先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

7世紀の飛鳥朝は、田川市にあった?

2020年10月10日 17時56分34秒 | 日記

歴史研究者が日本書紀を紐解いて、邪馬台国や飛鳥朝は福岡県の田川市にあったとする見解を言われる方が増えている。また、鉱物研究者、金属精錬関係者も、田川市のある遠賀川流域には銅や鉄が取れたという見解を述べており、邪馬台国や飛鳥朝廷は田川市にあったのではという説には根拠が出てきたように思われる。

田川観光協会の人達がYoutubeで解説している。下記の動画はまずは飛鳥朝からではあるが。

https://www.youtube.com/watch?v=MywmGbuEbAU

古代史のみならず、飛鳥朝、奈良朝、京都と変遷の歴史も根拠を示した説が色々、公表されており、それらを読むのも面白い。


増え続ける人工衛星群で天体観測が台無し、解決策はあるか?

2020年10月10日 10時10分22秒 | 日記

 

MIT テック レビューが『増え続ける人工衛星群で天体観測が台無し、解決策はあるか?』という記事を載せていたが、天文の進化は技術革新によるもので、その時代時代に、天体観測を阻害するものがある。①地上に大口径の天体望遠鏡が作られた半世紀前は、街の明かりが天体観測の邪魔になると言われて、その後、高山や人工衛星に光学望遠鏡が移った。②観測が光から電波に広がり電波望遠鏡なるものが4,50年前から作られるようになったが、これも電波の利用が携帯電話までに広がり、これも電波スペクトル技術の進化で対応されようとしている。③人工衛星や宇宙天文台による観測が始まると、今度は膨大な数の人工衛星が観測の邪魔になってきたという。時代が進むとともに、天体観測は、高度技術が使われ始め、ガリレオが小さな望遠鏡で大発見をしたようなことななくなり、観測機械の作成は、国家プロジェクトでないと作れなくなている。それに合わせて、最新の天体観測を阻害するものもその時代の最新技術であるが、その都度、克服されてきている。ただ観測機械だけでなく、阻害する要因対策にも膨大な金がかかるという事だけでは?

 

以下、該記事の引用:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

 

 近年、盛んに打ち上げられている人工衛星群(コンステレーション)が夜空で明るい光を放つため、天文学者による天体観測の著しい妨げになることが懸念されている。米国天文学会は、この問題に関する報告書を発表し、解決策を探ることを提言した。

天文学コミュニティに緊張が走っている。地球低軌道を周回する人工衛星の数が増えたことで、空を明瞭に見ることがほとんど不可能になっているからだ。

メガコンステレーション(巨大人工衛星群)が天文学コミュニティに及ぼす真の脅威はようやく理解され始めたばかりだ。米国天文学会が8月に公開した報告書では、メガコンステレーションが、これから実施される可視域や近赤外域における「天体観測を根本から変えてしまう」と結論づけている。「今後は、太陽の光に照らされた人工衛星が夜空の画像に当たり前に写り込んでくるでしょう」と同報告書の執筆者らは記している。

スペースX(SpaceX)の「スターリンク(Starlink)」人工衛星群の第一弾は、昨年の打ち上げから間もなくはっきりと見えるようになり、いくつかの天文台では夜空の画像撮影の邪魔になっていることが分かっている。スペースXは9月3日に、さらなるスターリンク人工衛星群の打ち上げを実施し、2019年5月以来打ち上げられてきた人工衛星653基にさらに60基が加わった。数年以内にはネットワーク全体の人工衛星の数は1万2000基にのぼるとみられ、4万2000基まで増える可能性もある。ロンドンに本拠を置くワンウェブ(OneWeb)は破産親会社の変更(日本版注:ソフトバンクの出資から、英政府とインドのバーティ・グローバル(Bharti Global)の出資へと変わった)を経たあと、米国連邦通信委員会(FCC)から1280基の衛星打ち上げ許可を得た。これは米国でのブロードバンド・サービス提供に利用されるもので、同社は人工衛星の数を最終的に4万8000基まで増やす計画だ。アマゾンは人工衛星インターネット・サービスである「カイパー計画(Project Kuiper)」の推進に必要な3236基の衛星の打ち上げ許可をようやく取りつけた。これらは始まりに過ぎない。私たちが知っていた天文学は、今後すっかり変わってしまうことだろう。

