先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

古今東西を問わず常に湧いて出てくる陰謀論

2019年02月24日 10時56分16秒 | 日記

BBCがジェイムズ・ティリー、英オックスフォード大学政治学教授の陰謀論を掲載していたが、ジョージ・ブッシュが陰で2001年9月11日の世界貿易センタービルのテロ衝突の首謀者と言った陰謀論が絶えないことについてろんひょうしていて、面白かった。

 

(文中敬称略)

Buzz Aldrin on the MoonImage copyright Getty Images

ヒラリー・クリントンはワシントンのピザ店を拠点に、世界的な児童人身売買シンジケートを指揮していたのか? いいえ。

ジョージ・W・ブッシュは2001年に、ニューヨークのツインタワー(世界貿易センター)を破壊して数千人を殺害する計画の中心にいたのか? これも、いいえだ。

ならば、なぜ大勢がそうだったと信じているのか。私たちがどうやって世界を見ているかについて、陰謀論から何が分かるだろう。

陰謀論は決して新しい現象ではない。「American Conspiracy Theories(アメリカの陰謀論)」などの著作がある米マイアミ大学のジョー・ウシンスキー教授は、少なくとも100年前から常に社会の後ろの方で、通奏低音のようにして響いていたと言う。

陰謀論はもしかすると、あなたが思っているより多様で幅広い。

「誰でも少なくともひとつは、陰謀論を信じている。もしかするといくつかは信じているかもしれない」と、ウシンスキー氏は言う。「理由は簡単だ。世間には限りなく膨大な数の陰謀論が出回っている。その全てについて、信じているかどうかアンケートをすれば、誰でも『はい』と答えるものがいくつかあるはずだ」。

Comet Ping Pong Pizzeria became the subject of an online conspiracy theory about child traffickingImage copyright Getty Images Image caption ワシントンのピザ店はネットで広まった陰謀論で、小児性愛者の拠点だということにされてしまった

これはアメリカに限ったことではない。2015年には英ケンブリッジ大学の調査で、わずか5つの陰謀論についてアンケートをとったところ、ほとんどのイギリス人がどれかについて「信じている」と答えた。例として使われた陰謀論は、「世界を支配する秘密結社が実は存在している」とか、「人類は実はすでに異星人と接触している」などの内容だった。

つまり、ありがちなイメージとは異なり、典型的な陰謀論者というのは決して、アルミ箔の帽子をかぶり母親の家の地下室で暮らす独身中年男ではないのだ。

「実際に人口統計データを見ると、陰謀論を信じる人というのは、社会的な階級や性別や年齢を問わず存在することが分かる」と、ロンドン大学ゴールドスミス・コレッジのクリス・フレンチ教授(心理学)は言う。

同じように、左派だろうが右派だろうが、世の中には自分を陥れようとする陰謀が存在すると信じる確率は変わらない。

「陰謀論的な考え方をしやすいという意味では、右も左も変わらない」と、ウシンスキー教授はアメリカの状況について話す。

「ブッシュがツインタワーを破壊したと信じる人はほとんどが民主党支持者で、オバマが出生証明書を偽装したと信じた人はほとんどが共和党支持者だった。その割合は、どちらの党もほぼ同じだった」

Presentational grey line

有名な陰謀論と反証

  • アメリカの月面着陸が捏造(ねつぞう)だという説については、詳細な検証と反論がされている
  • ナチス・ドイツの戦争犯罪者ルドルフ・ヘスが刑務所で別人と入れ替わったという説は、遠縁の男性が提供したDNAによって反証された
  • 人気者が実はすでに死亡しクローンに入れ替わっているという説はたくさんあり、ポール・マッカートニーやビヨンセ、アヴリル・ラヴィーンについても言われたことがある
  • なぞめいた秘密結社イルミナティが世界を支配しているという話は諸説あり、色々な著名人や政治家が結社のメンバーだと言われがちだ

Presentational grey line

影の組織が世界政治を舞台裏から支配しているというアイディアは、とても人気が高い。なぜ秘密結社に自分たちがこうもひきつけられるのか理解するには、陰謀論の裏にどういう心理が働いているのかを考える必要がある。

「自分たち人間は、物事にパターンや規則性を見出すのが得意だ。しかし時にそれをやりすぎて、特に意味も意義もないところに、意味や意義を見つけた気になってしまう」とフレンチ教授は言う。

「それに加えて私たちは、何かが起きると、それは誰かや何かの意図があって起きたことだと、思い込みがちだ」

要するに、何か大きな出来事があると私たちはそこにまつわる偶然に気づき、偶然ではなくこういうことなのだと物語を作ってしまう。その物語には「善玉」と「悪玉」が登場するので、物語は陰謀論となり、自分が気に入らないことは何もかもが悪者のせいだということになる。

