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<特に個人事業主やフリーランスにとっては厳しい経済状況だが、なるべく資金を使わずに売り上げを伸ばす方法はあると、自身も起業時に「SNSに救われた」Webマーケティングの専門家、堤建拓氏は言う>
「売り上げが半分になった」という飲食店、「開講するだけでひと苦労なのに、ましてや新規会員の獲得なんて」というスクールやスポーツジム......。
新型コロナウイルスの流行で、日本の経済が落ち込んでいる。特に個人事業主やフリーランスには売り上げが激減したという声が少なくない。
まだ先行きは見えてこない。政府による支援策は一時しのぎにはなるものの、自分の力でこの苦境を乗り越える対策も必要だろう。
でも一体、どうすればいいのか?
現在の経済状況とは違うが、自分も同じように先行きが見えない状況の中、不安を持ちながら起業し、そして「SNSに救われた」と、Webマーケティング、LINE公式アカウントの専門家である堤建拓(つつみ・たけひろ)氏は言う。
堤氏はかつて、起業経験もコネもなく、自己資金どころか「貯金残高6万円」という状態で、名古屋駅近くに小さな英会話スクールをオープンさせたという。わずか3年前、2017年のことだ。
独学で身に付けたSNSとWeb集客のノウハウを駆使し、半年で英会話スクールは3校になり、月商は5倍に。今では多くの企業のWebマーケティングにも携わり、『世界一わかりやすいLINE公式アカウントマスター養成講座』(つた書房)などを著書に持つ。
堤氏によれば、スモールビジネスではSNSの使い方が大きな差を生む――。
新刊 『LINE公式アカウントの達人が教える 超簡単!SNS仕事術 「1人で月商100万円」への超ショートカット法』 (CCCメディアハウス)で堤氏は、フリーランスや個人事業主などのスモールビジネスを展開する人が、SNSを徹底的に活用し、なるべく資金を使わずに売り上げを伸ばす方法を紹介している。
どのSNSを使えばいいのかというスタート地点から悩む人も多そうだが、堤氏によれば、その答えは明白だ。
選ぶべきSNSは「プッシュ型」
堤氏によると、数多くあるSNSの中で、商品やサービスをお客様に購入してもらうために最も適しているのが、「プッシュ型」のツールだという。
「プッシュ型」とは、こちらから登録者に情報を届けることができるツールのことで、LINE公式アカウントやメルマガが該当する。
それとは対照的な「プル型」のツールは、基本的にはダイレクトな通知がなく、相手から情報を見に来てもらうことが必要になる。ブログやFacebook、Instagram、YouTube、ホームページなどが当てはまる。
開封率が高いLINE公式アカウント
同じ「プッシュ型」のツールでも、LINE公式アカウントはメルマガよりメリットが多いと、堤氏は説明する。
■LINE公式アカウントの4つのメリット
【1】開封率が高い
メルマガの開封率は多くて10%程度。それに対し、LINE公式アカウントの開封率は60%が平均値であり、圧倒的に高い。
【2】友だち登録が簡単
LINE公式アカウントの友だち登録は、スマホやタブレットでQRコードを読み込み、「友だち追加」ボタンをタップするだけ。メルマガは、メールアドレスの入力など、手間がかかることが多い。
【3】即効性がある
いま成果を出したいものに、即コミットできる。例えば飲食店なら、雨で売り上げが落ちそうな日に、「雨のクーポン」を配信して来店を促すことが可能だ。
【4】返信されやすい
一斉配信だけでなく、登録者との1対1のトークができる。特に高額商品を販売するビジネスでは、購入に関する相談を受けることができるので非常に有効<iframe id="R0E1JLP" width="0" height="0" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" allowfullscreen=""></iframe>
■あいさつメッセージを「ただのあいさつ」にしない
「友だち追加」されると相手に最初に送られるのが「あいさつメッセージ」だ。堤氏によれば、ここがアカウント整備で最も重要なポイント。友だち追加のお礼の登録特典を付けることで、友だちを集めやすくするのだ。