スターリンクの衛星クラスターがハワイのマウナケア山上空を横切る様子を収めたタイムラプス動画(2019年11月12~13日撮影)。

「スペースXのスターリンク人工衛星がはっきりと見えることで誰もが衝撃を受けました」と語るのは、ミシガン州立大学の天文学者で、米国天文学会元会長でもあるミーガン・ドナヒュー教授だ。晴れた夜空に輝く光の列に多くの人が魅了される一方で、天体望遠鏡で撮影した画像にこれが光の線として残り、観測対象の星や天体をさえぎることを天文学者は知っている。「このようなものが空をうろついているかと思うとぞっとします」とドナヒュー教授は語る。

画像に人工衛星が写り込むことは今に始まったことではない。運用中の人工衛星が2600基も地球の周りを周回していれば避けられないことだ。ローウェル天文台の台長にして、前述の米国天文学会の報告書の共著者および編集者でもあるジェフ・ホール博士によれば、大部分の人工衛星、特に高度の高いものはかすかにしか見えないという。画像に写り込んでも小さな点でしかなく、問題になることは少ない。

しかし、最近の人工衛星群は低軌道に配置されるためはるかに明るく光り、光の長い線として画像に写り込み、画像データの他の部分に影響を及ぼす場合がある。また数も多いため、写り込まないように避けることも絶望的だ。昔は人工衛星が写り込んだことで使い物にならなくなる画像は100枚に1枚というところだった。現在の天文学者は、人工衛星の軌跡が写り込むことで全体のデータの3分の2が損なわれるかもしれないという危機に直面している。

こうした新しい低軌道衛星の影響は、天文学の研究プログラムの種類に応じてさまざまな形で現れる。例えばホール博士の研究では光のスペクトログラフ(光源から放たれる光の周波数成分)を観測し、それぞれの星に特有な変化を測定している。画像に影響が出るのは、人工衛星が望遠鏡の真正面を通り過ぎた場合に限られる。

しかし非常に感度が高いか、空を広く見渡せる広視野の次世代型望遠鏡では、スターリンクなどの人工衛星群が壊滅的な問題をもたらすだろう。ハワイ大学の全天観測望遠鏡・高速反応システム「パンスターズ(Pan-STARRS:Panoramic Survey Telescope and Rapid Response System)」のように近傍の天体を観測する天文台では、すでにスターリンクの人工衛星の動きによって画像が台無しになった事例がある。地球に衝突するコース上に小惑星があった場合にも、データが使い物にならなければ、早期に発見して適切な対応策を立案することができなくなる可能性がある。

最も顕著な事例はおそらく、「大型シノプティック・サーベイ望遠鏡(LSST:Large Synoptic Survey Telescope)」で知られるチリのベラ・ルービン天文台だろう。同望遠鏡は、非常にかすかな光学信号や赤外線信号を検出するため10億ドルを投じて建造中であり、遠方の小さな天体の地図作成や、ダークマターやダークエネルギーの調査に利用される予定だ。シミュレーションによれば、スターリンク人工衛星群が全て打ち上げられた場合、ベラ・ルービン天文台が撮影した画像の実に30%にスターリンクの人工衛星の軌跡が最低1つ写り込んでしまう。同天文台のデータを利用する学術的調査の多くが中断されるかもしれず、成されるはずの発見が何世代も遅れてしまうことも考えられる。

