先端技術とその周辺

ITなどの先端技術サーベイとそれを支える諸問題について思う事をつづっています。

画期的なX線宇宙マップ

2020年07月10日 15時46分43秒 | 日記

I

ナショナル・ジオグラフが、『宇宙の真理にまた一歩近づく、画期的なX線宇宙マップが初公開』で、Ⅹ線天文尾進化を解説していたが、特に21世紀になってから、観測機器が宇宙からも使える様になって、いろいろな観測データが得られ、ますます宇宙の不思議さを明らかにしている。宇宙の質量の4%しか実態がわからくなって、残りはBlack MatterとかBlackEnergyとされていて天文学が面白くなっている。このレポートでも、新たにX線を出す天体が100万個も見つかったとか、依然は発見されなかった場所にブラックホールが見つかったとか。<iframe frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no"></iframe>

これまで分からなかったブラックホールなども多く確認された Jeremy Sanders, Hermann Brunner and the eSASS team (MPE); Eugene Churazov, Marat Gilfanov (on behalf of IKI)

<宇宙全体の銀河やブラックホールが発するX線を捉えたイメージ画像を、ロシアとドイツが共同事業で作成>

地上からの望遠鏡では観測が困難な、高エネルギーのX線によって天体を捉えた、画期的な「X線宇宙マップ」を研究グループが公開した。

このイメージ画像は、昨年7月にロシアとドイツが共同事業で打ち上げた宇宙望遠鏡「Spektr-RG」に搭載されたX線観測装置「eROSITA」が、182日間に渡って収集した観測データをもとに、初めて宇宙全体のマップが作成された。

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マップには、これまで観測されたものの2倍にあたる、100万以上のX線天体が描かれている。

「今回の全天イメージは、エネルギーに満ちた宇宙の見方を完全に変えた」と、独マックス・プランツ地球外物理学研究所(MPE)のペーター・ブレデールは声明で述べている。「詳細まで可視化され、このイメージの美しさは本当に見事だ」

 

中性子星同士の融合も確認

 

多くの天体は、高エネルギーの電磁放射線であるX線を発しているが、「eROSITA」による全天マップは、これまでの光学望遠鏡や電波望遠鏡によって作成されたマップとはかなり異なっている。

マップに示されたほとんどのX線天体は、「活動銀河核」と言われる巨大なブラックホールで、周囲の物質や広大な銀河団を飲み込んでいる。これらの多くが、以前には特定されたことがないブラックホールだ。

その他にも、地球がある銀河系の高温ガスの構造や、銀河系と近隣の銀河で起こったスーパーノバ(超新星)爆発の残骸(大マゼラン雲、小マゼラン雲など)をマップで見ることができる。

さらに、今回の観測で様々な、まれにしか起こらない珍しい現象が確認された。巨大な天体の非常に高密度な残骸である中性子星同士の融合や、ブラックホールに天体がのみ込まれるといった現象で、いずれもX線を放出する。


自動車にとって、依然、電池がネックとは!

2020年07月09日 06時00分49秒 | 日記

 

 
 

日経ビジネスによると、トヨタ自動車がSUV(多目的スポーツ車)「RAV4」のプラグインハイブリッド車(PHV)の国内受注を発売から約3週間で停止した。消費税込みで469万~539万円と決して安くない車両価格にもかかわらず、月販300台という販売目標を上回った受注に年度内は電池の生産が追いつかないというのが理由だ。

話はそれるが、Clicc Car10thという自動車専門サイトが、プリウスなどのHV, PHV車のバッテリーの進化を調査し、電圧(V)、電力量(kWh)、容積(L)、重量(kg)、セル数を掲載していた。以下はプリウスに関するものである。充電時間や持続時間あるいは価格はそう改善されていないという。そして、駆動バッテリーはLi電池かと思ったら、今まではニッケル水素電池であるという。

初代(前期)ニッケル水素電池:288V 1.8kWh 95L 74kg 240セル
2代目・3代目ニッケル水素電池:202V 1.3kWh 37L 39kg 168セル
4代目ニッケル水素電池:202V 1.3kWh 35L 40kg 168セル
4代目リチウムイオン電池:207V 0.8kWh 30L 25kg 56セル

因みにプリウスのPHVは、Li電池で電力量は88KwHで、車の値段もプリウスの倍はしている。HV,PHV,EVが値段が高く中々普及しないのは偏にバッテリーの課題であったのがわかった。HV車が同じクラスのガソリン車に比べておおむね2割くらい高いのはどうかならないかと思っていたが、バッテリーの現状を考えると致し方ないであろう。それにしても、最初に燃費がガソリン車の倍はよいHVを提供したトヨタ、そして、ガソリンエンジンで電力を起こしてモーターで駆動させ、燃費もHVと同等のe-Powerを提供した日産の技術はもっと声を大にして世界に宣伝した方が良いのでは?

