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風の電話について、その「生きてるなら食わなきゃな」

2020-11-12 07:31:00 | 邦画
東日本大震災で岩手県大槌町は甚大な被害を受けた。
主人公・ハルは大槌町で家族全員を失い、今は広島の叔母の家へ身を寄せていた。

叔母は優しくハルを迎え入れ穏やかな日々を過ごしていたが、その頼りにしていた叔母がある日病気で倒れてしまう。
心の拠り所を失ったハルは何かを求めるかのように故郷である大槌町へ向かおうと決意する──。



原作というか、発想の元になったのは大槌町在住の庭師・佐々木格さんが自宅の庭に作ったアート。
2010年に佐々木さんの従兄が癌で亡くなり、死んだ人と繋がるにはどうしたらいいか、思いを伝えるにはどうしたらいいかを考えた時に生まれたのが「風の電話」。

それが震災後に噂なって観光スポットってわけじゃないけど、癒しの場として人が集まるようになったんと。
老朽化して何度か壊れたらしいけど、その度新設されて、震災後の東北の人々にとって心の支えになっているそう。

まぁ、それが主題ってわけじゃないんだが。
要は広島から岩手へ至るロードムービーちゅうことで。

ストーリーとしてはちょっと都合が良すぎかもw
女子高生の家出・一人旅やから。そもそも叔母さん死んだわけではないやろ? 放っておいてええんか?

もうちょい別の旅の動機やら理由があれば良かったのに。
オムニバス方式で途中途中色んな人に出会っていく。皆優しすぎw 観客に対するエールみたいなんもあるんだろうけどね。

西島秀俊さんとか、何と言っても西田敏行さんの下支えがあってこそ成り立ってる部分はあるかな。
てか、この映画の監督、諏訪敦彦さんは台本を作らんことで有名らしい。全体の流れだけ決めて後は役者のアドリブ。

こりゃまたしんどいことさせるなw
そうなると改めて西田さんの肝の据わり方は尋常じゃない。あれ全部アドリブだとしたら化け物だろ。

西島さんもかなりの安定感。MOZUで芸人やってた奴とは思えんなw
ワラビスタンの人達は素人やろ? 意表を突かれたな。人間ドラマは好き嫌いの分かれそうな独特の雰囲気。俺として現実的ではないと思うけど好きではあるかなw

西島さん演じる森尾は元原発職員ってことで、Fukushima50のアナザーストーリーとして見てしまったな。
吉田所長や伊崎班長。現場にいた全ての人達にも事故後の日々や行く末があったろうから。それを想像させられる。

後、風景がめちゃくちゃキレイ。これはFukushima50でも薄々感じてたことだが。
長回しを取り入れたカメラワーク、ロードムービーの設定がよく活かされたこだわり。

震災後の東北の風景、鳥肌が立つほど美しい。
この風景もキャストの一員と言って過言ではない。

チェルノブイリも今や野性動物の宝庫になってるが。
人間の手を離れて、本来の姿を取り戻したかのような……皮肉な光景でもある。

広島の豪雨被害にあった土地も描かれてて、ただの廃墟や荒野ではあるんですが、何か心に残る。
これは俺が日本人だからそう感じるだけかもせんがw

ラストの電話ボックスのシーンはヤバい。モトーラ世理奈さん。評価高いだけのことはあるな。
映画としては傑作ではないけど、程好い作品。記憶にずっと残るようなインパクトがある。

東北大震災はもっと色んな角度や切り口から描かれるべき。
この「風の電話」の果敢さ、チャレンジ精神は新たに続く作品の道しるべになるんじゃないでしょうか。

では、また。




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