ドナヒュー教授によれば、理想的な着地点はこれらの人工衛星の明るさを数百分の1というレベルまで抑えることだという。そのため米国天文学会は、天文学者にも人工衛星運用事業者にとっても現実的だと考えられる解決策の概略を複数作成している。天文学者に人工衛星の予想通過時間と場所を知らせる新型ソフトウェアはその一例だ。通過時間になれば人工衛星の放つ光を遮蔽するなどの対応策を取ることができるし、画像処理でデータそのものから人工衛星の軌跡を削除するためにも使える。

人工衛星運用事業者が解決策を探す際には、ビジネス上の目標も考慮する必要がある。結局、一番手っ取り早くて効果的な解決法は人工衛星群の打ち上げを止めることであるが、これは望むべくもない。

光を反射しにくい人工衛星を作るのはひとつの手だ。スペースXは1月、スターリンク人工衛星用の試作型塗料「ダークサット(DarkSat)」の試験をしたが、明るさを著しく落とすことはできなかった。スペースXは現在、「バイザーサット(VisorSat)」と呼ばれる展開・格納が可能な太陽光遮蔽板を、今後打ち上げる人工衛星全てに搭載するとしているが、科学者の間では本当に有効な対策かどうか意見が分かれている。

ホール博士によれば、有望なアプローチのひとつとして、反射面が地上に向かないよう宇宙空間の人工衛星の向きを調節して、地上の天文台に届く光を最小化することがある。「姿勢を調節したスペースXの人工衛星を個人的に観測しました。通り過ぎるのが見えはしますが、ごくかすかにです。ほとんど光は見えません」(ホール博士)。

人工衛星運用事業者が直面する最大の課題のひとつに人工衛星群の高度がある。ワンウェブの創業者であるグレッグ・ワイラーの主張では、ワンウェブの人工衛星群は1200キロメートルという高高度を周回するおかげで、人工衛星どうしの衝突の可能性は低いという。スターリンクなどは地球に近い距離に多数の人工衛星を展開しようとしているが、高高度を周回する人工衛星は通信可能エリアが大きい。これはつまり、1基ごとに地表をより広くカバーできるということで、人工衛星の数を減らせる可能性がある。

ただし残念ながら、米国天文学会の報告書でも強調されているように、人工衛星の高度が高ければそれだけ視界に入る時間も長くなる。明るさを少し抑えたとしても天体観測の事実上の妨げになるわけで、しかも夜通し見え続ける可能性もある。報告書では、企業は高度600キロメートル以上に人工衛星を配置するべきではないという旨の提言がなされている。

幸いなことに、人工衛星運用事業者は全て、解決策を探るのに協力的だ。米国天文学会の報告書には、スペースXとワンウェブから寄せられた意見が記載されている。「私たちは彼らが素晴らしいことをしていると考えていますし、彼らもまた、私たちが素晴らしいことをしていると考えています。ですから、お互い共存を試みているわけです」とホール博士は語る。

天文学者は人工衛星運用事業者側の善意に頼る立場だ。人工衛星運用事業者が、多くの天文学研究プログラムが進行不能になるほど明るく輝く人工衛星群を打ち上げるにあたって、技術的にも法的にも障壁は何もない。

ホール博士らは、来春開始される次期ワークショップでこの法律の穴埋めに取り組み、提言を作成する予定だ。さらにスペースXをはじめとする企業に、この点でも協力してもらうことを期待している。世界の人工衛星運用事業者には、好き勝手に打ち上げた結果起こる深刻な混沌状態を回避したいというインセンティブが存在する。

「国連に提案するべき政策提言です。これは国際的な問題ですから、国際的な取り組みをもって解決しなければなりません」とホール博士は語る。ただし、国連とその加盟国がこうしたルールを採用し、実施するのがいつになるのかは全く別の問題だ。


宇宙ビジネス「軌道上サービス」とは何か?

