。

 

「榎本さんの最後の言葉は、非常に意味深でしたね…」

「何故?」

「あれは、多分、ケアハウスの人に何か残さないといけないと思ったんでしょう。特に本田さんに。でも、それをやると薮蛇になる。娘みたいに。」

「そうですね…、だから、このままが良いと…。」

「結局何も持たない榎本さんを一生懸命真摯にケアしたのがアヒルのハウスの人達で、そこには金持ち榎本武は居なかった。彼は呆けていたのでしょうか?嬉しさに愛情に喜んでいただけなのかもしれない。そう言う意味で彼は幸せです。」

「お金お持ちですか?」

「彼ほどじゃないけど、持っています。彼のお陰であり彼の所為であります。私は、この意識ある限り幸せじゃない。」

「じゃぁ呆けますか?」

「そうも行かないでしょう?私は管財人の一人として、義務があります。」

「榎本武巡査部長か…、退任前の昇進を拒否したんですよね…。」

「彼は一巡査部長である事を誇りとしていました。」

「ならば、右翼って言われるかもしれないけど、敬礼で弔いますか?」

「それは良いですね。一般人ですが私も右翼になりましょう。」

「では、榎本武巡査部長殿に哀悼の意を込めて敬礼!」

三人のおっさんが何をしているのだろうか?

分からないだろう。

大人じゃないと分からない事だから。


罪刑非法廷主義(最新刊)「金で全てを失った男(陳腐な題名)」その3

2015年12月15日 22時51分59秒 | 経団連の黙示録

第三章は急いで書いているので、完全版は後日。ストーリーだけを載せます。

 

第三章 追い詰められるもの

 

3-1.絶滅危惧種

「そうです。今年申告で出した分が全てです。逆に今になって、こんなものがありましたって方が変でしょう?」

攻防は阿部氏の個人事務所で行われた。

「ああ、確認です。毎度毎度の再確認再々確認です。」

「警察と同じなんですね」

「我々も必死なんですよ。自分の身銭にもならない金を追い捲る。職務に忠実なだけです。」

「何かは無いんですか?」

「逆に何かあるんですか?私が知る限り榎本さんの持っているものは全部貴方達が把握している。私の何処を探って隠し口座とか地下銀行との取引があるって言うんですか?」

「毎度脱税者は『まさか』を用意してくれます。我々は、その連中の『狡賢い想像力』の上を行く義務があるんです。」

「ああ…、榎本さんも同じだったんでしょうね?何か、分かる気がします。」

「論点をずらさないで。」

「私は彼が持っていた物を思い出そうとしていますが、失ってばかりと思います。」

「では失踪1年前に完成したマンションはどうかしら?そこの一室、貴方の名義ですよね?」

「そうです。あれも申告はしています。一度、入って全部浚って見ては?利益分の計上は申告しています。どう見ても想定の範囲内じゃないですか?」

「おかしいのはソコ。妙に建設資材がかかり過ぎじゃないかと?」

「では杭打ちをケチる方がマシだと仰るのですか?」

「妙にかかりすぎているでも、キチンと価格が出ている。」

「嘘を前提に考えるからそうです。彼は徹底的に設計を見直して、以前の建築偽装問題だけは起こしたくないと…、常々それだけでした。経費が高いのもセカンドオピニオンに設計事務所を梯子して確認したぐらいです。価格が高いのは当たり前です。それとも、どっかで抜いているとでも?」