政治家のせいにする

色々な意味で、これはふだんの政治そのものだ。

私たちはしばしば、何か良くないことがあればそれを政治家のせいにしたがると、米ヴァンダービルト大学のラリー・バーテルス教授(政治学)は言う。政治家が何もできないことについても、政治家のせいにしたがる。

「何かが起きると、それが良いことでも悪いことでも、そうなったことに政府の政策がどう影響したかはっきり理解しないまま、闇雲に政府をほめたり責めたりする人は多い」

Barack Obama released his birth certificate in 2011 in response to persistent rumours he was not born in the USImage copyright Getty Images Image caption オバマ前米大統領は「アメリカ国外で生まれた」といううわさが消えなかったため、2011年に出生証明書を公表した

同じように、政府と何の関係もなさそうなことでも、問題が起きると政府のせいにされがちだ。

「たとえば1916年にニュージャージー沖で、人が相次ぎサメに襲われたことがある。これを詳しく調べてみた」とバーテルス教授は話す。

「この連続襲撃は後年、映画『ジョーズ』の原案になったのだが、サメ襲撃の影響を最も受けた地域では、当時のウッドロー・ウィルソン大統領の支持率がかなり下落していたのが分かった」

陰謀論にありがちな「こちら」と「あちら」、「身内」と「外」の対立関係は、主流を占める政治的な集まりでも見受けられる。

たとえばイギリスでは、欧州連合(EU)離脱の是非を決めた国民投票によって、「残留派」と「離脱派」という、それぞれ同じくらいの規模の集団が生まれた。

「自分の集団に帰属意識を持つと、対立集団の人には一定の敵対心を抱くことになる」と、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のサラ・ホボルト教授は言う。

残留派と離脱派では、同じ出来事の受け止め方が異なることもある。たとえば、まったく同じ経済データを前に、離脱派は経済は不調だと解釈し、残留派は好景気だと解釈するなどだ。

Leave and Remain supporters outside ParliamentImage copyright Getty Images

陰謀論はこうした現象の一部に過ぎない。

「国民投票前は自分たちが負けると思っていた離脱派は、国民投票は出来レースだと思いがちだった。しかし、国民投票の結果が発表されて負けるのは残留派だと分かると、情勢は一気に逆転した」とホボルト教授は言う。

解決法なし

政治的思考の中に陰謀論がこれほど根深く組み込まれているというのは、あまり楽しい話ではないかもしれない。しかし、意外ではないはずだ。

「私たちは得てして、そうあってほしいと自分が望むことの裏づけになるように、何を信じるかを決めがちだからだ」とバーテルス教授は言う。

情報が増えても大して役には立たない。

「こうした偏見に最も影響を受けやすいのは、最も情報に注意している人たちだ」

ほとんどの人にとって、政治に関する事実関係を正確に把握する必要などないのだ。自分の1票は政府の政策を変えたりしないので。

「政治についてたとえ自分の考えが間違っていても、自分は困らないからだ」とバーテルス教授は言う。

「ウィルソン大統領はサメ襲撃を防止できるはずだったのにと思うことで、自分は楽になる。とすると、そんなことはなく自分が間違っていたとしても、自分の思い違いで自分が受けるダメージよりも、ウィルソンのせいだと思うことで得られる心理的満足感の方が、かなり大きいというわけだ」

結局のところ、私たちは事実に照らして正確でいたいのではなく、私たちは楽になりたい、安心したいのだ。

だからこそ、個別の陰謀論は生まれては消えていくものの、陰謀論そのものは私たちが政治を語る上で決してなくならない。


直径6メートルしかない「平地」にピンポイント着陸-はやぶさ2運用チーム

2019年02月24日 10時24分48秒 | 日記
JAXA宇宙科学研究所が打ち上げたハヤブサは小さく地味な小惑星探索機であるが、狙った小さな平地にピンポイントで着陸したという。日本人は能力が高いのだけれど、官民がトップの方針で一斉に基礎開発を抑えてしまい、色々な分野で新規性が失われてゆく。
 
日本の指導層は早く、基礎開発の重要性に気着いて、投資をすべきである。せっかくのこのような努力と成果がはだんだん少なくなってしまう、
 
 

探査機「はやぶさ2」のタッチダウンを見守る管制室=22日午前、(JAXA提供)