いかは、日経ビジネスのトヨタRAVのPHV車に関する記事::::::::::::::::::::::::::
発売から3週間で受注停止になったRAV4のプラグインハイブリッドシステム

 RAV4のPHVは欧米などでの発売やスズキへのOEM(相手先ブランドによる生産)供給も予定しているが、電気自動車(EV)をはじめとする電動車の需要に対し電池の供給能力という壁が改めて立ちはだかったといえる。

 RAV4のPHVの電池の生産を担うのは、トヨタとパナソニックが車両電動化の拡大に向け、4月に新設したプライム プラネット エナジー&ソリューションズ(東京・中央)だ。ハイブリッド車(HV)だけでなく。より大容量のEV向け電池の生産も視野に入れた会社だ。RAV4向けの電池を作っている姫路工場(兵庫県姫路市)はもともとパナソニックの液晶パネル工場で、昨年11月に車載電池の生産を開始している。車載電池の工場としては、これから成長していく工場といっていい。

 米系調査会社アーサー・ディ・リトル・ジャパンによると、新型コロナウイルスの影響が収まってくると想定する2026年以降ではEV、PHVともに年率で前年比11%増のペースで世界的に生産が伸びていくと推測している。欧州や中国で強化される自動車の環境規制が追い風になるとの見立てだ。

 しかし、ある国内証券アナリストは「液体を使った現在の電池をこれ以上いじっても性能は向上しない。トヨタが開発している全固体電池を搭載した市販車も2030年までに出てくればいいレベル。EVの普及というより、当面の現実解はHV」と話す。HVより大容量のバッテリーを積み、電気での航続距離を伸ばしたPHVは現実解の1つに当てはまるだろう。

 こうした状況下で、トヨタは長年手を携えてきたパナソニックだけでなく、中国の車載電池世界最大手、中国・寧徳時代新能源科技(CATL)や比亜迪(BYD)、日本勢でもGSユアサ、東芝などとの全方位外交に19年6月に舵(かじ)を切った。「電池は自分たちで手の内化した技術だが、必要な量を全て自分たちでまかなえるとは思っていない」(トヨタの寺師茂樹副社長、当時、現取締役)。この発表の際、トヨタは車両電動化のスピードが従来の想定より5年早く進んでいることを認めている。

 スズキへのOEMが示すように、トヨタは電動化で他の自動車メーカーから頼られる側だ。全世界での規制に対応して電池の量を確保していくには、パナソニックと二人三脚で取り組んできた従来の枠組みだけでは難しい。今回のRAV4の電池不足も避けては通れない道だったのかもしれない。

 世界に目をやれば、時価総額でトヨタを上回ったEVメーカーの米テスラは長持ちする電池の確保に向け、スイスの資源大手グレンコアと新たな契約を結びコバルトの調達拡大に乗り出すという。高性能なEVの動力源を確保したいとの狙いだ。

 ウィズ・コロナ、アフター・コロナの状況下でも、車両電動化の流れは止まっていない。むしろ、各地域の自動車普及策が電動車を後押しする可能性すらある。しかし、電池供給の壁はなお厚い。この壁をいち早く乗り越えられるかが、次世代の自動車産業をリードする存在になれるかのカギを握っている。

<form id="onbPointform" action="https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00109/070300026/" method="post"></form>
 

 


総務省、2020年6月30日、「Beyond 5G推進戦略」を公表

2020年07月08日 13時42分45秒 | 日記

 

