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5Gスマホの袋小路 コンシューマー主導の終わりか 5G

2020年10月06日 06時42分42秒 | 日記
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日本経済新聞によると、『5Gスマホの袋小路 コンシューマー主導の終わりか 』という。5Gスマホ、意外に売れ行きが悪いというのはよくいわれていることで、現在の4G スマホで機能も速度も十分で、高いお金を払って5Gスマホを買いたいと思う人は少ないからだという。しかし、高速性を生かしたアプリが登場すれば、新たな利用者が生まれるであろう。
 
 

 

KDDIの高橋誠社長は9月25日に開催した発表会で「今後発売するスマホはすべて5G対応になる」と断言した

KDDIの高橋誠社長は9月25日に開催した発表会で「今後発売するスマホはすべて5G対応になる」と断言した

「この秋から低価格な(次世代通信規格)5Gスマホが続々と登場する。5G祭りになるだろう」──。ソフトバンクの宮内謙社長兼最高経営責任者(CEO)が8月の決算会見で語った通り、ここに来てミドルレンジ価格帯の5Gスマートフォンが増えてきた。

中国OPPO(オッポ)や同・小米(シャオミ)、シャープなどから5万円前後の価格帯の5Gスマホが登場している。5G普及に向け端末価格の壁が崩れ始める一方、5Gならではの端末の進化はみられない。コンシューマー(消費者)主導で進化してきたモバイルの歴史が、終焉(しゅうえん)を迎えているという指摘もある。

 

■ミドルレンジ価格帯の5Gスマホが壁崩す

携帯電話は、ほぼ10年ごとに大きな世代交代を遂げる。ネットワークと端末、サービスの3つが次世代に切り替わることで、新たな世代の通信システムが本格的に普及する。

その点で、携帯大手3社が3月下旬に商用サービスを開始した5Gは、まだ発展途上だ。5Gエリアは極めて限定的であり、5Gスマホは10万円を超えるようなハイエンド価格帯が主流だ。サービスについても、現行の4Gでも利用できるクラウドゲームや多視点映像が中心で、5Gをあえて購入する理由は少ない。

5Gスマホの価格が高いという壁は、ここに来て崩れ始めてきた。例えばソフトバンクが7月末に発売した「Oppo Reno3 5G」(オッポ製)の価格は6万円台だ。端末購入プログラムを利用すれば3万円台半ばで手に入る。

KDDI(au)が9月に発売した「Mi 10 Lite 5G」(シャオミ製)も4万円台で購入できる。2021年春に発売予定の「AQUOS sense5G」は、現在のところ価格は未定だが3万円台になるとみられている。

今後、携帯大手が扱うスマホの中心が5G対応になれば、機種変更に伴って5G契約数は自然と増えていくだろう。KDDIの高橋誠社長は9月25日に開催した発表会で「今後発売するスマホはすべて5G対応になる」と断言した。

 

■画面解像度は20年で300倍、右肩上がり限界に

ただ5Gスマホが進化の袋小路に陥っている感は否めない。現在市場に登場している5Gスマホは、4Gスマホと画面サイズや解像度はほぼ変わらず、5Gならではの飛躍的な進化が見当たらないからだ。

 

(作成:日経クロステック)

(作成:日経クロステック)

 

理由はいくつか考えられる。手のひらに収まるデバイスとして、6.5インチ程度の画面サイズが限界ということが見えてきた点が一つある。またフルHD+(2400×1080ドットなど)に達した現在のスマホの解像度も、これ以上、解像度を上げたところで人間の目で違いが分からなってきたという点もある。画面サイズを広げる苦肉の策として2画面スマホも登場しているが、耐久性の面などから主流になる気配がない。

5Gの高い性能が、スマホ本体に収まりきらなくなってきたという指摘もある。拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を楽しむためには、スマホの画面ではなく、VRゴーグルのような周辺機器と連携したほうがよい。

コンパクトカメラやボイスレコーダーなどあらゆるコンシューマー機器をのみ込んできたスマホが、再び機能分散するような流れも見えている。そんな点も、5Gスマホの機能進化が乏しい理由の一つだろう。

これまでの2Gから4Gの時代を振り返ってみると、こうした端末進化の袋小路とはまるで皆無だった。通信速度の向上に合わせて端末の画面サイズと解像度は、右肩上がりに常に拡大してきたからだ。

2Gの時代、1999年に登場したNTTドコモのiモードの初期端末である「P501i」の解像度はわずか96×120ドットだった。それが3G、4Gの時代に飛躍的に画面サイズと解像度が拡大し、2019年に発売された米アップルの「iPhone 11 Pro Max」の画面サイズは6.5インチ、解像度は2688×1242ドットに達した。画面解像度はこの20年でざっと約300倍に広がった計算だ。

画面サイズと解像度が広がることで、端末を介して届けるサービスの表現力も高まる。高度化したサービスが飛躍的にトラフィックを伸ばすという効果を生んできた。

画面解像度が約300倍に広がったということは、利用者が画面を見るだけでトラフィックが約300倍に増えるということだ。トラフィックを伸ばすことが携帯電話事業者の売り上げ増に直結する。

この20年間は、端末の通信速度と画面解像度の飛躍的な進化が、トラフィックの拡大と携帯電話事業者の売り上げ増につながった幸せな時代だったといえる。

 

■トラフィック伸ばすアプリが登場していない

コンシューマー主導で成長してきたモバイル市場が限界を迎えているという指摘もある。

フィンランド・ノキア日本法人最高技術責任者(CTO)の柳橋達也氏は「過去のインターネットの歴史を振り返ると、タイミングごとにトラフィックを指数関数的に伸ばすコンシューマー向けアプリケーションが登場し、パラダイムシフトを起こしてきた。しかし過去5年間で、コンシューマー起点で劇的にトラフィックを伸ばすアプリケーションが登場していない」と指摘する。

同社がまとめた資料を見る限り、これまでグーグル検索やSNS(交流サイト)、動画配信など、トラフィックを劇的に伸ばすコンシューマー向けアプリケーションが定期的に登場している。しかしこの5年ほどは、そんな新たなアプリケーションが登場していない。

現在の世界のトラフィック拡大をけん引するのは米ネットフリックスに代表される動画配信だ。しかし同社が動画配信ビジネスを始めたのは今から10年以上前の07年である。

柳橋氏は「5Gの時代、トラフィックを右肩上がりに成長させるためには、コンシューマー向けビジネスではなく企業向けビジネスを拡大する必要がある」と指摘する。

過去の通信技術の世代交代では、携帯電話事業者が事前に想定したキラーサービスはことごとく外れた。

例えば00年代前半の3Gの開始当初、携帯電話事業者がキラーサービスとしてプッシュしたのはテレビ電話だった。しかしテレビ電話はほとんど普及せず、実際に3Gのキラーサービスになったのは着信メロディーや写真付きメールだった。今後、想定外の5Gのキラーサービスが登場する可能性がある。

ただ5Gは、右肩上がりのコンシューマー市場を対象とした、ある意味分かりやすかった進化の方向性とは異なる道をたどることは間違いない。コンシューマー一色だった4Gまでのキラーサービスから、スマート工場や自動運転、遠隔医療など多様な社会インフラ分野へとシフトしていく可能性もある。その意味でも5Gは、4Gまでの世代交代とは異なる非連続的な進化になる。

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