昨夏の衆議院選に続き、今年の参議院選でも、わたしは保坂のぶと候補のボランティアに参加した。手伝ったのは、ポスター貼り、電話入れなどいわゆる運動員として「手足」の仕事だった。
7月29日の報告会
選挙運動とのかかわりのはじまりは、3月25日に四ツ谷の主婦会館で行われた緊急集会だった。これが事実上の旗上げ集会で、阿部知子、服部良一、辻元清美の3議員が激励のスピーチを行った。会場で昨年の衆議院選のときの応援団の方々に数多くお目にかかった。
公示まで1カ月を切った5月末から週1回程度南阿佐ヶ谷の事務所に通い始めた。はじめのころはポスターの貼替え作業を手伝った。貼替えは地図をたよりにポスターの掲示場所を探すのだが、不完全な住所しか記されていないものも多く、足が棒になった。貼替えだけでなく、民家への飛び込み依頼も行った。まれに了解してもらえることがある。主要政党すべてのポスターを貼っている家があった。お聞きすると原則としてはどこでもOKを出しているとのことだった。しかし、商店はオーナーと出会えなかったり、出会えても「いろんな客がいるから」という理由で、やはり難しい。どういうわけか小雨で蒸し暑い日が多かった。
公示直前にはポスティング、公示後は電話入れが中心となった。
電話をかけると、半分くらいは留守電か不通である。電話をかけられる側の立場に立つと迷惑電話の類なので、遠慮してほしくなる。つながる相手のうち9割が不快感をあらわにする人たちだ。しかしいったん会話が成立すると、公示後有権者と直接話しができるのは、選対からのこの電話くらいしか方法がないので楽しい。比例区なので、東京や関東だけでなく、金沢、秋田、浜松、名古屋、高槻、尼崎、宮崎など全国各地の有権者にかけた。地方の人のほうが応対がていねいだった。こちらが「こんにちは」と呼びかけると「こんにちは」と答えてくれる。いつもの選挙のように電話帳でかけるのではなく、名簿がもとなのでガチャ切りも少ない。投票の仕組みが、衆議院選と違い、比例では政党名でなく個人名を書くことができることを知っている人は少ない。また衆議院・比例は拘束名簿式だが参議院は非拘束名簿式なので名簿登載順位や惜敗率は関係ないことも知られていないことがよくわかった。ほんの1年前に衆議院選があったばかりなのでその印象が強いこともあろう。最終日には128本も電話をかけ、わたしの最高記録となった。
投票前夜の7月10日夕方、保坂候補は阿佐ヶ谷駅前で「今こそ本物の改革、すなわち働く人の権利を押し上げ、民主主義の力を理念より上に押し上げる改革を! 政権交代の原点に戻り、もう一回世直し、出直し、立て直しを!」と訴えた。
結果はご存知のとおり落選だった。それも、社民・比例は1位の福島みずほが38万1000票、2位の吉田ただともが13万票だったのに対し、保坂は6万9000票とダブルスコアの惨敗だった。わたしは社民党ファンではないが、社民党は224万票でみんなの党の1/3以下だった。電話入れした相手にはディープな社民ファンの人もいたが「社民の凋落ぶり」を憂い、どうしてこんなことになったのか、きちんと反省してほしいと語る方が多かった。
7月10日阿佐ヶ谷駅南口で
7月29日「2010年参議院選挙・保坂のぶと報告会」が阿佐ヶ谷の産業商工会館で開催された。本人の敗因分析は下記のとおりだった。
1 「社民党」政党票の衰退
もう100万票あれば個人票6万9000票でも当選できた。
2 保坂「全国応援団」は点にとどまり、線や面に広げられなかった
全国各地で集会を行ったが参加したのは50-100人規模にとどまった。
3 「スーパー知名度」までは到達していない
東京で2万6000票にとどまった。
4 インターネット選挙が実現していたら
一番ネットで伝えたい時期に遮断される。
あまりにも甘い分析だ。たとえば知名度や「全国応援団」でいえば、保坂氏と評論家・有田芳生氏とはそれほど大きな違いはなかった。たしかに民主党公認であることは大きいが、それにしても37万3000票と6万9000票の差は歴然としている。しかも有田氏は全国で統一教会の誹謗中傷ビラが大量にばらまかれた逆風に抗してのトップ当選だった。
