七月・文月の浮世絵の多くは七夕関連で、あとは盂蘭盆会・盆踊りが少々でそれ以外はほとんど見当たらない。
最初の五点がその例外作品のようで、鳥居清長は七月十六日縁日の「閻魔堂詣り」、豊国の「書(ふみ)を読む娘」、豊国の七月七日の「井戸替え・井戸浚い」。「井戸替え」というのは年一度長屋総出で長屋の共同井戸の清掃をし井戸神様に供え物をして感謝する江戸人には大切な初秋の行事なのである。
豊国の「あづま源氏・見立文月」は多分、六条御息所の生霊が夕顔を襲う場面と思うが、それと文月の関連が分らない。
次の国芳は文月は何の場面か分らないが、上の提灯が「盆提灯」とすると、例外作品ではないのかもしれない。
以下は七夕関連のになるが比較的七夕色のうすい作品を選んだ。
左勝川春章は七夕の屋並み風景と草市。草市は盆に使う花や飾ものの市で小坊主が売り手であろう。
中磯田湖龍斎は七夕飾り用の短冊作り。右勝川春潮は七夕風景は御義理の程度で左上隅に。
下葛飾北斎の「六歌仙七夕飾り作り」、六歌仙を描き分けており、竹を担いだ小者が左から駆けてくるのが面白い。
豊国 水野年方の 短冊作り。