総務省は2020年6月30日、「Beyond 5G推進戦略」を公表した。令和2年1月から、識者(Old Soldierの事)を集め「Beyond 5G推進戦略懇談会」(座長:五神真 東京大学総長)を開催、その懇談会のまとめを、3つの資料として、「Beyond 5G推進戦略懇談会 提言」別紙1、「Beyond 5G推進戦略 -6Gへのロードマップ-」別紙2及びその概要 別紙3を発行している。五神東京大学総長なる人物は物性物理の専門家で、携帯の6G通信方式と社会的にあるべき姿を構想を描く懇親会の取りまとめに適切な人物であったのだろうか?各別紙のURLは以下の通り。

ここから→別紙1←ここまで

ここから→別紙2←ここまで

ここから→別紙3←ここまで

そういう冷ややかな目で、提言を見てみた。その理由は、2010年の4Gで、日本は中国や韓国に大きく水をあけられてしまっている。無線ネットワーク構築においても、またそれを使うスマホやタブレットなどのモバイル情報機器で、日本の技術製品は世界から無視されてしまっている。そして、5Gにおいては、5G実現で、 中国、韓国に大きく後れを取って進化っている。しかも、6G研究は中国や韓国は国家レベルで、2018年以前から着手している。下記の総務省作成の資料参照。

アメリカは国家レベルでの取り組みは確固たるものがないが、Apple、Qualcomm、Alphabetなど民間が着々と研究しているので表には出てこない。4Gの研究着手は、遅くとも2000年には開始されているだろうから、日本はモバイル情報システムでは先進国より20年以上遅れているといえる。それなのに、開発資金の裏つけもせずに、老兵ばかりを集めてイメージ作りをしただけのように思われて仕方がない。

 

 

Beyond 5G推進戦略懇談会の発想の原点は、第5世代移動通信システム 5G は、生活基盤を超えた社会基盤へと進化すると 見込まれる が、その次の世代の Beyond 5G (いわゆる 6G は、サイバー空間を現実世界 (フィジカル空間 と一体化させ、 Society 5.0 の バックボーンと して 中核的な機能を担う ことが期待されるというところにある 。

それで、サイバー・フィジカル・システムの進展と 2030年代の社会像として、以下のビジョンを描いている。

そして、6Gでの在り方を出そうとしている。まず、通信ネットワークに関する技術動向っを描いた。

Beyond 5Gに求められる機能

 

Beyond 5G推進戦略として重点的に研究開発等を進めるべきと考えられる技術例
そして、Beyond 5G研究開発プラットフォームのイメージをまとめている。
5Gにおける、世界各国の技術レベルを特許数から調べて、下図のように日本勢、マイナーであると明らかにしている。数だけでは、単なる点数稼ぎの特許かもしれないが、Qaulcommやファーウエイの技術がないと世界各国の5Gネットワークは構築できない。特に基地局設立ではこの2社の技術がないとどうにもならない。しかし、特許数6位のドコモの技術は、他国は無視している。韓国でもサムソンとLGを合わせると15%になるが日本勢はせいぜい10%。

 

そして、最後に6G開発戦略として 

そして、6G開発を支える施策として

•本戦略は、目指すべき 2030 年代の社会 Society 5.0 の進展による強靭で活力のある社会 からのバックキャスト。
•本戦略は、グローバル・ファースト 双方向性を持ったグローバル 戦略) 等の基本方針に基づき推進。
•Beyond 5G ready な環境づくりは、 COVID 19 対策でありポストコロナ社会への備えそのもの。
危機を契機と捉え、強靱かつセキュアな ICT インフラの整備を含む社会全体のデジタル化を一気呵成 に 推進。
最初 の5年が勝負との危機感を持ち、特 に「 先行的取組フェーズ」で我が国の強みを最大限 活かした集中的 取組を 推進。
大阪・関西万博の機会 2025 年) に取組の成果を「 Beyond 5G ready ショーケース」として世界に示し、グローバル展開を加速。

の哲学に基づいて下記の6G推進戦略のロードマップがまとめられている。

 

 

 


次世代半導体製造技術は7ナノ(10憶分の一メートル)の世界!