2020年10月10日 10時10分12秒 | 日記

 

MIT Techレビューが、『日本企業も注目する宇宙ビジネス「軌道上サービス」とは何か?』という解説記事を出している。①スペースシャトルや人工衛星のドッキング・サービス、②人工衛星や宇宙ステーションのメンテナンスと管理のサービス、③不要になった人工衛星や宇宙ステーションの除去のスペース・デブリなどだという。まさしく、地上での自動車の世界と同じようだ。

 

以下、MIT TechReviewの引用:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

軌道上で宇宙機から宇宙機へ何らかの機能を提供する「軌道上サービス」への注目が高まっている。日本企業も参入する新しい宇宙ビジネスの「今」を紹介しよう。

2020年2月25日、静止軌道上で無人の衛星同士が自動でドッキングし、引退しかけていた古い衛星を新たなミッションに就かせるという離れ業を演じた。

米ノースロップ・グラマン(Northrop Grumman)子会社スペース・ロジスティクス(SpaceLogistics)の開発した「MEV-1(ミッション延長機)」は、史上初めて静止軌

道の上空で通信衛星「Intelsat 901(IS-901)」へのドッキングに成功した。ドッキングされた方(クライアント衛星)のIS-901は、2001年に打ち上げられ、大西洋から欧州への通信サービスを提供していた。打ち上げ時の想定ミッション期間は13年で、MEV-1打ち上げ時の2019年には18年運用されていた。衛星の推進剤は尽きようとしており、静止軌道より300kmほど高い「墓場軌道」へ移動して他の静止衛星と距離をとっていた。

MEV-1のドッキング前に撮影されたクライアント衛星、IS-901
Northrop Grumman Corporation

 

2月25日、MEV-1は墓場軌道上でIS-901に対して衛星の背後から接近。地上局からの接近許可を受けて、IS-901まで1mへと距離を詰めた。MEV-1は目標に対して自律的にドッキング、把持する機能を持っており、無事に成功するとMEV-1側のエンジンによって推進力が生まれ、IS-901は4月2日までに静止軌道へと高度を下げ、衛星を運用するインテルサットの発表によれば新たな東経332.5度の軌道で通信衛星としてのフルサービスを開始したという。MEV-1は今後5年間、2025年にIS-901が完全に引退するまでIS-901のエンジン役を務める。IS-901を墓場軌道まで移動させた後、MEV-1はさらに別の衛星とドッキングして新たなクライアント衛星にその機能を提供する予定だ。静止通信衛星の軌道上寿命は15年前後が一般的だが、IS-901はもともと長寿命だったとはいえ25年も運用を継続できることになる。

こうした静止衛星の役割を持つ衛星を、スペース・ロジスティクスは2020年8月にもう1機打ち上げた。MEV-2は、MEV-1と同様にインテルサット1002(IS-1002)のミッション延長サービスを提供する計画で、MEV-2とIS-1002のドッキングは2021年初頭に実施される予定だ。IS-1002はまだ墓場軌道に移動しておらず、現在も静止軌道上で運用されているため、ドッキングはよりチャレンジングなものになる。

 

フランスのAriane 5ロケットで打ち上げ前のMEV-2(左側)。
Arianespace

 

静止軌道の衛星は、近年のインテルサット衛星の場合は開発コストが400万~450万ドル(約418億~470億円)程度、日本の静止気象衛星「ひまわり9号」でも340億円かかっている。ミッション延長衛星、MEV-1の開発費は非公開だが、スペースフライト・ナウ(Spaceflight Now)の報道によればインテルサットとのミッション延長サービス契約の料金は年間1300万ドルだという。インテルサットからすれば、15年間サービスを受けるとしても総額195億ドルとなり、新規に衛星を開発するよりは低コストで既存の衛星を活用できる計算だ。MEV-1のようなエンジンの役割を引き受ける衛星は、墓場軌道から衛星を移動させるだけでなく、静止通信衛星の軌道を維持する(ステーションキーピング)の役目も果たす。