この日のスピーチのなかで、たんぽぽ舎の方の「原発反対で闘う政党は社民党しかないので応援した。今回は普天間や消費税増税の問題があったに惨敗した。また昨年の衆議院選では杉並区民以外の有権者は政党名を書くほかなかったが、今回は『保坂のぶと』という名前を書けたのでむしろ有利だった。それなのに選対予測の5-6割の票しか集まらなかったことを、組織としてきちんと総括すべきである。ネットワークをつくるだけでなく、ネットワークが大衆行動に結びつけないと票に結びつかない。現に沖縄では票に結びついている」という意見は説得力があった。
もし保坂氏が国会議員への返り咲きを本心で望んでいるのなら、元沖縄県知事に「恫喝」されて立候補したなどと言っていないで、もっと真剣に反省し、敗因をしっかり分析していただきたい。
☆保坂事務所の1階にラーメン店大勝軒がある。料理はラーメンとつけ麺に大きく分かれ、それぞれ、中華そば、特製中華そば、メンマ、チャーシュー、大勝軒そばなどのメニューがある。わたしは特製中華そばを注文した。おいしいものを食べると、人は満腹感を感じる。この店のラーメンもその域に達していた。850円の幸福だ。ただの中華そばなら650円で食べられる。大勝軒というと東池袋にある行列のできるラーメン店が有名だ。その店と関係があるのかと聞くと、直接の関係(のれん分け)はないが、マスターが修行をしたとのことだった。
そういえば阿佐ヶ谷駅南口には阿佐谷ホープ軒というラーメン店がある。千駄ヶ谷の黄色のビルに入っているホープ軒の出店かと聞くと、これも関係ないとのことだった。
特製中華そば
☆今回の参議院選選挙結果をみると自民の当選者が民主化し、民主の当選者が自民化し、自民と民主は、ますます似てきているように思う。
地方区の当選議員はよくわからないので比例・自民でいうと、たとえば佐藤ゆかりや三原じゅん子が当選し、保坂三蔵や松浪健四郎が落選している。他方民主は、谷亮子が当選し、喜納昌吉、円より子、家西悟、弘中和歌子、千葉景子が落選した。わたくしは「みんなの党」は自民の別働隊、ニュー自民党とみているが、自民と民主が接近していった究極のモデル像が「みんなの党」であるように感じる。もう一度選挙があり「みんなの党」が党勢を高めれば、「みんなの党」を中心に自民・民主からそれぞれ50人程度離党し、政権を握る日が遠からず来るかもしれない。
●8月12日一部修正
7月29日の報告会
選挙運動とのかかわりのはじまりは、3月25日に四ツ谷の主婦会館で行われた緊急集会だった。これが事実上の旗上げ集会で、阿部知子、服部良一、辻元清美の3議員が激励のスピーチを行った。会場で昨年の衆議院選のときの応援団の方々に数多くお目にかかった。
公示まで1カ月を切った5月末から週1回程度南阿佐ヶ谷の事務所に通い始めた。はじめのころはポスターの貼替え作業を手伝った。貼替えは地図をたよりにポスターの掲示場所を探すのだが、不完全な住所しか記されていないものも多く、足が棒になった。貼替えだけでなく、民家への飛び込み依頼も行った。まれに了解してもらえることがある。主要政党すべてのポスターを貼っている家があった。お聞きすると原則としてはどこでもOKを出しているとのことだった。しかし、商店はオーナーと出会えなかったり、出会えても「いろんな客がいるから」という理由で、やはり難しい。どういうわけか小雨で蒸し暑い日が多かった。
公示直前にはポスティング、公示後は電話入れが中心となった。
電話をかけると、半分くらいは留守電か不通である。電話をかけられる側の立場に立つと迷惑電話の類なので、遠慮してほしくなる。つながる相手のうち9割が不快感をあらわにする人たちだ。しかしいったん会話が成立すると、公示後有権者と直接話しができるのは、選対からのこの電話くらいしか方法がないので楽しい。比例区なので、東京や関東だけでなく、金沢、秋田、浜松、名古屋、高槻、尼崎、宮崎など全国各地の有権者にかけた。地方の人のほうが応対がていねいだった。こちらが「こんにちは」と呼びかけると「こんにちは」と答えてくれる。いつもの選挙のように電話帳でかけるのではなく、名簿がもとなのでガチャ切りも少ない。投票の仕組みが、衆議院選と違い、比例では政党名でなく個人名を書くことができることを知っている人は少ない。また衆議院・比例は拘束名簿式だが参議院は非拘束名簿式なので名簿登載順位や惜敗率は関係ないことも知られていないことがよくわかった。ほんの1年前に衆議院選があったばかりなのでその印象が強いこともあろう。最終日には128本も電話をかけ、わたしの最高記録となった。