「分かりました。今日はここまでで終わりましょう。」

「もう、何もありませんよ。」

 阿部氏は、本当に疲れ果てた様子だった。

「何でこういう風になったのか?」

 阿部氏は中島みゆきの歌が好きである。だが最近「つよがりはよせよ」が聞けなくなっていた。

 歌詞は歌う。

「何時から、こんな風になったのだろう?」

 その問いは、この老い耄れ二人の共通の台詞だった。

「趣味が合いますね?」

 突然の声に驚いた。

「誰だね?失礼じゃないか?あきる野署か?」

 阿部氏が怒りを露にした。

「何回も呼んだんですが、回答が無いもので…。一応、不法侵入は申し立てられますが?」

 須藤が、権利を伝えた。

「日本でミランダ警告をする人間が居たんだ…、ハハハ」

「ミランダ?」

疑問を隠さない須藤に

「お前レッドブル見てないの?シュワルツネッガーの」

「見てないですね。」

「ミランダ警告。警察は逮捕する際に被疑者の権利を読み上げ、それを理解しないと逮捕行為自身が無効になる。これをミランダ警告と呼ぶんだよ。」

「ミランダちゃんが作ったの?」

「ミランダさんが提出して可決したの!」

「ヒルストリートブルースでは、このミランダ警告を英語でやってスペイン語しか知らない筈のヒスパニックを逮捕した為に逮捕無効になったストーリーがあったね?」

「あれ?ダニエル・トラバンティー好きですか?」

「君はベロニカ・ハンメルが好きそうだがね?」

「何の話ですか?」

「大人なら知っている話だよ。」

「君は、どんなタイプなのかい?刑事さん?」

「私は…、そのベロニカ・ハンメルって言うかジョイス・ダベンポートっぽいですね。勝てもしない論法を心の中では振り翳しているけど…。」

「ううん、今日は嫌な連中ばかりだったけど、最後はマシかな?」

「我々はマシですか?」

「ところで『レッドブック』って知っていますか?」

「…、嫌な事を聞くねぇ~。…知っているよ。金融に関わっているものは全部そうさ…。でもね。レッドブックには絶滅危惧種と言う意味もある。私はその類らしい。」

「ニュータイプには分からないと言う事ですか?」

「あの税務官なんかのね…、でも君達は聞かないのかい?何か無いのか?」

「聞いたら言ってくれますか?」

「どこかで聞いた台詞だね?」

「持っているものを数えるより、無いものを探す方が良いんじゃないかな?」

「それは身体障害者の考え方と逆ですね。無いものを数えるより、あるものを数える…。」

「君は哲学者だったかね?」

「工学部でした。」

「じゃぁ鉄学かね?」

「まぁ大学では一生懸命やったけど何かしている程度でした。何かしていた。それが何になったのか?」

「何にもならなかった…。歳をとると、こんな思いが先立って…。今が終点と思っているからだろう。或いは一駅前ぐらいだって…。否定的というかもしれないが実感と言うのはそういうものだよ。」

「それは…」

磯川は、中村三郎と呼ばれていた頃の榎本武の最後の言葉を聞かせた。

「そんな事を?嘘をついていたのかな?痴呆症って…。いや、痴呆症ってのは、救いかもしれない。分かっている理解しているだけでは、とてもやっていけない時がある。」

「何とも言えません。彼の発言はほぼ全てが録画されていますが、私が知っている部分だけでも十分痴呆と思われてもおかしくないと思います。」

「3年前の葬儀の時…、そう…、そうだったな…、あいつ、何か変だった…何か…」

「失踪する前日ですね?」

「そう…、金の使い道が無いからって、墓だけは立派にしたんだけど、それはかえって、無常を感じさせたのかな?」

 

3-2.2枚の設計図

 

「これは?」

瑛子が尋ねた。

「セカンドオピニオンと言っていた奴の正体だよ。」

「これは?」

「大変興味があるだろうが、もっと興味を持たせてやる。この情報は国交省には無かった。」

「無届って事?何故?」

「無駄だと言っても関心を持たざるを得ない…違うか?」

「腹が立つわね!」

「でも、この図面だけなんだ。後は証言あるのみだよ。」

 

「デカイですねぇ~。これが持ち物ですか?」

「一部だよ一部…。全部持っているわけ無いだろう!総額で資産にして500億円はあるものだ。」

「あれ?あれは何だ?何であんなものを?」

磯川が気付いた。

「あった。余計なもの!」

「どうしたんですか?」

「設計事務所だ!そこを当たろう」

「設計偽装とか?」

「意味の無いものを作っているんだ。だから、それが分からない。」

 