MEV-1のように軌道上で宇宙機から宇宙機へ何らかの機能を提供する活動を「軌道上サービス」と呼ぶ。ノースロップ・グラマンの発表によれば、年間で20機近い衛星が推進剤切れによる引退を迫られるといい、MEV-1のようなエンジン提供を待つ潜在クライアントは相当数あると考えられている。衛星が衛星とドッキングしてエンジンを提供するだけでなく、小型のエンジンをクライアント衛星に取り付けたり、クライアント衛星の壊れた部分を修理したり、点検したりといったさまざまな用途も考えられ、MEV-1の成功を皮切りに新たな宇宙ビジネスの分野として期待されている。

軌道上サービスの概念そのものは新しいものではなく、今年打ち上げから30周年を迎えたハッブル宇宙望遠鏡がスペースシャトル搭乗の宇宙飛行士によって軌道上で修理されたことも、軌道上サービスの一つだといえる。ただ、民間の商業衛星どうしでのサービス提供はMEV-1が初めてだ。スペース・ロジスティクスは2020年3月、米国国防高等研究計画局(DARPA)と軌道上サービスの提供で契約を結び、軌道上修理や点検、クライアント衛星の移動などを担う予定で、この分野を牽引する存在だ。

アストロスケールが海外企業買収で参入

静止軌道の衛星は、近年のインテルサット衛星の場合は開発コストが400万~450万ドル(約418億~470億円)程度、日本の静止気象衛星「ひまわり9号」でも340億円かかっている。ミッション延長衛星、MEV-1の開発費は非公開だが、スペースフライト・ナウ(Spaceflight Now)の報道によればインテルサットとのミッション延長サービス契約の料金は年間1300万ドルだという。インテルサットからすれば、15年間サービスを受けるとしても総額195億ドルとなり、新規に衛星を開発するよりは低コストで既存の衛星を活用できる計算だ。MEV-1のようなエンジンの役割を引き受ける衛星は、墓場軌道から衛星を移動させるだけでなく、静止通信衛星の軌道を維持する(ステーションキーピング)の役目も果たす。

 

2018年にエフェクティブ・スペースが発表したスペースドローンの構想では、衛星は400kg程度の小型衛星で、先端に通信アンテナや小型のイオンエンジンを取り付けたアームなどがクモの足のように生えている。衛星本体にもイオンエンジンを備え、ライダー(LIDAR:レーザーによる画像検出・測距)とカメラでクライアント衛星との位置、姿勢を調整しながらエンジンとコールドガススラスタ(ガスを噴射するタイプの小型エンジン)を使って接近、ドッキングする。

 

エフェクティブ・スペースの軌道上サービス衛星「スペースドローン」(上)がクライアント衛星を把持するイメージ。衛星を掴むアームのほかに、先端に小型エンジンを取り付けたアームを4本備えている。
アストロスケール

 

ミッションを延長する理由は、スペース・ロジスティクスと同じだ。通信機能などミッション機器にはなんら損傷がないにも関わらず、推進剤が枯渇して引退せざるを得ない衛星をより長く使うためだ。また、静止軌道の衛星が微小デブリ(飛来する微小な天体のかけらなど)などにより軌道からそれてしまうことも多いといい、ステーションキーピングはエンジン役を担う衛星の大事な役割となる。

打ち上げから年数が経って自力での移動が難しくなった衛星に、推進力を提供するというミッション延長サービスのコンセプトは、スペースデブリ除去と共通部分が多い。スペースドローンが低軌道でサービスを提供する場合、役割を終えた衛星により低い軌道へ移動するための推進力を提供し、最終的に大気圏へ再突入させて軌道から取り除くADR(積極的デブリ除去)の役割を果たす。アストロスケールの創業事業とも共通する。

エフェクティブ・スペースは、2機のスペースドローンを打ち上げ、2020年に「国際的な衛星オペレーター」をクライアントに最初の軌道実証を実施する予定だった。実施は2021年以降となりそうだが、「軌道実証を目指して開発中」(アストロスケールの岡田光信代表)だという。