2020年07月06日 11時33分38秒 | 日記

 

日本はロジックもメモリーでも半導体の世界で、アメリカや韓国の後追いするしかないかと思っていたが、最近の技術動向を見るとあきらめる必要もなさそう。

まず、今の半導体の技術は、ロジック、メモリー共に、従来の25nmから現在の7nmの微細加工技術にかかっており、日本のいろいろな分野の企業の技術が結集すれば、また日本も最先端に立てるとおもう。

まず、微細化の推移と各半導体分野での影響は、群馬大学の特別講座の資料がわかりやすい。まず、ゲート幅が32nmで、進化の速度が落ちて、現在は7nmが焦点になっている事がわかる。7nmというのは、紫外線で、紫外線は波長が10 - 400 nm、軟X線より長い電磁波で、紫外線の最も波長が短い領域なのでExtraUV(EUV,極端紫外線)という。この図からも2022年~2023年には3nm半導体の量産がはじまり、その先の2nm半導体が出現と予測できる。

なお、微細化が進めば、速度が上がるともに、単位当たりのコストも下がり、ITの進化が進むことになる。これはさらに下の図のようにロジック、メモリーに共通している。

 

それでは、EUV技術を持っている日本の会社はどういうものはあるかというと、

なお、上記は半導体装置で、全世界で6兆円市場といわれている。なお、上の図でASMLと言うのは現在、EUV方式を世界で唯一量産するオランダの会社。上の図は日経新聞の資料によった
 
 

◎東京エレクトロンの、半導体材料のシリコンウエハーに特殊な薬液を塗布・現像する「コーター/デベロッパー」装置。

◎レーザーテックの、電子回路の原版となるフォトマスクの欠陥を、EUVで摘出する検査装置

日本電子のフォトマスクに電子ビームでパターンを描画する装置

◎ニューフレアテクノロジーフォトマスクに電子ビームでパターンを描画する装置

ギガフォトンの、露光装置用の光源

サムソンやTSMC(台湾、世界最大の半導体製造装置メーカー)も着々とEUV装置を開発している。共に次世代通信規格「5G」向けなど高性能半導体製造に邁進していて、両社は1台200億円以上するASML製の露光装置を導入したといわれている。

中国の動向も無視できない。中国政府は半導体の自給率を20年に40%、25年に70%に引き上げる目標を掲げるが、米中の貿易摩擦で、先が見えなくなっている。この数年は世界最先端に出てくるのは難しいとおもう。


スパコン「富岳」で、コロナ薬候補を数十種類、発見 

2020年07月05日 18時54分52秒 | 日記

 

日経によると、『コロナ薬候補を数十種類 スパコン「富岳」で京大発見』とのこと。いろいろな点で、ノーベル賞はこれから出にくくなるとか、GDPは世界3位だけども国民一人当たりでは26位とか、地盤沈下し始めた日本にとってこのニュースは元気を奮い起こす!

 

京都大学の奥野恭史教授らは3日、世界最高の計算速度を誇る理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」を用い、新型コロナウイルス感染症の治療薬の候補となる物質を数十種類発見したと発表した。細胞内でウイルスの増殖を妨げる可能性がある。今後は細胞を使った実験などで効果を確かめる方針だ。

理研副プログラムディレクターを務める奥野教授らは、富岳の高い計算力を使い、既存の薬剤2000種類以上を対象にシミュレーション(模擬実験)を実施した。ウイルスの増殖に関係するたんぱく質にくっつき、その働きを妨げる効果がどの程度あるかを調べた。

この結果、治療薬として有望だと考えられる数十種類を絞り込むことができた。この中には、新型コロナ向けに世界で臨床試験(治験)が進む薬剤が12種含まれていた。いずれも寄生虫の薬である「ニクロサミド」や「ニタゾキサニド」などで、ニタゾキサニドは既に米国やメキシコで治験が進行中だ。

また、日本の製薬会社が特許を持っている物質も、シミュレーションではよい結果が出たという。奥野教授は「富岳の計算でリストアップした中に、治験が進行中の薬剤が含まれていたことは、計算が正しいことを示唆している」と話す。

今後は細胞を使った実験で、薬剤の効果を詳しく調べる。製薬会社や研究者と協力し、臨床研究や治験についても検討する考えだ。

富岳はスパコンの計算速度を競う世界ランキング「トップ500」で6月に首位となった。2011年に首位だった「京(けい)」が1年かかる計算を数日でできる計算能力をもつ。当初、21年から運用する予定だったが、新型コロナ研究のために今年4月に前倒しで使い始めた。