磯川は一応捜査一課に連絡して高木に設計事務所に取り調べる段取りを取って貰った。

「何を気付いたんだ!教えろ!」

「逆なんです。多いんですよ!多いんです!パイルが!」

「パイル?」

「杭です。柱です。」

天野設計事務所がセカンドオピニオンの一つだった。

「天野さん?設計図を検証されたそうですね?」

「ええ、それが何か?」

「何故こうなんですか?」

「何故って言われても、ここでしょう?ちょうど建物の中央部にあたる部分に杭が南北に1本ずつ多くしているって言う事ですが、安全性の問題を言えば安全側に振っています。」

「だから、何故余計な杭を」

「何故って、そりゃ刑事さん、設計の現場を知らないからそういうんだ。設計は施工主の無理は大抵聞く。技術も聞けるように仕上がっている。我々が止められるのは、強度不足、耐震性の不足、などなど不安全の問題に限ります…。それを見るんです。施工主がおかしいとかおかしくないとか、そんなものは見ません。」

「じゃぁこれは全部の事務所でOKだったんですか?」

Noと言う理由が見つかりません」

「この設計図は正しいんですね?」

「最終改定が2011年10月30日となっています。それ以降に変更があれば別ですが…。」

「じゃぁ…、もしかして…、それが…」

「おい!何だ!何があったんだ!」

「まだ何か分かりません!ただ、設計図は、これ以降訂正された可能性があります。」

「じゃぁ設計図を探すか?設計事務所を叩くか?」

「違いますよ。分かっていないなぁ~!」

「何だと!」

「設計図に最後に書かれたものが今建っているじゃないですか!現場を見ましょう!設計図が2011年10月30日以降に改定されたなら、その変更は今の建物に残っています。」

「あっ…」

所詮は文系だな?

「家宅捜索令状か?」

「どの部屋でもいいです…。」

「先に行っています。」

「令状なしに行ってどうするんだ?」

「知りません!でも、行きたいんです!」

「この馬鹿!許可する!待っていろ!」

磯川は、急いでいた。

 

だが、この最中に永田瑛子は別の結論に近づいた。

「ダルマ興研さんですね?」

「ええ、こんな変な名前はうちぐらいでしょう?」

「ここですぐ答えろとは言わないけど、調べて欲しいものがあるの。」

「何でしょうか?」

「一応施工会社の一覧には無かったけど、アナタ、江東区の榎本エターナルマンションの一部施工を請け負わなかった?」

「えぇぇ!何故それを?」

「税務署よ。金が動けば分かるわ。所で知っているみたいね?」

「ええ、分かりました。あの件は、ちょっと特別だったから…でも誓って申し上げますが、悪い事はしていないんですよ?そりゃ利鞘は凄かったけど、でも違法じゃない。相対取引ですから。」

「で、何をしたの?」

「簡単ですよ。ホント簡単な仕事でした。ですが2億円を出してくれました。恐らく、必要経費を過大に評価してくれたんでしょう。」

「だから、何を!」

 

磯川は須藤と共に、榎本エターナルマンションに辿り着いた。

そこに意外な人物が…。

「阿部先生!」

榎本エターナルマンションを見上げていたのは、阿部税理士その人だった。

「おや?あきる野署の…」

「御説明頂けますか?」

「私の部屋なら入れるが…。」

「お部屋をお持ちですか?」

「ええ、それは税務署にも言いましたが…。」

「じゃぁ何を…」

「とりあえず入りましょう…、見れば分かる。工学部でしょう?」

「ええ…。」

「ほら…、何がしになったじゃないですか?」

「皮肉ですね…。」

「何れ分かる事です。」

阿部税理士は、ポケットからプラスチックの箱を出した。それは鍵のケースだった。

「ほら…、密封のシールが付いたままでしょう?そう、私も入るのは初めてなんです。」

「入りたくないんですか?」

「でも、終わらないでしょう?人は何時も待っていればと言うが、時は全てを運んでくる、良い事も、悪い事も…」

「マキアベッリの一節ですね。」

「先送りは、基本的に賢い選択ではない…、いい歳しているのに…、どうも思考停止か臆病になっていたようで…。」

そう言うと、鍵をメインホールの入り口の鍵穴に入れた。

 