ミッション延長またはADRでは、クライアント衛星はサービス提供側に対して衛星の軌道はもちろん、外観や構造、軌道上での状態など機微な情報を開示しなくてはならない。これがサービス提供のハードルになると考えられるが、エフェクティブ・スペースではサービスの提供形態を2種類用意しているという。ひとつはエフェクティブ・スペース側がスペースドローン衛星を運用する方法だが、もうひとつ、スペースドローンをクライアント側の衛星オペレーターに引き渡す、「買い切りタイプの運用も可能」(岡田代表)だという。この方式ならば、衛星オペレーターは機微な情報を表に出さずにミッション延長サービスを利用できる。

スカパーJSATも参入へ

アストロスケールと同じADRの分野に、日本からもう1社参入を発表したのがスカパーJSATだ。通信放送衛星を運用する衛星オペレーター側だったスカパーJSATは、2020年後半にスペースデブリ除去事業を開始するという。理化学研究所・九州大学・名古屋大学・JAXAと共に、運用が終わった衛星などのスペースデブリに対してレーザーを照射し、軌道を変えて大気圏へ再突入させる構想だ。スペースドローンの場合はサービス側衛星のエンジンによってクライアント衛星の軌道を変えるが、スカパーJSATの方法では、高エネルギーのレーザーを照射することで衛星の表面がプラズマ化、または気化してそれが推進力を生むという方式だ。レーザー照射式は、サービス衛星とクライアント衛星が接触しなくてすむという利点がある。MEV-1やスペースドローンの場合はドッキングという難しい工程が必須で、レーザー照射式には低リスクというメリットがある。スカパーJSATでは、パルスレーザーシステム搭載衛星を開発し、2026年のサービス開始を目指すという。

スカパーJSAT

 

ただしこの事業構想には、いくらか不透明な部分がある。パートナーである理化学研究所が開発していたスペースデブリ対策向けのパルスレーザーシステムの研究が継承されている様子が見えないことだ。2015年の理研発表では、地上から補足が困難な微小スペースデブリを軌道上で検出し、パルスレーザーを照射して大気圏に再突入させる研究があった。衛星と微小デブリ、ターゲットの大きさには開きがあるものの、パルスレーザーは中核技術となりうるはずだ。しかしスカパーJSATの発表時、理研の既存研究の利用については「過去の夢のような構想」と否定的なコメントがあったのみで、技術の継承については触れられなかった。既存の技術を使わないのであれば、具体的にどのような技術によって実現するのか、説明が待たれるところだ。

 

衛星ミッション延長やデブリ除去などの分野を皮切りに、宇宙で宇宙機が他の宇宙機へ機能を提供する「軌道上サービス」のビジネス化が進みつつある。軌道上サービスの基礎となる過去の研究と今後の広がりについて、今後の記事で解説する。


学術会議の会員候補の問題で、学者の世界に良くも悪くもスポットライトが当たった。

2020年10月10日 09時24分43秒 | 日記

菅首相が学術会議の会員任命問題で、学問の自由が損なわれると議論沸騰しているが、その前に、学者の世界、結構不透明の部分がある。

大学に関しては、階層が意外に深い。助手、講師、准教、助教、教授、名誉教授、それに管理の学部長、学長、外に出ると学会でここも管理かもしれないが会長、理事などがあり、各学会を統括するのかしないのか学術会議がある。そして、さらに学士院なるものがあって、階層がものすごい。さらには、イデオロギーや派閥で、例えば医学部教授選考や学長選考で巣覚ましい争いがあるというのも、小説や映画などになっており、まんざら、作り話ではなさそう。

ということで、学者の世界、特に漸近が使われている部分、その機構の意義や運営方法を改めて、公開すべきであろう。

いずれにしろ、清廉潔白と思われている、教職、聖職、学者の世界、一般社会と大差なくドロドロしたものがあって、差別と分断化の世界と思った方が対応しやすい。