10月17日(日)国立競技場ファンランDAY2010というイベントが開催された。開会時間の9時には薄曇りだったが、徐々に青空に変わり暑くも寒くもない秋のスポーツ日和となった。近くの東京体育館では秩父宮・秩父宮妃杯全日本学生バドミントン選手権、隣の神宮第2球場では秋季都高校野球準々決勝が行われ、終日応援のブラスバンドの音が聞こえていた。
参加者は525人、昨年は450人だったので2割近く増えた。女性が6-7割で、ウェアはピンク、オレンジ、黄色、ブルー、緑、赤紫と色とりどりだ。女性ランナーの数は東京マラソンが始まった4-5年前から急増した。皇居周回コースのランナーもそれまで男性が7割くらいだったが、いっきょに逆転した。
この現象はかつてのアスレチックやエアロビクス・ブームと同様に健康ブームの一類型だと思う。ただわたしはジョギングが体によいとは思っていない。むしろ心臓や肺にも、腰にも膝にも足首にも悪いのではないかと思う。
わたくしがジョギングを始めたのは週1度のアスレチックでは体重(とくに腹囲)をキープできなくなったからだった。当初は維持に成功した。しかしそのうち週3回走っても腹囲を維持できなくなってきた(走行距離が5キロ以下と短いのでそのせいかもしれないが)。今年から晩御飯の摂取量を従来よりセーブしてやっと増加傾向が止まった。ではなぜ続けているのかと聞かれると、ひとえに精神衛生上よいからというほかない。ジョギングのあと銭湯につかると、心はすっかりリフレッシュする。
話が脇道にそれてしまったがイベントの話に戻る。国立競技場ファンランDAYは昨年の第1回にも参加した。しかし昨年は締切間際に申し込んだせいかフォーム指導の抽選にはずれた。そこで再挑戦したわけだ。
開会式と準備運動のあと、まずトラックを半周し青山門から神宮球場付近までの往復200mをジョギングした。聖地・国立競技場の赤茶色のトラックを走るのも快感だが、門から走り出るさまはまるでかつての東京国際マラソンの選手のようで気分がよい。考えてみると、外苑周回コースは鶴の湯に服を預け走っているのと同じコースなのだが、交通規制した車道を走ると、まるで違うコースを走っているようだった。
ラダートレーニング
次に、3グループに分かれ3つのプログラムを受講した。わたしは10時10分からラダートレーニング&スピードラン、10時50分からコアトレーニング&ストレッチ、11時30分から心拍トレーニングとフォーム作りという順序だった。
スピードランは400mを100秒前後で2分くらいの休憩をはさみ3周する。かなりきつかった。ラダートレーニングは地面にはしごの形の縄を置き、腿上げや股関節伸ばしを行うトレーニングだった。コアトレーニング&ストレッチは股関節や腹筋のインナーマッスルを鍛える運動で、基本的にはストレッチなのだが、手や足を動かしながら行う動的なところが普通の静的ストレッチングと違うようだ。
心拍トレーニングはウォーキング(11分/km)、早足(9分/km)、軽いジョギング(7.5分/km)をし、そのつど心拍数を計測する。最高心拍数(220-年齢)の60-70%が乳酸閾値(=LT 有酸素運動から無酸素運動に切り替わる負荷領域。本来は、運動中の血中乳酸濃度を計測する)で、この数字から理論的な心拍数を算出する。それと3回のランの心拍数を比較するものである。このLT値で運動するのが効率的だというトレーニング理論だそうだ。ただし理論的な心拍数と「ややきつい」と感じる主観的な心拍数が異なるときは主観を優先するということなので、結局主観の問題となるのは少し解せない。
昼の休憩をはさみトラックを自分の好みで30分ほど走ったあと、いよいよフォーム指導が始まった。100人を2グループに分けわたしは後半のグループだった。まず股関節や肩甲骨を柔軟にするドリルを行った。やっているときはなんとも思わなかったが、翌日太ももや股関節周辺の筋肉が痛んだ。ありがちなことだが、使っていない筋肉をたまに使うと厳しい事態となる。
フォーム指導は、6人でいっせいに走り、前方と横の2方向からビデオを撮り、画面を再生し講師がフォームを解説するというものだった。走る距離は30m程度、1回目はウォーキング、2回目はスキップ、3回目はジョギング、指導者が見る視点はほとんど腕の振りだった。その他、リラクゼーションするため顔は笑顔でというアドバイスがあった。ただ講評は1グループで1-2人のフォームを取り上げる程度で、全員の講評があるわけではなかった。