中は、壮麗な飾り石で装飾されたものだった。

「億ションだけはありますね」

須藤の正直すぎる感想は磯川には届かない。

「お部屋は?」

「111号室。確か榎本さんも311号室でしたね?」

部屋の前に着いた。

「何だろう?何か気配違いますね?」

「気の所為だろう…」

「勘違い?考え過ぎって意味ですか?」

「違う…、気、思いが、ここは違うんだろう…。でも、ここは?」

「そう…、機械室です。その後機械室は変更になりました。施工企業には途中の変更は良くある事でペナルティーを払うと解決できない問題じゃない…。」

「で…、今はあなたの部屋ですか?」

「いいえ…、誰の部屋でもない。」

そしてドアを開けた。

「えっ?」

それは普通と言えば普通の内装だった。

だが…。

「えっ?これって?」

「分かりますか?」

「ええ!これは」

「床が波打っています。ここは最初機械室で、それを完全な空洞としました。そして、その後、閉鎖されました。コンクリートを打ち込んで…。1千立米ですよ。それを一日で突っ込んだんです。」

「馬鹿な…。」

「強度的に怖かったのでしょう。アンバランスを避ける為に杭を打ちました。南北に一本ずつ。それが設計の異常さに繋がったのですが、基本的に強度を上げるんだから問題ないと宣伝文となりました。ですが、一日で打ち込んだ量が量です。こんな仕上がりとなったのです。私は、一応所有者になってくれとの榎本さんの懇願を受けて、所有権を取得しましたが、後で相殺する手続きを取ってくれて損はありませんが…。」

「それ…で…」

「コンクリートは3ヶ月以上経っても固まりませんでした。半年後には、検査業者が奇妙な検査を受け入れてくれてOKとなりました。でも誰もが、ここに何かを隠していると思うのは当然です。」

 

「だから、私も、何か埋め尽くす為に、こんな事をしたんだと思うんです。」

ダルマ興研の専務が続ける。

「私も、ちょっと気になりまして作業を監督しましたが、本当に機械なんて無くて、空洞がありました。その横には柱が通っている。奇妙な紋じゃなかったですよ…。」

「それで、だけど、何か埋めたとかは?」

「あそこは、掘って作ったんです。最終の掘った工程は、ご存知じゃないですか?」

「2011年11月19日。奇しくも康子さんの命日」

「はぁ~?まぁその日が最後です。」

「レッドブックに符号か…。」

「何ですか?」

「いいえ、ありがとう」

 

「っで、どうします?掘り返しますか?」

阿部税理士の言葉が鋭い。

「2012年11月19日。17回忌の時の半年前まで、彼は落ち着かなかったのでしょう…。だから開放されたんじゃないでしょうか?」

「いや…、それは可笑しい…、それなら半年前に失踪しても可笑しくない。」

「何もすぐに決断することでもないでしょう…。」

「何かが足りない!あの最後の言葉は、まだ危険性がある事を意味している…」

「何ですか?それは?」

「知りませんか?」

「私も知りません。知りたくも無いけど、それを知っていた榎本さんは、可哀想でした…。たった一人で耐えて、我慢して…。そりゃ、失踪もボケにもなるでしょう。私だって嫌だ…。」

「ただ、私に分かるのは、必死に守ろうとする榎本氏の中の正義と悪の部分が、彼を苛んだ事でしょう。」

「ええ、分かっています。だから私も遺産の内容とかは言わなかった。ただ、狭山弁護士が死亡した事を知って…」

「何かあったんだ…。何かがあったんだ…。遺言書を替える意味が…。」

 

 


罪刑非法廷主義(最新刊)「金で全てを失った男(陳腐な題名)」その2

2015年12月15日 20時37分18秒 | 経団連の黙示録

第二章 現場と上層部

 