 小惑星「りゅうぐう」は予想に反し、着陸の障害となる岩だらけだった。運用チームを率いる津田雄一プロジェクトマネジャーは、探査機「はやぶさ2」の着陸延期を決めた昨年10月、「いよいよ、りゅうぐうが牙をむいてきた」と苦渋の表情を見せたが、さまざまな工夫で着陸の精度を大幅に向上。直径6メートルしかない「平地」にピンポイント着陸を成功させた。


 地球から約3億4000万キロ離れているりゅうぐう。通信は往復で約40分かかるためリアルタイムの制御はできない。はやぶさ2自身が位置や高度、地形を判断し、目標地点に着陸する方式だ。

 当初は、初代はやぶさが着陸した小惑星「イトカワ」と同様に、りゅうぐうにも平たんな部分があると想定していた。着陸する際の誤差は半径50メートルほどだったが、予想外のりゅうぐうの姿に「甲子園球場のどこかに降りればよかったのが、マウンドに降りないといけなくなった」(津田さん)と例えるほどの精度が必要となった。

 運用チームは、昨年10月のリハーサルで投下した目印(ターゲットマーカー)を使い、目標地点付近まで誘導する方法を選択。周囲の100個近い岩の大きさや高さを推定した詳細な3次元データを作成し、着陸の姿勢や方法を検討した。

 はやぶさ2が備える12個の化学エンジンについて、出力のばらつきを考慮。実際に噴射試験を行い、どのタイミングでどのエンジンを噴射すればいいかなど制御プログラムも細かく設定し直した。

 その結果、着陸誤差を半径2.7メートルまで抑えることに成功。津田さんは「一つ一つの数字を詰めるのに神経を使ったが、おかげで自信を持てる着陸手順ができた」と胸を張った。 


米下院民主党、非常事態宣言の差し止め案を提出。トランプ得大統領は拒否権行使?

2019年02月24日 07時42分49秒 | 日記
 
 

[ワシントン 22日 ロイター] - 米下院の民主党議員らは22日、トランプ大統領がメキシコ国境に壁を建設するために発令した非常事態宣言を無効にするための決議案を提出した。

同決議案を巡っては、約226人の議員が賛同しており、民主党が過半数を握る下院において可決される見通し。ただ共和党が過半数を占める上院を通過するかどうかは不透明だ。

 

民主・共和両党の全議員に同決議案の支持を訴えていた民主党のホアキン・カストロ議員は記者との電話会見で、「大統領が試みているのは違憲の権力掌握だ」と述べた。

民主党のペロシ下院議長は、26日にも下院で同決議に関する採決を行うとの見方を示した。 

シューマー上院院内総務も上院で同様の決議案を提案する考えを示していた。上下両院において同決議案が可決されるためには過半数の賛成票が必要。ただ上院で過半数の賛成票を得るには、民主党議員45人と無所属議員2人が賛成票を投じたと仮定して、共和党議員53人のうち少なくとも4人が賛成票を投じる必要がある。

しかし両院で可決されたとしても、トランプ米大統領が拒否権を行使する可能性は高い。拒否権を無効化するためには、両院において3分の2の賛同が必要となる。


対米交渉で農産物輸入増も、中国は自国農業守れるか

2019年02月24日 07時28分47秒 | 日記

 

中国が米国から農産物を年間3兆円輸入することが検討されているという。これが中国の農業政策や農家に対するマイナスにならなければよいが、同様に危惧をロイターが指摘していた。

[フォートコリンズ(米コロラド州) 21日 ロイター] - 中国が米国からの農産物輸入を大幅に拡大する可能性が出てきた。実現すれば中国国内の農業が犠牲になりかねず、同国は農業セクターの育成という困難な課題に取り組む必要があるだろう。

ロイターが20日報じたところでは、米中は通商協議の要綱策定に着手しており、この中には中国による農産物購入が含まれる。

また、ブルームバーグは21日、中国が米国からの農産物輸入を年間300億ドル拡大すると提案する見通しだと報じた。

これは米国農業にとって大きな朗報だ。昨年半ばから米中貿易摩擦が激化した影響で、米国産大豆の輸出は昨年、約36%も落ち込んでいる。

300億ドル分の中身がどうなるかは定かでないが、中国の年間農産物輸入の大きな部分を占めそうだ。中国は農業改革の途上にあり、輸入拡大と農村経済活性化の両立は難しい課題になるだろう。