感想を書くと、よくいえば、非常に充実した一日だった。逆にいうと一度に多くのことをいわれ体が覚えきれないというか、消化不良に終わった。昨年は計測やトラック周回ランが中心でイベント性が高かったのに比べれば、今年のほうがトレーニング性は高いといえる。しかしそれでも、たいていの人は、ふだんのジョギングを向上させようとし参加しているのだから、ポイントを何か1つ絞ってじっくり教えてくれたほうがよい。人数の問題でむずかしいとは思うが、1人3分でよいので個人レッスンをしてほしかった。
実際、昨年は「体重心測定の意味」についてコーチに質問に行き、そのときたった5メートル走っただけで、体重移動の重要性を指摘され、その一言でたしかにずいぶん楽に走れるようになった。今年は、昼休みに立ち姿をみてもらい、「背中が反っているので腹(丹田)に力を入れるようにしたほうがよい、将来脊柱管狭窄症になるかもしれない」と有益なアドバイスをいただいた。
さて効果の話である。翌日、上記筋肉痛にもめげず、皇居周回ジョギングに出かけた。弱点の右腕の振りに気をつけて走ってみた。いつもは7キロくらいできつくなってくるが、きちんと10キロ走り切れた。少しきつくなってくると笑顔を浮かべることにした。わたくしの場合リラクゼーションというより、元気が出てくる気がした。また心拍数トレーニングのアシスタントの方に「前半を押さえて走ればきっと2週、3周走れる」と言われた暗示が効いたのかもしれない。成果はそれなりに大きかった。
この日は、他人の腕に思わず目がいった。たしかに腕をほとんど動かしていない人や、ムダに左右に大きく振っている人が意外に多いことを再発見した。
☆国立競技場は、国立とはいうものの現在では独立行政法人日本スポーツ振興センターが管理運営している。陸上競技やサッカーをする人にとっては「聖地」だそうだが、「聖地」の言葉どおり皇室との関係が深い。
まず正面にはロイヤルボックスがあり34席のロイヤル席がある。その両側に「野見宿禰」「勝利の女神像」(ニケの像)の壁画(長谷川路可・作)がある。「美と力」はスポーツを象徴するといわれるが、皇室の象徴とも解釈できる。
スタジアム1階にはスポーツ博物館がありその一番奥まった部屋は昭和天皇の弟・秩父宮殿下遺品室である。
そもそも神宮外苑は、青山練兵場跡地に明治天皇の遺徳を偲び1926年に整備された土地で、女子学習院、皇室を守る近衛歩兵第4連隊、陸軍大学校とも隣接していた。
参加者は525人、昨年は450人だったので2割近く増えた。女性が6-7割で、ウェアはピンク、オレンジ、黄色、ブルー、緑、赤紫と色とりどりだ。女性ランナーの数は東京マラソンが始まった4-5年前から急増した。皇居周回コースのランナーもそれまで男性が7割くらいだったが、いっきょに逆転した。
この現象はかつてのアスレチックやエアロビクス・ブームと同様に健康ブームの一類型だと思う。ただわたしはジョギングが体によいとは思っていない。むしろ心臓や肺にも、腰にも膝にも足首にも悪いのではないかと思う。
わたくしがジョギングを始めたのは週1度のアスレチックでは体重(とくに腹囲)をキープできなくなったからだった。当初は維持に成功した。しかしそのうち週3回走っても腹囲を維持できなくなってきた(走行距離が5キロ以下と短いのでそのせいかもしれないが)。今年から晩御飯の摂取量を従来よりセーブしてやっと増加傾向が止まった。ではなぜ続けているのかと聞かれると、ひとえに精神衛生上よいからというほかない。ジョギングのあと銭湯につかると、心はすっかりリフレッシュする。
話が脇道にそれてしまったがイベントの話に戻る。国立競技場ファンランDAYは昨年の第1回にも参加した。しかし昨年は締切間際に申し込んだせいかフォーム指導の抽選にはずれた。そこで再挑戦したわけだ。
開会式と準備運動のあと、まずトラックを半周し青山門から神宮球場付近までの往復200mをジョギングした。聖地・国立競技場の赤茶色のトラックを走るのも快感だが、門から走り出るさまはまるでかつての東京国際マラソンの選手のようで気分がよい。考えてみると、外苑周回コースは鶴の湯に服を預け走っているのと同じコースなのだが、交通規制した車道を走ると、まるで違うコースを走っているようだった。
ラダートレーニング
次に、3グループに分かれ3つのプログラムを受講した。わたしは10時10分からラダートレーニング&スピードラン、10時50分からコアトレーニング&ストレッチ、11時30分から心拍トレーニングとフォーム作りという順序だった。