2-1.日本国楽屋裏話

「うんざりしました」

 と須藤は嫌な顔を崩さなかった。

「うんざりしたねぇ~」

 磯川は感情を棄てた顔でつぶやく。

「それで?今回の失踪+死亡の関連は?」

「おまえ嫌な事を聞くねぇ~」

「警察でしょう?お仕事でしょう?」

「俺は感傷に浸りたいんだよ…。オマエもウンザリしたと言うが、俺はAgainだぜ!Again君が居るから、Again僕が居るのさ…」

「何ですか?それ?」

「悪い。忘れてくれキョン太郎」

「それも何ですか?」

「大人しか分からない事だよ…」

 だが二人は、この「うんざり」が近くアウフヘーベンされる事を迂闊にも気付いていなかった。

 それは電話の形で現れた。

 トツ電を受けた磯川に高圧的な声が…。

「こちら捜一の高木だが…」

「ヤバイ!そうだ!」

 磯川は、心中で大絶叫した。

「そうか!榎本巡査部長は一級の存在だ。捜一が出てくるなら…」

 別の電話に須藤が対応する。

「えっ?厚生労働省?それと税務署?何で!ええっ!説明?それって、その…、ええ!葬儀社!どうなってんの!」

 「アヒルのハウス」からの電話であった。

 磯川は、今後起こるであろう事を走馬灯のように再現できる自分の能力に嫌気が差した。

 説明しよう!(古いフレーズ)先ずは厚生労働省。死亡した榎本武氏は行旅不明人として身元不明の痴呆症老人と見做されていた。

 それが100億円は軽く持っているであろう大富豪である。只でさえ介護関係は財政がピーピーである。なら回収できるものは徹底的にやる。

 次いで税務署。当然、今回の問題で相続問題となるであろう。だが、それ以前に色々あって、動いているのだ。元々税務署の調査能力は警視庁を超える所もある。何突っ込まれても、警視庁の損にならないように対応するのは至難の業だ。

 そして、葬儀社?は置いておいて、警視庁は、当然、金の問題で色々噂のある古泉夫妻に聞きたい事があるのだそうだ。

 更には、警視庁が文字通り鍵を握るのは、榎本武が大事に持っていた貸金庫の鍵の開封は警視庁にしか出来ない。正確に言うと、警視庁の書類が裁判所の許可を受けないと出来ない。

 つまり、これは強制代執行並みの用件なのである。

 I am god's child この腐敗した世界に落とされたぁぁああ~。

 日本でも面倒臭い最高級のチームが「あきる野署」と「アヒルのハウス」を通っていかなければならないのである。

 何処にも~逃げ場所なんて無ぁ~い…

 取りあえず磯川は

「詳しくは現場で…」

 穏当な時間稼ぎだ。

 だが引き伸ばしに過ぎない。

 不承不承でパトカーに乗る。

「運転オマエがしてくれ」

 磯川は運転から一抜けた。出来れば、この一件から一抜けたい。

 到着した場所には3台の禍々しい車である。1台は税務署、最初に到着したみたいだ。

 次は厚生労働省、だが、それは最後だったらしい。最後、つまり最後列の葬儀社の車を「国家権力」で「恫喝」して場所を替えさせたのだそうだ。

 ガキみたい?その通り、役人って奴はガキなんだよ!特に上に行くとガキになるんだよ!駄々をこねるし、無茶を言う、大体法律の存在をすぐ忘れるのは上の方だ「何とかならんかね?」は「法律に書いてあるだろう」と答えれば99%終了する。

