この豆本は富士世界遺産登録記念のつもりで作成したものである。
月耕は幕末生まれで明治大正期の画家。昨日のお点前などこのブログにも何度も登場している。
この作品にはいくつかの欠点がある。
まずは、百景といっても全部が揃っておらず、95図と下絵3図の不完全なものである。
これが当初から未完成だったのか、残りは散逸してしまったものか定かでない。
だいたい1900年前後頃に作られているようだが、詳細ははっきりしない。
それと、もともとが淡彩のものが多いうえに、それらが古びて色・形が薄れて不明瞭になり、富士の姿がはっきり判りにくくなってしまっている。
さらにそれが、富士は遥か彼方の遠景としてほんのちょっとしか描かれていなかったり、手前近景の事物の陰に遮られてわかりにくかったり、逆にごく近くの富士の山肌を一部だけしか描いてなかったりというような特別な構図と重なったため、まったく富士が見当たらないような絵になっている絵もいくつかある。
個々の絵にタイトルがあるのかどうかもはっきりしない。
以上のような作品を豆本したものだから、印刷上の問題も加わってますます富士百図という名称が看板偽り有りとなってしまっている。
なお、月耕には「百富士」という縦版のシリーズもあったようだが、これについてはたった一作品しか見当たらないのでほとんど何もわからない。
ともかく、下段の、他の富士の絵も絵も加えて何とか百図以上にはしてある。
典型的な富士と松 富士と天の羽衣の天女
鶏の尻の右側に荷車に遮られている富士 下絵
百富士「吉●」 肉筆掛軸「一富士二鷹三なすび」 月耕随筆「龍昇天」
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