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PAP-JAPAN代表、川井眞理のお仕事(以外もてんこ盛り)日誌

「わしゃまだ働くけん!」(特別長編)

2006-09-28 | シニア情報
またまた朝のNHKテレビを観てしまいました。
内容が興味深かったのです。
高齢者人口の多さを逆手に取り、第二第三の゛きんさん・ぎんさん゛を作ろう、というわけでしょうか。
番組では天草市と東京の、生き生きと働く高齢者2例を紹介していました。

めざせ、ババドル!←口の悪いこってす。これは私の造語(^^;)。

熊本県天草市の会員制インターネットテレビ局の看板女子アナは89歳。
地元のさまざまなモノ・コトをリポートするのが仕事です。
黒川ツルエさんという名前を活かし、「ツルの一声!」という名物コメントを発しています。
キャリア2年のベテラン。

今年3月脳梗塞に倒れたものの、手術もせず3週間で退院。
まだ本調子ではないものの、仕事への情熱(責任感?)ゆえか、毎日「いろはにほへと、しろうまのしろうま?、となりの客はよく柿食う客だ」等々の発声練習をこなし、この9月めでたくリポーター復帰を果たしました。

2人目のババドルは明治36年生まれの102歳の森シゲノさん。
http://www.amakusa.tv/
こちらはアナ歴2カ月の゛新人゛で少々耳が遠い弱点がありますが、そこは年齢から来るご愛嬌で乗り越えて。
隣りでサポートする息子さんというのが、当然のことながら相当なお年。
この辺りになるとパッと見には、誰が20歳年上か、30歳年上かなんてことはほとんどわかりません(気になりません)。
年輪を経たもののみが持つ不思議な強さでしょうか。

シゲノさんは入れ歯です。
その人が、シオマネキ(カニ)を食べるのに挑戦するというわけで、番組のキャッチは「ハサミか入れ歯かシオマネキとのバトル」(後半あやふや)となっていて、
言葉遊びもなかなか。

局の゛制服゛は白の大きめTシャツに、名刺と同じご本人の顔写真が入っています。
さらに上にショッキングピンクのナイロンジャンパーをはおります。

ちなみに、ツルエさんの名刺にはご本人が20代後半か30代ごろのイケメンとツーショットで写っている画像がデザインされていて、ぐっとおしゃれな感じに仕上がっています(この見せ方はうまい)。

途中、脳梗塞で自宅静養するツルエさんをNHKクルーが訪問する場面があるのですが、地味なワンピースを着たツルエさんはしっかり年相応に見え、リポーターで生き生きとした輝きを放っていたのとは対照的でした。

若い人をはじめとする多くの人やモノに接する職場があり、「私がやる」という自負があり、明るい色・デザインのものを着ることがいかに人間を若々しくさせるかという、まさに好例でした。
局では今3人目の女子アナを公募中だそうで、下は10代から上は80代まで応募者の手紙が殺到していたのが印象的でした。

ところ変わって、東京・五反田のビジネス街にあるモスバーガーには60歳以上が12人働いているそうです。
ここの゛看板娘゛は71歳のレジ係・小林ミエ子さん(名前の文字は記憶が曖昧)。
失礼ながら年齢を全く感じさせない肌の色ツヤと動作でややこしい客の注文を聞き、多種類のメニューボードを押して遅れることなく奥の厨房に伝えます。

接客が天職なのかもしれませんが、聞けばこの道9年目だそうで、若いときからの徐々の訓練があったからこそ今なお、こんなややこしい仕事をこなせるのかもしれません(自慢じゃありませんが、今だって私には到底覚えられません)。

他に64歳のレジ女性、69歳のホール係男性、72歳の仕込み担当女性などが紹介されていましたが、いずれも人生のベテランならではの気配り、応対のうまさはマニュアル頼みの若い人の比ではない高レベルだそうです。
若い男性客2人が彼女の仕事ぶりを「スーパーフレンドリー!」と評していましたが、客にも同僚にも高齢者の接客ぶりは「ホッとする」と好評でした。

誰が言い出したのか、いつの間にやら店は゛モスジーバー゛と呼ばれるようになったそうです(^^)。

ミエ子さんの1歳上のご主人、修さんは元大工の亭主関白の典型タイプだそうですが、奥さんが生き生きと働く姿に触発されたか、ミエ子さんに感謝される得意の包丁磨きを、現在「他の人のためにもやってあげたい」と口にするほどに。
奥さん不在のときは、作りおいてもらった食事に、自分でラーメンも作り足して食べるほどに柔軟になっていました。

彼女・彼らは働くことでいくばくかのお金を儲けているはずですが、そのことを中高年と違って生臭く感じないのは、お金のこと以上に社会で働くこと、人の役に立つことに対して積極的な生きる姿勢があるからでしょう。
高齢者にあっては、働くことは生きることと密接につながっているのです。

高齢者は社会の潤滑油的な存在としての立派な役目がある――。
2例を通してそんなことを思いました。

政治家の世界でしたか、他の世界だったかド忘れしたのですが、「50、60は洟垂れ、70歳で何とか、80、90で○○」という言葉はもっと社会全体の長い流れの中で見る必要がありそうです。

余談ですが、韓国のテレビ局も先の高齢女子アナを取材に来たよう。
ウカウカしてると日本同様に高齢化が進み、インターネット人口は日本よりはるかに多い韓国で、もしかしたら日本よりも先に「アジア発・高齢者の生きがい仕事事例」が作られるかもしれません。

先に高齢者の価値に気づいたインターネットテレビ局のひとり社長は偉い!
高齢者の採用が、あらゆる世代に元気と勇気を与えることに気づき、実践しているモスバーガーも偉いと思いました。