「着きましたよ」

 須藤の答えに、既に打ちひしがれている磯川は

「着くなよ」

 と駄々をこねた。

「先ずはトリアージ(優先順位決定)だ!」

 捜一が入ってくると厄介な事になる。既成事実を優先しないと…。

 と現場に入れば古泉夫妻までいる。絶望的な状況だ。

1)古泉夫妻:榎本武に関する全ての情報を即刻提出しろ

2)厚生労働省:これまで榎本武に使った費用とその題目を即刻提出しろ

3)財務省:相続関係に必要な情報を即刻提出し、長い間の失踪中の行動を全て提出し脱税などの行為をしていないか?を証明する証拠を提出しろ

4)葬儀社:葬儀のランクは最上級をお願いしたい

 先ず1)について。

「警察は民事不介入の態度で御座います…、詳細については、取りあえずビデオも3年分ありますので、アヒルのハウスにお問い合わせ下さい。」

 スマイルで言うのがポイントだ。

 次4)について。

「ご遺族が決定する問題であり、アヒルのハウスには…」

 と言うと、施設長が済まなそうな顔で言う。

「葬儀社の方には色々とお世話になっていますんで、何と言うか?その…。うちもカツカツなんで…。」

 そんな時にである、救いの神が来た。

「それは御希望通り、最上級に願います。何とはなれば私が全額支払います。」

 それは眼鏡をかけた灰色の髪の毛をした頑迷そうな老人だった。

「阿部と申します。故人の税理士であり、故人の友人だった…、そう私は思っているのですが、取りあえず、今の状況では一番お役に立てると思います。」

 先ず4)解決

「ありがとう御座います!」

 「アヒルのハウス」と葬儀社が声を合わせて言った。

 だが1)古泉夫妻からの口撃

「阿部さん!今日と言う今日は額面を始め色々教えて貰いますからね?!」

 それに対して

「古泉さん。仮にも、御尊父が亡くなられた日であり、何時間も経っていないんですよ…。悼む気持ちは無いんですか?」

「無いだろう」

 磯川は心の中で断言した。

「私の契約者は故榎本武氏であって、古泉小太郎でも敦子でもありません。契約者の縁故関係は財産が多い場合デリケートな処理が求められます。一言でも、あなた方だけが有利な発言をすると、これは便宜供与となります。」

「他に遺族が居るの?」

「税務署の方とお話下されば分かると思います。」

 3)お鉢を回すことに成功。ナイス、阿部!

 さて、厚生労働省なのだが…。これが難題だった。

「お話の書類に関しては、すぐに用意させるようにします。ですから、そちらは信用なさって下さい。」

 すると言い難そうな事なのか小声で何か言っている。

「取りあえず、書類の訂正を要する点があります。いいですか?これはこちらが用意した格別の配慮で行った事を、提携どおりにする事と…」

 周囲を気にするような目で厚生労働省の役人が言おうとするのを施設長が制した。

「それは分かっております。どうか、どうか、即刻と、齟齬の問題は後にして貰えませんか?」

 それには「この場のこの面子の前では」と言う後に続く台詞がある。

 磯川は居た堪れない気持ちになった。

「この人は良い事をやる為に、片足を糞の中に突っ込んでいる。」

 榎本武氏の金に集る姿は同じだ。だが、その裏にあるものは、全く違う。

 葬儀社の人もケアハウスの人も厚生労働省も多少の嘘と欺瞞を使っているのだ。表に出ると不正とTBSやテレビ朝日がいとも簡単に切って棄てるような事だ。

 現場の必死の声。理想を追い求める為に何人が絶望の底に落とされただろう。毎回。何度見ればいいのか?

「腐敗?そんなものじゃない」

I am god's child この腐敗した世界に落とされたぁぁああ~。

違う、

I am god's child このふざけた世界に落とされたぁぁああ~。

「そうだ…、だから俺は捜一から抜けたんだ…。」

 そして捜一が到着した。

「現場封鎖線を越える事は法律で罰則付きで禁止されております。」

「現場封鎖線は越えていないでしょう?」

 税務署の若い二人、気の強そうな男ともっと気の強そうな女が眼鏡越しで睨み付ける。

「皆さんも役人なら分かるでしょう?今後捜査の重点は、物証ではなく、情報であると。即ち、このケアハウス自身が全て現場です。」

「あちゃー…。トリアージ失敗」

 磯川の残悔にも似た絶望が心の中で木霊する。

「あと3分だったのに…これからは官僚の論理だ。それも一番面倒な財務省と法務省因縁の対決」

 散々言い合いをしている面々を横に、磯川達は、出て行った。

「後で本省にて、御指導させて頂きます。」

 その棄て台詞に向かい頭を下げるケアハウスの人間。

「なるほど、痴呆症の問題は、呆けているより呆けていないつもりの方が問題か…」

「磯川さん、それは止めて下さい。誰も呆けている人はいません。自分の時間軸でばかり物を言うのは…その…」

「こりゃ失敬。私も利口なつもりでした。」

 頭を下げた磯川は…

「私は私の出来る事をやるだけですね。所詮ペーペーですから。」

 

