ニューズウィークが『トランプ大統領、新型コロナウイルス感染でも株価は暴落しない』という慶応の准教授の記事を載せている。ニューヨーク株式がバブル状態という意見は結構多いし、NASDAQのハイテック企業の株価も極大に達しているのを見てもバブル状態というのは確かと思われる。また、記事の中で、感染者を非難するのは日本だけであるという指摘を指摘してあるが、日本は技術でも凋落傾向であるが、モラルも低下しつつあることを思い知らされる。こういった日本の傾向は相当以前からみられ、日本では財布を落としてもかならず戻ってくると言われたが、今や、それは大昔の話になっていいる。
以下、その記事の引用::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
10月2日、メラニアと共に陽性が判明したトランプ。新型コロナウイルスを甘く見た末の感染だけにダメージは大きい Carlos Barria-REUTERS
<大統領選直前の感染でトランプが不利になったにも関わらず株価がさほど下がらないのは、米国株式市場は大きなバブルの崩壊局面にあり、どうやって静かに売り逃げするか、という有力投資家同士のだましあいのステージだからかもしれない>
トランプ大統領およびファーストレディ、メラニア夫人が新型コロナウイルス検査で陽性が判明し、トランプ大統領は万が一に備えて入院した。最側近の31歳、元ファッションモデルの女性スタッフの感染判明での検査によるものだ。
これで株価はどうなったか?
それほど下落しなかったのである。
ダウ平均は朝方取引が始まってから300ドル余り下げたが、間もなく、下げ幅を縮小し、100ドル余りの下落で終わった。ハイテク中心のナスダックの下落幅は大きかった。しかし、この日は、米国では雇用統計の発表もあり、株価に大きな影響を与える指標であるから、トランプの新型コロナ感染だけの株価への影響を株価の動きから図るのは難しい。
ここは、論理的に、定性的な推測をしてみよう。
まず、トランプコロナ感染で株価に与える影響の中で、最も大きなものは、11月の大統領選挙の結果に与える影響だ。トランプ再選は、社会への影響はともかく、株価への影響は間違いなくプラスであるから、トランプ再選の確率が下がる、ということが株価への影響のほとんどすべてだ。
個人的には、他の影響は何も考えなくてよいと思う。
では、トランプ感染で当選確率は下がるのだろうか。
日本的に考えれば、もちろん、致命的に下がるので間違いないと思うだろう。コロナに感染したことを有権者は非難して、誰もトランプを支持しなくなるだろう、と思うだろう。
しかし、これは間違いだ。
コロナ感染で責められるのは日本だけ
まず、コロナ感染が判明すると、その人が、周りから、そして世間から非難されるのは、世界でほぼ日本だけだ。少なくとも欧米ではまったく非難されない。実際、3月には、ニューヨークで感染し、自宅待機している人々が次々とテレビにzoomなどでもちろん実名、ライブで、顔も自宅も丸出しで生出演し、CNNなどでは、コロナが実際どのような症状があるか、経緯はどうなのか、生活はどうしているのか、と、かなり楽しい、和やかな雰囲気でインタビューが続き、最後には、その感染者をまさに英雄としてたたえ、コロナと戦う戦士として、みんなで応援する、という雰囲気で終わる。日本がおかしいのである。
だから、トランプの感染自体は、選挙にマイナスにはならない。ブラジルでもイギリスでも大統領や首相がコロナから回復したことは、英雄で、コロナに負けない強いリーダー像を示し、支持率が上がったのである。
トランプもその可能性があるから、むしろプラスというシナリオはあり得る。
しかし、タイミングが悪すぎる。
選挙戦の最終版で、現地入りして支持者と直接接触して盛り上がることが、最後のトランプパワーだったのが、その戦略が完全に崩れた。しかも、バイデンをスリーピージョーとか、60メートル離れていても大きなマスクをつけて、いつもおびえて地下室にこもっていると、弱虫を揶揄していただけに、自分もこもらざるを得ないのは、盛り下がり、かっこ悪い。
さらに、感染経路や経緯が悪い。
31歳、元ファッションモデルの女性スタッフ、ホープ・ヒックス大統領顧問の感染判明により、周辺が検査したところ、トランプだけが陽性(そこからメラニア夫人へ)というのが最悪だ。このスタッフが超美人で、いかにもトランプ好み、そして、トランプよりももっと近しい関係で、接触も頻繁だったはずのトランプの娘イヴァンガもその夫のクシュナーも陰性だったのが、変な憶測を盛り上げ、有権者への印象は悪い。
ゴシップや家庭内部の争いはともかく、公的にも、スタッフの感染が判明した後でも、選挙活動を続け、あちこちに行っていた、そのときにマスクすらつけていなかった、という大問題が存在している。これへの攻撃は止まないだろう。
そして、もともと選挙予測は接戦で、トランプが追い上げてきたと言っても、いまのところはまだはっきりとバイデン優勢、しかも、第一回討論会で、バイデンがミスをしなかったことで、再度差が開いた直後のことであり、かなり流れは決定的になったのではないか。
大統領選直後から崩壊か
しかし、トランプが負ける確率が高まったのに、株価がそれほど下落しなかったのはなぜか。解釈は2つあり、もともと、第一回討論会でトランプの負けは織り込み済みで、負けること自体はナッシングニューだったということだ。
ただし、これには反論があり、第一回討論会の後、目に見えて株価は下落していないのではないか、ということだ。
私は、トランプ敗戦で株価が下がるのは、実際に投票結果が出たときに、市場は一気に織り込む、あるいは、その直前、投票日直前ぐらいから仕掛けが始まるのではないか、と予想する。そのほうがわかりやすい仕掛けだからだ。
さらに、もうひとつの解釈は、大統領選は株価にとって、いまや重要でない、ということだ。だから、何が大統領選挙で起きても、あまり反応しないということだ。
なぜなら、米国株式市場は大きなバブルの崩壊局面にあり、どうやって静かに売り逃げするか、という有力投資家同士のだましあいのステージだから、あまりことさらにマーケットが騒ぎになるのは、ほとんどの有力投資家にとってマイナスだからだ。
そして、記者は、このバブルが、11月3日の大統領選挙の翌日から一気に崩壊するのではないか、と考える。