- 日経によると、『気象庁気象研究所が異常気象の原因が見つけたという 難題との闘いに光明』という。今までわからなかったことなのか? どうも、異常気象と地球温暖化とは直接的な関係がないというのが解明が出来なかったもののようである。しかし、この日経の記事では、地球温暖騎亜と関係ない異常気象の原因には触れておらず、それは何なのかという疑問は残る。
-
異常気象の原因をついに研究者が突き止めた。自然の複雑さと向き合い、いくつかの現象について、ようやく「確証」を得るところまでこぎ着けた。ずっと決着をつけたかった難題の解明に光が差してきた。
オーストラリアの大規模な森林火災=ロイター
A「猛暑や豪雨は地球温暖化のせいですよね」
研究者1「そうとは限りません」
B「地球が温暖化しているから、異常気象が増えていますね」
研究者2「温暖化の影響が無くても、異常気象は起こります」
C「異常気象と温暖化には因果関係があるのでしょうか」
研究者3「それぞれの異常気象の原因が温暖化だとは言い切れません」
2020年のロシア・シベリアを襲った熱波や18年の日本の猛暑――。異常気象が起きる度に研究者は説明に困っていたと推察する。歯切れが悪いと非難するのは見当違いだ。猛暑や豪雨など個々の異常気象と温暖化の関係は、わからないと返答するのがこれまでは正しかった。
ところが最近、猛暑や熱波について「温暖化さえなければ、この異常気象は発生しなかったはず」と明言する研究者らが現れた。異常気象と温暖化の関係をコンピューターで読み解く新しい手法が世界中で実を結びつつあるのだ。
新手法は「イベント・アトリビューション」と呼ぶ。気象庁気象研究所の今田由紀子主任研究官らは計算結果に目がくぎ付けになった。自らの研究で18年7月の異常な猛暑の原因に迫っていたときだった。18年は埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41.1度を記録した。
コンピューターでは「温暖化の影響がある現実の地球」と「温暖化の影響がない架空の地球」を再現した。「18年夏」以上の猛暑の発生確率を「温暖化がない」条件で計算すると「ほぼ0%」との結果が出た。「現実の地球」の確率は「19.9%」。この数値の差こそが猛暑と温暖化の関係を示唆する「証拠」だった。
「温暖化がなければ、18年7月の猛暑は起こりえなかった」。今田氏らが19年5月に科学誌で論文を発表すると、大きな反響を呼んだ。
世界の研究者も声を上げ始めた。20年のロシア・シベリアの熱波は、温暖化していない地球なら8万年間に1回未満の頻度だったといい、温暖化のために起きたとみられた。オーストラリアで19年9月から20年初めにかけて続いた大規模な森林火災は、英国などの研究者らが調べ、温暖化が影響したと発表した。
2018年の西日本豪雨
異常気象と温暖化の関係をひもとくのは、複雑さとの闘いでもある。自然は気まぐれだ。気温ひとつとっても、温暖化かどうかに限らず、ばらついている。ばらつきを膨大な回数の計算で封じ込めるのが新手法だ。計算を繰り返し、気温のゆらぎが山のような曲線のグラフに落ち着けば、しめたものだ。一定の傾向が見えてくる。
やっかいなのは、それでもばらつきを完全には制圧できないことだ。1850年以降の工業化で約1度上がった現実の地球の計算結果をグラフに押し込んでも、ありふれた夏や暑い夏、寒い夏が顔を出す。
そこで研究者は知恵を絞った。「工業化後に温暖化ガスを出さない地球があったとしたら……」。ありえない地球を想像したのだ。「温暖化ガス」は「増えなかった」とし、「海水温の上昇」は「無かったこと」にする。温暖化とおぼしき要因を引き去った地球の振る舞いを計算する。「クールな地球」のグラフが「どれだけゆがんだか」をみて、個々の異常気象のリスクを温暖化がどれだけ押し上げたのかを推し量る。
専門家が例に出すのが喫煙と肺がんの関係だ。たばこを吸う誰かが肺がんだからといって喫煙が原因とは言いにくい。多くの喫煙者で肺がんを調べたら傾向がつかめるというわけだ。新手法のおかげで新事実も明らかになった。12年の九州北部豪雨は温暖化とは関係が無いとみられた。
難題の解明に光が差してきたのはコンピューターの進歩が大きい。従来のコンピューターは過去数十年分の気象データを扱うには力不足だった。そこに計算能力が整ってきた。60キロメートル四方ではなく、20キロメートル四方を計算する力も手に入りつつある。「日々の天気予報で温暖化の影響が分かるようになれば、気候変動の関心はもっと高まるはず」(今田氏)。対策も立てやすい。
大切なのは、全てをわかった気にならないことだ。温暖化以前の地球やその後の経緯を人類は完璧に理解しているわけではない。計算の出発点を誤ると、問題の複雑さがとたんに顔をのぞかせる。温暖化の現状認識を巡り、世界には意見の対立もある。観測データとの照合や計算結果の検証は今後も続く。