2-2.あんなにいっしょだったのに…

「運命はぁもう違う色ぉ~」

「それ知っています。」

「ありがとう、この歳でもガンダムは棄てられなくってね…」

「それにしても、結局、提出書類を一々見せ合うって合意をするのに…」

「16分半だよ…。これが最高学府の叡智の限界だ…。」

 両方とも東大出身だったのだ。

「それで仲良く?」

「そう、鍵を開けにだよ…」

「どうせ書類かお金でしょう?」

「一緒に見る、同時性って言う面子・見栄が大事なんだよ」

警視庁・財務省・遺族・一応警視庁だけど所轄のあきる野署の車が旧築地銀行の駐車場に着いた。

「我々が同行する意味ってのはあるんですか?」

「一応所轄と中央の線引きを守ると言う建前だ」

 

 銀行側は、既に待ち構えていた。

「これが令状です。御確認のほどを…」

「確かに…」

 そう言うと銀行の支店長は金庫室に案内した。

「質値は、貴方に付けて頂きます。銭や本店」

 ローカルなネタが磯川の頭を去来する。

 それにしても銀行と言うのは捜査令状というものを何処で教わっているのか?と思うのである。きっと幹部候補生は、何かの講習を受けているのだろう?それとも、警察が出てきたから、それは本物であると信用しきっているのだろうか?

 お寒い「教養」の存在である。

 中に入った面々はと言うか磯川達は外に出ている。中に入ったのは支店長、古泉敦子、捜査一課の係長、税務署の女のほう、である。

「それでは開けさせて頂きます。」

 白い手袋まで用意していると言うか銀行では「常備品」らしい。手袋が震えるのが分かるようだったらしい。

 映像なら長いシーンだろうが、要は、中にあるのは紙切れ一枚だった。

 当然、遺言書である。

 思わず榎本敦子が戦慄する。

 そこには

「遺留分を除いて全て遺産は国庫に収める」

 とある。

 日付は失踪する1日前。立会人は狭山弁護士と書かれていた。

「狭山弁護士?」

 関係者は言わずもがなだった。

 榎本武氏が失踪する前日に交通事故で死亡した弁護士だった。自爆事故らしい。目撃者も無く、結局、事故で処理されたが、この遺言が残っていると話が変わってくる。

「フフン…」

 と税務署の女の方、永田瑛子がにやりと笑った。それを捜一の高木係長が睨み付けた。

 税務署の方はある程度勝利である。今後は裁判所に遺族側:古泉敦子が提訴するかもしれないが、こちらは体制側である。

「遺族であるぐらいしか能の無い小国民なんぞ一捻りだ。」

 顔がそう言っている。そして、相続に関わる人間が、関係者によって不都合を加えられると相続権を失う。

「あの弁護士が自爆事故じゃないなら?」

 永田瑛子の勝算は遺留分よりもありそうだ。

「警視庁さん?お手並み拝見と行きましょうか?」

 一層、高木係長の血圧が上がった。

 目の前には、不成立要件の遺言状、でも弁護士の死が偶然ではないなら、と言うより、そんな偶然無いだろう。問題は証明できるか?である。

「遺産が国庫に入るには、誰かさんが悪くならないとね…。この理屈分かるだろう?」

 面倒臭い駆引きである。

「それは『何も掴んでいない』って言う敗北宣言?」

「間合いが大事って事だ。折角の遺言書も遺留分も、検察の告訴があってかどうかの問題だ。」

「告訴は誰でも出来るのよ?警察や検察だけが出来ると思うのは法律を知らない庶民だけよ?それとも、貴方も知らなかったの?」

 負けない権力志向。それが官僚なのだろう。

 

 永田瑛子は同僚と車に乗って帰ろうとするのを磯川は敬礼で送ろうとした。

「どう言う事かしら?」

「所詮ペーペーですから。上にはおべっか使わないと」

「悪くない心がけね…。そうだ、一つ為になる事を教えておくわ。今当事者は親族が一番問題なの。でも本当の親族じゃない方がもっと問題かも?」

「えっ?」

「私達には『レッドブック』ってのがあるのよ。毎年失踪する金融・証券・土木関係者のリスト。言わずもがなでしょう?それと大事なものは何処に隠すの?それを一番知っているのは国税の査察よ。」

 そう言い残すと車は出て行った。