先日、日本有数の売上を誇るパン屋さんを辞めた青年の
話を聞きました。
辞めた原因は「何のために自分がパン屋で働いているのかが
解らなくなった・・・」そうです。
日々仕事に追われ、給料査定は休日にも勉強会に参加したかが
参考にされたそうです。仕事に慣れるまではパン屋とはそんな
モンかと思って頑張っていたそうですが、数年でパンを作る
楽しさを感じなくなり、疲労や倦怠感だけを強く感じる日々が
続いて辞表を出したそうです。
そのパン屋さんの多くの職人志願者は平均3年で辞めるとも
聞きました。30年くらい前はパン運送の運転手さんも
含めると業界で独立できるのは千人に一人といわれていました。
僕も麻布にいた時には食パンを一度に4本型から抜いたり
したもんですが、辛いとか大変だと思うより先に食パンを
窯の前から店の棚に運ぶ先輩を煽ってみたい気持の方が
強かったような気持だったと思います。下っ端のささやかな
反抗だったのかも知れませんが、作業はまるでゲームかスポーツで
さしずめテニスや卓球のラリー感覚でした。
勿論、荒っぽくムチャな力をパンに加えたら先輩の雷が落ちますから
速さと同じように丁寧な扱いも必要でした。
パン学校の生徒なら当然学費を払う立場ですが、
勤めでは払うどころか給料が貰えて実戦で覚えられます。
先輩に学校で習った理論やノーガキなど言えない状況ですから
当然見て覚えて無料の技術研修会には積極参加。
勤めたお店にもよりますが、そんな気持を持って次の店に
移る為の基礎技術習得、体慣らしと考えるべきだったのかも
しれませんでしたね。
パン屋を辞めても彼は日本有数の繁盛店で仕事をしてたのだから
どんな仕事にも興味を持てば耐えられると僕は思ってます。
どんな業種でも日本一というのは半端じゃありませんからね。
いつか彼が結婚したら家族と休日にパンを焼き、
ご近所さんにもおすそ分けしてみることも可能だと
思いました。その時は初心を思い出して楽しみながら
粉まみれになって遊んでくださいね。
きっとお店で作っていた時よりも美味しいパンが焼けると信じます。