詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

廃屋にて 

2009年04月15日 | 日記
◆今日は花々を満喫の山旅だった。そういえばカジカ蛙も鳴いていたっけ・・
カジカ蛙の声が聞け、その可愛らしいその姿を見られる新潟県栃尾市(謙信が子供時代をすごした土地)の素敵なページはーhttp://homepage2.nifty.com/tochio/kajika.html 


    廃屋にて

風の吹くまま
今年最後の桜に会うために
車で出かけた

花びらの道を横切り
花びらの川を渡り
山道は もうすっかり
菫と山吹のトンネル

見上げる空を
真っ二つにしてゆく飛行機雲が
包帯みたいに
するすると解けてゆくその時まで
廃屋の傍らに寝転べば
身体も こころのあちこちも
傷だらけ 痛みだらけ

背後の森の奥からは
光る眼のなにかが
じっとこっちを見ている

それを見上げるぼくの顔に
ぱらぱらと落ちてくるのは
杉の花粉だろうか
それとも
過去からの漂流物の残骸だろうか

梢を風が吹きすぎていった後からは
ぎしぎしと
ただ一本だけ揺れ止まない
杉の木とぼく

あらゆる痛みには
もう慣れっこだけど
痛みの原点は いよいよ
この空の青よりも深く
その廃屋の窓よりも歪んだ拘束衣

遠く鳴いているのは
ぼくの喪神を悼む
名も知らぬ春の小鳥
あたりは もうすっかり
賢治が愛した
シロツメクサの草原の夕の輝き


    樹への賛歌

ぼくのいちばんのストレス解消法は
山へと出かけること

海でもいいんだけど
海には
あまり好きじゃない松ぐらいしかない

山では次々と
樹の枝と握手をして
「こんにちは」とまず挨拶する

雨上がりの日に
蛭にびっしりとたかられてから
止めることにしたけど

木の文明や文化は
この列島の基層にあるもの
神社も家屋もそうだし
千年を生きた木は
千年の寿命があるという
法隆寺等の古代以来の建築もまた

日本人は 
つくづく
木と山と海なしには
生きられない民族