中国の2017年の農産物輸入(全地域)は総額1260億ドルと、過去最高を記録した。最大の割合を占めるのは、大豆その他の油糧種子だ。

米国の17年の中国に対する農産物および関連商品輸出は240億ドルで、中国の農産物輸入の約19%に相当する。

300億ドル分が追加されれば、17年時点でこの比率が24%程度にまで高まる計算。これだけ大幅な拡大ゆえに、一部関係者からは実現性を危ぶむ見方が出ている。<iframe id="google_ads_iframe_/4735792/jp.reuters/opinion/heisei/article_6" style="box-sizing: border-box; font-size: 10px; vertical-align: bottom; margin: 0px; font-stretch: inherit; border: 0px; padding: 0px;" title="3rd party ad content" name="google_ads_iframe_/4735792/jp.reuters/opinion/heisei/article_6" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" width="2" height="2" data-load-complete="true" data-google-container-id="c" data-gtm-yt-inspected-341207_491="true" data-integralas-id-ce1e9ee9-f755-bb2d-6fde-9ccaeead9672=""></iframe>

中国が本当に輸入を300億ドル分拡大すれば、中国の農家と他の貿易相手国は打撃を受ける可能性がある。

中国は19日、農村についての年次計画を発表し、所得・生活水準の向上と国内生産の拡大を引き続き重視するとした。

農家の収入は近年、生産・労働コストの上昇や在庫増加、安い輸入品などの影響で圧迫されている。政府の買い上げ価格はここ数年、国際価格を大幅に上回る傾向にある。中国農業相は20日、国内生産の拡大に力を入れてはいるが、大豆は依然輸入に頼る部分が大きいとし、米国は「重要なパートナー」だと強調した。

しかし年300億ドル分という輸入拡大ペースは、中国の需要の自然な増加幅を大幅に上回る。この結果、他の貿易相手国からの輸入が減るのは避けられないだろう。

中国に対する最大の大豆輸出国はブラジルで、70%以上を中国向けに輸出している。アルゼンチンにとっても、中国は大豆の主要な輸出相手だ。

オーストラリアとカナダは中国にとって、小麦や大麦などの飼料用穀物の主要な供給国だ。ウクライナは対中トウモロコシ輸出で存在感を増している。中国の穀物輸入は油糧種子に比べれば大幅に少ないが、それでも個々の供給国にとって通商関係は重要だ。


韓国「三一運動」100周年 北に取り込まれ危険国家の烙印も!

2019年02月24日 06時04分12秒 | 日記

 

ポスト誌が、100周年の今年の韓国の3月1日祭は盛り上がるだろうという記事を載せていたが、その背景に、北がアメリカと直接交渉するは、中国と北との関係は、強く、中国との貿易に極端に依存している韓国は、決して中国との同盟国ではなく、それこそ、アメリカや日本など民主国家との連携断ち切って、中国にそれこそ土下座して共産主義を信奉すると宣誓しないと中国・北の金主席の仲間には入れてくれない。

今、韓国がアメリカから必ずしも歓迎していないし、日本も1980年代の高度成長期のような一見すると勢いと取り始めているような状況を見て、韓国の人々は焦りまくっているに違いない。

特に韓国は経済状況が厳しく、頻繁に経済危機に見舞われている。1997年に起きた通貨危機はIMFによる韓国救済、2008年から2009年にかけて大韓民国の通貨大韓民国ウォンの価値が大幅に下落したことに伴う通貨危機、2011年のウオン安とインフレでまた経済危機に襲われている。 

韓国経済は少なく十今後10年は経済危機が続くと多くの経済学者が指摘している。その韓国経済が絶望的な理由が4つある。

 

1. 財閥による支配構造
2. 家計債務の爆弾(国民の家計自体が借金漬け。ここの借金総額が60兆を超えている)

3. 米韓金利差による外資のキャピタルフライト
4. 中国企業の猛追と日本企業の躍進で、韓国産業の先が無くなりつつある

この問題に真剣に取り組まなければならない文大統領、枝葉末節ばかりしか行っておらず、しかも娘婿の不祥事がニュースに流れ、任期途中での弾劾もあるとか。そうなると、とにかく日本叩きで延命を図ろうというわけだ。

日本の巨額の赤字国債を積み上げてしまった、国家財政も決して明るくはないが、国全体として見ると、家計の貯蓄が国家の負債を上回っていて国家としての破綻はここの国民に財政負担をさせれば回避出来る状況。

 

韓国はこのまま北に取り込まれるのか(AFP=時事)

 

 韓国で“独立記念日”となっている3月1日が近付いてきた。今年は「三一運動」発生から100年という特別な年。予定されている記念イベントの中には、例年とは違う動きも見られるという。韓国在住ジャーナリストの藤原修平氏がリポートする。


 三一運動とは、1919年3月1日に朝鮮半島で始まった日本からの独立運動である。現在のソウル市鍾路区にあるパゴダ公園で独立宣言書が読み上げられ、そこに集まった人々は「大韓民国独立万歳」と叫びながらデモを繰り広げたのだが、この運動は瞬く間に植民地朝鮮の全土に広がった。現在は“万歳デモ”とも言われている。