登録特典の内容は、目的から逆算する。例えば堤氏のLINE公式アカウントの目的は、自身が代表を務める株式会社マーケリンクが開催するセミナーの集客である。
このときにポイントになるのが、次の3つだ。
①「目的」につながる登録特典であること
②最小の労力で工数がかからないものであること
③それ欲しい! 面白そう! と思わせるものであること
(『超簡単!SNS仕事術』64ページより)
下記がマーケリンクの実際の無料登録特典。3大特典+抽選会という構成になっている。
特典1はLINE公式アカウントの運用方法の解説動画だが、タップすると再生され、最後にセミナーの案内をアナウンスする。特典2と3も同様に、特典のダウンロードページの中でセミナーの案内をしている。
また、大抽選会で当選する商品はセミナー参加権だ。つまり、どの特典を見たとしても最終的にはセミナーの参加につながるようになっている。
このような手法を採っているマーケリンクのLINE公式アカウントでは、友だち追加後のセミナー参加者は、30%の高確率だという。
飲食店であれば「ドリンク1杯クーポン」などの特典が多い。そこに面白さを加味して、「抽選に当たれば、ステーキ無料クーポン(外れてもドリンク1杯無料)」とすると、より登録者の増加が期待できると堤氏は言う。
売り上げを最大化する「配信の法則」
どうせLINE公式アカウントの配信をするなら、より効果的な配信をしたい。堤氏によると、売り上げを最大化するための「配信の法則」があるという。
・配信は月4回でOK(プラスαももちろん可)
・売り上げをUPするためには「反応率」を上げることが大事
・反応率を上げるためにはカードタイプメッセージを使うと効果的
・自分のキャラ出し×企画でさらに反応率を上げられる
・企画は季節と絡めた連想ゲームで
・配信をルーティーン化して労力や負担を減らす
(『超簡単!SNS仕事術』158ページより)
この説明にあるように、大切なのは「反応率」。堤氏は、売り上げの公式を次のように定義しているからだ。
売り上げ=友だち数×反応率×単価
反応率とは「クリック率」や「商品やサービスの申し込み率」のこと。では、反応率はどうすれば上がるのだろうか?
■カードタイプメッセージで「反応率」アップ
カードタイプメッセージは、カードが横に連なる形になっており、最大で9枚まで連ねて配信することができる。画像+文章で構成されており、画像の部分のイメージ写真を載せ、あとは文章で説明する。
ここにどんな「企画」を落とし込むかが大切だと、堤氏は言う。
例えば、堤氏のマーケリンクでは、下記のようなカードタイプのメッセージを使い、お正月の時季に合わせて、「プレミアム福袋」の配信を行った。たった一度の配信で通常配信の10倍以上の売り上げがあったという。
■「売り込み配信」はすればするほど売れなくなる
とはいえ、やり過ぎは禁物だ。いつも商品やサービスの案内、つまり「売り込み配信」ばかり出していると、登録者から「不要だ」と判断されて、簡単にブロックされる可能性が高いと、堤氏は強調する。
そうならないためには、愛されるアカウントにして、登録者にファンになってもらうことが必要だ。「自分のキャラ出し」「企画」「圧倒的なギブの精神」が大切になる。
マーケリンクの配信では、代表である堤氏が積極的に登場。クリスマス時季には、「クリスマスだからこの商品を買ってね!」という配信ではなく、イラスト化した堤サンタがクリスマスの商品を説明する。それにより、見た人は親近感を持つようになるらしい。
さらにこの配信では「アンケートに答えてくれたらプレゼントをあげます!」という仕掛けをしていた。その結果、1510名に配信し、208名が配信をクリック、120名からアンケートの回答を得られたという。
本書にはさまざまなコミュニケーション術が紹介されており、一見、手が込んでいそうに見えるLINE公式アカウントが、実は短時間で簡単にできることに驚かされる。
これから事業を立ち上げる人、フリーランスになる人だけでなく、すでに仕事を始めている人でも、費用を抑えて宣伝・告知ができるSNS――特にLINE公式アカウントは、大きな効果を期待できそうだ。