ニューズウィークが『「人民日報」の姉妹紙である環球時報の記事、「中台戦争の危険が急激に高まっている」』を紹介して、中台戦争の危機が高まると同時に一挙に中国化されるとアジっている。そして、環球時報の記述『台湾政府を、軍事的手段によって鎮圧される必要があるかもしれない』で締め括っている。戦争にならなければよいと願うしかなさそう。
中国の台湾侵攻に備えて訓練を重ねてきた台湾軍兵士(2018年1月30日) Tyrone Siu-REUTERS
<対中強硬姿勢を強めるアメリカと台湾の接近に苛立ち、軍事的挑発をエスカレートさせる中国共産党からの警告>
台湾の蔡英文総統は10月10日、台湾の民主主義は中国による侵略の可能性に対する防備を強化していると述べる一方で、台湾を自国領土と主張する中国政府に「意義深い対話」を呼びかけた。
台湾独立を掲げる民主進歩党の主席で、1月の総統選挙で2期目に再選された蔡は、中華民国の建国記念日にあたる「双十節」の祝賀式典で、穏やかになだめるような口調で演説した。つい1カ月前には、台湾海峡で中国が軍事演習をおこなったばかりだ。
中国共産党は「一つの中国」の原則にもとづいて台湾の領有権を主張。外交的手段が失敗に終わった場合には、軍事力によって台湾の支配権を手に入れると明言している。
蔡は10日の演説のなかで、台湾政府は「軽率な行動をとるつもりはなく」、「中台関係の安定を守るために力を注いでいく」と述べた。
軍事力で再統一
蔡は、中国政府との「意義深い対話を促進するために協力する用意がある」と語った。中台関係は最近、新型コロナウイルスのパンデミックや、香港の民主派活動家に対する中国の締め付け、新疆ウイグルでのイスラム系少数民族の弾圧、そして台湾海峡で継続される軍事演習をめぐって緊迫している。
中台をめぐる状況は「深刻に悪化している」と、11日の社説で主張した環球時報は蔡を非難し、「対話促進という考えを、時間稼ぎ戦術のための『オリーブの枝』として利用し、国際社会を欺いて同情を集めようとしている」と述べた。そして、蔡政権を「日和見主義の政治家の群れ」と切り捨てた。
中国共産党内の好戦的な意見を外に広めるためにしばしば使われる環球時報は、この台湾海峡で中国が最近行っている軍事演習について、「『分離』を求める勢力に対する明確な警告」と賛美した。台湾の独立派のことを指してのことだ。
「蔡政権の挑発のせいで、戦争の危険は急激に高まっている。蔡政権は崖っぷちに立っている」と同紙は続けた。
環球時報はさらに、中国人民解放軍が台湾海峡で最近実施した陸海空軍共同の上陸演習の映像も公開。この演習を、「台湾の分離主義者に対抗し、再統一を推し進めようとする中国の高い能力と確固たる意志」の証と表現した。
「この演習は、中国人民解放軍が台湾の支配権を掌握する際に威力を発揮する無人機、水上および地上車両を中心に行われた」と、同記事は続けている。
中国の航空母艦から出艦する戦闘機の動画。ここから→動画
「中国本土は明らかに優位に立っている」と環球時報は社説で述べている。「中国は、台湾の分離主義勢力を軍事的に攻撃する可能性に備えて、全面戦争レベルの準備を整えつつある。単なるこけおどしではない」
アメリカは、1979年の台湾関係法により、中国の侵略に対して台湾防衛を支援することを暗黙ながら約束している。アメリカ政府は台湾を正式に国として認めていないが、以前から武器の売却を通じて台湾を支援し、中国政府を大いにいらだたせている。
国家安全保障を担当するロバート・オブライエン大統領補佐官は10月上旬、中国の圧力に関連して、台湾市民は「ヤマアラシになる」べきだと語った。ライオンは普通ヤマアラシを食べたがらないためだ。
環球時報は台湾政府を、「中国を封じ込めるためのアメリカの新たな政策に、全面的に足並みをそろえている」として批判し、次のように続けた。「蔡政権は、中国に対して徹底して敵意を向けている。この問題は、もはや対話では解決できない。悪意ある勢力は、軍事的手段によって鎮圧される必要があるかもしれない」
ニューズウィークが、『千人計画で「流出」する日本人研究者、彼らはなぜ中国へ行くのか』という記事を載せていたが、積水化学の研究者がスマホのタッチパネル用素子の情報を中国に流したという事が開発者や研究者の間で話題になっている。高度成長に陰りが見え始めた、980年代ころから、日本での研究費が細くなって、中国に活躍の場を見つけた人も多いように思う。それ以来、日本より、中国の方が研究しやすいという事だろう? 2000年ころから大学を締め付けた結果、高度成長期の恩恵で2000年以降、日本人のノーベル賞受賞者が続いたが、それもぼつぼつ終わって、数十年は基礎研究は、闇の中に入ってしまうだろう。そのことと、このニューズウィークの報じている原因は同根であるとおもう。