 韓国で3月1日は「三一節」という祝日で、毎年その日になると“万歳デモ”を模したイベントが全国各都市で開かれ、多くの市民が「万歳」と言いながら市内を練り歩く。

 この運動が韓国で圧倒的な人気を誇るのは、単に韓国独立の一歩を刻んだからだけではない。最近も韓国外交部が「この運動の精神は東洋と世界の平和を願うことにある」などとコメントしている通り、韓国では平和運動として子どもたちに教育され、社会全体でそう認知されている。

 今年は三一運動から100年という節目の年だ。そのため例年とはひと味もふた味も違う記念事業が政府や各自治体をあげて続々と企画されている。三一節が1週間後に迫り、次第に明らかにされつつあるその内容を見ると、例年よりも“反日色”が強まるであろうことが容易に予想される。

 100年前の万歳デモを再現するイベントは全国の自治体で催され、その中では「日本の憲兵が動員されて万歳デモが阻止された」という出来事も再現されるとみられる。家族揃ってお祭り気分で参加した万歳デモの再現で、日本の憲兵隊とのやり取りを見ることになれば、反日感情はさらに増幅されるだろう。

 ソウル郊外の南楊州市では、市内にある高宗(李氏朝鮮第26代国王、のち大韓帝国初代皇帝。韓国併合後は大日本帝国の王族となった)の墓陵の前で、高宗の死と葬列を再現した演劇が上演される。高宗は三一運動が始まる1か月ほど前に66才で突然世を去ったが、その死因が定かでないことから日本による毒殺説が流布され、それが三一運動の契機の一つになったとされている。劇中で上演される高宗の死は、「悪い日本人」が高宗に毒を盛る、というような設定になる可能性が高い。

 三一節に便乗した、独立運動とは無関係の“反日イベント”まで企画されている。ソウル市は2月18日、来る三一運動100周年に合わせて、旧日本軍慰安婦だった韓国人女性の写真3点を初公開すると発表した。ソウル大学との合同企画によるものだという。しかし、慰安婦は独立に貢献した“烈士”ではない。三一節に合わせた元慰安婦の写真公開は、慰安婦問題で日本をさらに追及する目的があるのだろう。

 元慰安婦らを支援する正義連(日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)という組織がある。まだ馴染みの薄い名称だが、前身が挺対協(韓国挺身隊問題対策協議会)と言えばおわかりだろう。毎週水曜日に日本大使館の前で日本を糾弾するデモ「水曜集会」を開いてきた団体だ。

 挺対協時代から引き続き正義連のトップを務める尹美香理事長は、宗教界、労働組織、民間団体からなる韓国代表団の一員として、北朝鮮南東部の金剛山に2月12日から一泊二日の日程で滞在した。南北民間交流を促進するために北朝鮮代表団に接触したのだ。これも三一運動100周年が念頭にあったといい、そのなかで韓国側が提案したとされる議題の一つが、「日本の性奴隷制度問題の解決と、正しい過去史問題の解決のための南北海外女性討論会」を平壌で開催することだった(2月18日付・統一ニュース)。

 尹理事長の働きかけに見られるように、現在の韓国には、三一運動100周年を契機にして、一気に北朝鮮との距離を縮めようとする風潮が強い。2月18日には、韓国の仏教界が三一運動100周年記念事業として、金剛山での南北仏教交流を行うよう文在寅大統領に提案している。

「100周年」で盛り上がる韓国のラブコールに、北朝鮮が本気で応える可能性は極めて低いだろう。北朝鮮が三一運動のイベントに加わるということは、韓国政府成立の過程を正当化し、金日成が作り上げた国家を否定することになりかねないからだ。

 元慰安婦への謝罪を天皇陛下に求めた文喜相・韓国国会議長による一連の発言、自衛隊機への火器管制レーダー照射問題では政府要人がシラを切るなど、呆れるほどの対応を取り続けている韓国。度を越した対日強硬姿勢の背後には、「来る米朝会談できっと大きな成果があり、その暁には、仲介役である韓国の価値が上がり、一躍世界の平和スターに躍り出る」という韓国政府なりの皮算用があるのだろう。

 今年の三一節の祝日は、ベトナムでの米朝首脳会談が終わった翌日に控えている。米朝会談で大した成果もないままに三一節が終わるころ、気が付けば韓国はまんまと北朝鮮に取り込まれ、世界の平和を脅かす危険国家の烙印を押されてしまう、という事態も十分考えられる。