投票前夜の7月10日夕方、保坂候補は阿佐ヶ谷駅前で「今こそ本物の改革、すなわち働く人の権利を押し上げ、民主主義の力を理念より上に押し上げる改革を! 政権交代の原点に戻り、もう一回世直し、出直し、立て直しを!」と訴えた。
結果はご存知のとおり落選だった。それも、社民・比例は1位の福島みずほが38万1000票、2位の吉田ただともが13万票だったのに対し、保坂は6万9000票とダブルスコアの惨敗だった。わたしは社民党ファンではないが、社民党は224万票でみんなの党の1/3以下だった。電話入れした相手にはディープな社民ファンの人もいたが「社民の凋落ぶり」を憂い、どうしてこんなことになったのか、きちんと反省してほしいと語る方が多かった。
7月10日阿佐ヶ谷駅南口で
7月29日「2010年参議院選挙・保坂のぶと報告会」が阿佐ヶ谷の産業商工会館で開催された。本人の敗因分析は下記のとおりだった。
1 「社民党」政党票の衰退
もう100万票あれば個人票6万9000票でも当選できた。
2 保坂「全国応援団」は点にとどまり、線や面に広げられなかった
全国各地で集会を行ったが参加したのは50-100人規模にとどまった。
3 「スーパー知名度」までは到達していない
東京で2万6000票にとどまった。
4 インターネット選挙が実現していたら
一番ネットで伝えたい時期に遮断される。
あまりにも甘い分析だ。たとえば知名度や「全国応援団」でいえば、保坂氏と評論家・有田芳生氏とはそれほど大きな違いはなかった。たしかに民主党公認であることは大きいが、それにしても37万3000票と6万9000票の差は歴然としている。しかも有田氏は全国で統一教会の誹謗中傷ビラが大量にばらまかれた逆風に抗してのトップ当選だった。
この日のスピーチのなかで、たんぽぽ舎の方の「原発反対で闘う政党は社民党しかないので応援した。今回は普天間や消費税増税の問題があったに惨敗した。また昨年の衆議院選では杉並区民以外の有権者は政党名を書くほかなかったが、今回は『保坂のぶと』という名前を書けたのでむしろ有利だった。それなのに選対予測の5-6割の票しか集まらなかったことを、組織としてきちんと総括すべきである。ネットワークをつくるだけでなく、ネットワークが大衆行動に結びつけないと票に結びつかない。現に沖縄では票に結びついている」という意見は説得力があった。
もし保坂氏が国会議員への返り咲きを本心で望んでいるのなら、元沖縄県知事に「恫喝」されて立候補したなどと言っていないで、もっと真剣に反省し、敗因をしっかり分析していただきたい。
☆保坂事務所の1階にラーメン店大勝軒がある。料理はラーメンとつけ麺に大きく分かれ、それぞれ、中華そば、特製中華そば、メンマ、チャーシュー、大勝軒そばなどのメニューがある。わたしは特製中華そばを注文した。おいしいものを食べると、人は満腹感を感じる。この店のラーメンもその域に達していた。850円の幸福だ。ただの中華そばなら650円で食べられる。大勝軒というと東池袋にある行列のできるラーメン店が有名だ。その店と関係があるのかと聞くと、直接の関係(のれん分け)はないが、マスターが修行をしたとのことだった。
そういえば阿佐ヶ谷駅南口には阿佐谷ホープ軒というラーメン店がある。千駄ヶ谷の黄色のビルに入っているホープ軒の出店かと聞くと、これも関係ないとのことだった。
特製中華そば
☆今回の参議院選選挙結果をみると自民の当選者が民主化し、民主の当選者が自民化し、自民と民主は、ますます似てきているように思う。
地方区の当選議員はよくわからないので比例・自民でいうと、たとえば佐藤ゆかりや三原じゅん子が当選し、保坂三蔵や松浪健四郎が落選している。他方民主は、谷亮子が当選し、喜納昌吉、円より子、家西悟、弘中和歌子、千葉景子が落選した。わたくしは「みんなの党」は自民の別働隊、ニュー自民党とみているが、自民と民主が接近していった究極のモデル像が「みんなの党」であるように感じる。もう一度選挙があり「みんなの党」が党勢を高めれば、「みんなの党」を中心に自民・民主からそれぞれ50人程度離党し、政権を握る日が遠からず来るかもしれない。
●8月12日一部修正