夏も盛り、チョット前ぐらいから、猫は夏毛に生え変わるようで、家の近くにある何軒かの猫屋敷では、冬毛が抜け落ちてそりゃぁ大変な騒ぎさ…。
もっともちょいと金のある所や手をかける所は、ブラッシングで落としているみたいで、そんなに酷くない所もある。
家の裏の猫屋敷の猫と吠えてばかりのバカ犬は私を妙に怖がるが、隣町の猫はそうでもない。
気楽に「元気かい?」とお愛想をすれば、黙礼で返してくれる。
その隣町の猫屋敷に、新顔さんが3匹、クロが二匹でトラが一匹である。
どうも母親からはぐれたか捨てられたようで、そりゃ見ていて気の毒なほど怯えている。
「初めてだねぇ〜、どうしたんだい?」と声をかけても警戒態勢の方に気が取られ、もうブルブル震えているのが分かる。
それからすれば、ねこ歩きの猫達は、大体どっしりとしており、まぁそんな猫だから撮影できるんだろうけど、実際にはビクビクしている猫は多い。
ねこ歩きでも「フランス」の回だったか?親からはぐれた子猫が近くを仕切るボス猫に、保護されるシーンがあるが、家の周りでは、どうも無関心の猫が多い。
毎度「面倒見きれないで御免ね」と言って別れる。
丁度一年ほど前だったろうか?高圧線の敷地の近くで、眼病ガンガンの猫が居て、もう、あとひと押しで死にそうな状態だった。
可哀想なので、私は、色々食い物を無責任に与えていたが、後ろで、小学校1年ぐらいの女の子とヒゲにメガネの父親と思しきおっさんが、私が猫に餌を与えているのを見ていた。
「こりゃ不味い」と私は食い物を置いて逃げていった。
翌日そこに行くと、もう猫は居なかった。死に場所を探しに出たか?あの親子に被きとってもらえたか?であろう。
後者であることを祈る私は何処まで行っても、無責任な卑怯者だ。
かかりつけの内科医の所の隙間に子猫が泣いていたが、これを引き取れるわけもなく、放っておいたら一月で目つきが野良猫になっていた。
ああ、ヤサグレるってのはこういうもんだ。
こうした理由の1つは私だろう。
可愛い猫に育つことも出来たが、所詮甲斐性のない人間は、無責任な傍観者を気取るしか無いのだ。
私は、毎度毎度、祈る事しかできない甲斐性なしである。