写真やイラストなどの複写・印刷が家庭で簡単に出来て謄写印刷なるものを知らない現在では、下のような印刷物を作品と称する意味が判らないだろう。
謄写版(俗称ガリ版)という簡易印刷機は19世紀末にエジソンが発明し、たちまち改良されながら世界中に広まって、日本でも役所・学校・会社などで多用され、1970年代ぐらいまではおなじみのものであった。
製版から印刷まで全てが手作業で持ち運びが出来るほどの器具の手軽なものだから誰でもどこでも印刷が出来た。ただ文字と線画ぐらいの黒一色で広い面積を塗り潰すことは普通には出来なかった。
つまりそのような時代に手描き手刷りで多色印刷や阿修羅のような一色でも濃淡を出した絵は珍しかったから、こんな物でも文化祭出品作品とでかいツラが出来たのである。
※ なお、画中の濃淡の縞目はモアレという微細な点で構成されている面が重ね刷りなどでずれて起こる現象で意図的に付けたものではない。
実物の切手