スピードランは400mを100秒前後で2分くらいの休憩をはさみ3周する。かなりきつかった。ラダートレーニングは地面にはしごの形の縄を置き、腿上げや股関節伸ばしを行うトレーニングだった。コアトレーニング&ストレッチは股関節や腹筋のインナーマッスルを鍛える運動で、基本的にはストレッチなのだが、手や足を動かしながら行う動的なところが普通の静的ストレッチングと違うようだ。
心拍トレーニングはウォーキング(11分/km)、早足(9分/km)、軽いジョギング(7.5分/km)をし、そのつど心拍数を計測する。最高心拍数(220-年齢)の60-70%が乳酸閾値(=LT 有酸素運動から無酸素運動に切り替わる負荷領域。本来は、運動中の血中乳酸濃度を計測する)で、この数字から理論的な心拍数を算出する。それと3回のランの心拍数を比較するものである。このLT値で運動するのが効率的だというトレーニング理論だそうだ。ただし理論的な心拍数と「ややきつい」と感じる主観的な心拍数が異なるときは主観を優先するということなので、結局主観の問題となるのは少し解せない。
昼の休憩をはさみトラックを自分の好みで30分ほど走ったあと、いよいよフォーム指導が始まった。100人を2グループに分けわたしは後半のグループだった。まず股関節や肩甲骨を柔軟にするドリルを行った。やっているときはなんとも思わなかったが、翌日太ももや股関節周辺の筋肉が痛んだ。ありがちなことだが、使っていない筋肉をたまに使うと厳しい事態となる。
フォーム指導は、6人でいっせいに走り、前方と横の2方向からビデオを撮り、画面を再生し講師がフォームを解説するというものだった。走る距離は30m程度、1回目はウォーキング、2回目はスキップ、3回目はジョギング、指導者が見る視点はほとんど腕の振りだった。その他、リラクゼーションするため顔は笑顔でというアドバイスがあった。ただ講評は1グループで1-2人のフォームを取り上げる程度で、全員の講評があるわけではなかった。
感想を書くと、よくいえば、非常に充実した一日だった。逆にいうと一度に多くのことをいわれ体が覚えきれないというか、消化不良に終わった。昨年は計測やトラック周回ランが中心でイベント性が高かったのに比べれば、今年のほうがトレーニング性は高いといえる。しかしそれでも、たいていの人は、ふだんのジョギングを向上させようとし参加しているのだから、ポイントを何か1つ絞ってじっくり教えてくれたほうがよい。人数の問題でむずかしいとは思うが、1人3分でよいので個人レッスンをしてほしかった。
実際、昨年は「体重心測定の意味」についてコーチに質問に行き、そのときたった5メートル走っただけで、体重移動の重要性を指摘され、その一言でたしかにずいぶん楽に走れるようになった。今年は、昼休みに立ち姿をみてもらい、「背中が反っているので腹(丹田)に力を入れるようにしたほうがよい、将来脊柱管狭窄症になるかもしれない」と有益なアドバイスをいただいた。
さて効果の話である。翌日、上記筋肉痛にもめげず、皇居周回ジョギングに出かけた。弱点の右腕の振りに気をつけて走ってみた。いつもは7キロくらいできつくなってくるが、きちんと10キロ走り切れた。少しきつくなってくると笑顔を浮かべることにした。わたくしの場合リラクゼーションというより、元気が出てくる気がした。また心拍数トレーニングのアシスタントの方に「前半を押さえて走ればきっと2週、3周走れる」と言われた暗示が効いたのかもしれない。成果はそれなりに大きかった。
この日は、他人の腕に思わず目がいった。たしかに腕をほとんど動かしていない人や、ムダに左右に大きく振っている人が意外に多いことを再発見した。
☆国立競技場は、国立とはいうものの現在では独立行政法人日本スポーツ振興センターが管理運営している。陸上競技やサッカーをする人にとっては「聖地」だそうだが、「聖地」の言葉どおり皇室との関係が深い。
まず正面にはロイヤルボックスがあり34席のロイヤル席がある。その両側に「野見宿禰」「勝利の女神像」(ニケの像)の壁画(長谷川路可・作)がある。「美と力」はスポーツを象徴するといわれるが、皇室の象徴とも解釈できる。
スタジアム1階にはスポーツ博物館がありその一番奥まった部屋は昭和天皇の弟・秩父宮殿下遺品室である。
そもそも神宮外苑は、青山練兵場跡地に明治天皇の遺徳を偲び1926年に整備された土地で、女子学習院、皇室を守る近衛歩兵第4連隊、陸軍大学校とも隣接していた。