2月25日夜、3・1朝鮮独立運動98周年 日米韓軍事同盟に反対し韓国民衆の闘いに連帯する2・25集会が文京区民センター3階で開催された。
わたくしが初めてこの集会に参加したのは2007年の88周年のときなので、毎回参加しているわけではないが、もう10年になる。この10年はあまり明るいとはいえず、むしろ最近数年は厳しい集会が多かった。ところが今回は非常に明るく元気な集会だった。理由は朴槿恵大統領を職務停止、さらに退陣間近にまで追い込んだキャンドル革命成功を語る韓国ゲストの報告がとても明るく力強かったからだ。
一方、日本では安倍の暴走が続き、昨年11月日韓のあいだでは歴史上初の軍事協定、GSOMIA(秘密軍事情報包括保護協定)が締結された。主催者あいさつで、渡辺健樹さん(日韓民衆連帯全国ネットワーク共同代表)は「日米韓三国軍事同盟をもう一歩高い段階に押し進め、非常に危険な段階に至った。われわれは日米韓の民衆連帯でこれに立ち向かいたい」と述べた。
そこでキャンドル革命について韓国で実際に闘っている方の報告とGSOMIAに関する半田滋さん(東京新聞論説兼編集委員)の講演を紹介する。ただわたくしが軍事問題に疎いこともあり、GSOMIAと安保法制がいかに危険かということが中心になっている。
韓国のキャンドル革命と平和運動
キム・ジャンホさん(インターネット現場言論『民プラス』編集局長)
●キャンドル革命の始まり
朴槿恵(パク・クネ)大統領は2012年12月の選挙で当選し就任したが、スタートから選挙への世論操作事件で不正にまみれていた。2014年4月16日セウォル号沈没事件で高校生を含む304人が死亡したが、このとき朴槿恵は7時間も所在不明だった。後になり、チェ・スンシルの知合いの美容整形医の整形手術を受けていたのではないかとの疑惑も囁かれた。国民は「はたして国とな何なのか」という疑問を抱き始めた。
2015年11月13万人の労働者、市民が、学生がデモ行進を行おうとしたとき、警察の高圧放水で白南基(ペク・ナムギ 69歳)が倒れ翌年9月に死亡した。
2016年4月の総選挙で野党が勝利し、与野党逆転の構図が生まれた。保守のなかで、朴政権では持ちこたえられないのではないかと、陣営が割れはじめた。
7月、弾道弾迎撃ミサイルTHAAD(サード)をソンジュ(星州)に配備することが発表された。ソンジュは朴一家の墓のある大統領支持基盤の強い地域だったのに、大きな反対運動がまき起こった。最初は「サードのソンジュ配備反対」だったが、やがて「朝鮮半島のどこにもサードはいらない」と反旗が振りかざされた。しかも女子中高生が先頭に立っていた。
10月14日、テレビ局JTBCがチェ・スンシルの国政への不正介入の証拠を入手し、真相を暴露した。チェは何の権限もないのに、朴の服装から海外訪問まで介入し、側近は利権をむさぼった。サムスンはチェとその娘に数百億ウォンを出資した。このJTBC報道はキャンドル革命の導火線に火をつけた。
2016年10月29日ソウルで3万から始まったキャンドルは、3週間のあいだに全国で100万に増えた。
●キャンドルの3つの意味
まずキャンドルは「怒りのキャンドル」として始まった。チェ・スンシルの国政への不正介入に対する怒りだ。チェは新興宗教の巫女のようなこともしていたので、国民はショックを受けた。さらに主治医の目から隠れてチェが紹介した医者や美容整形医が官邸に出入りしていた。また、社会の格差、家賃が払えず死んだ3人の母など「Hell朝鮮」に対する若者の怒り、社会を根本から変えないといけないという怒りのキャンドルだ。
次に「省察のキャンドル」という意味がある。ずっと朴槿恵を支持してきた保守層の「朴槿恵に投票して申し訳なかった。これまでは食べるのに精いっぱいで政治に関心がなかった」という反省だ。
さらに「希望のキャンドル」という意味もある。既成政党は無気力だったので、国民は保守の国会議員の口座に18ウォン(2円足らず 18ウォンにはコン畜生という意味がある)寄付し300ウォンかかる領収証を送付してほしいと頼む運動も起こり、政治家のスマホには抗議メールが殺到し熱くなった。弾劾訴追案が可決され、サムスンの副会長が逮捕され、社会を変えられるという希望をもった。
キャンドル集会は集団的知性と直接民主主義とが出会う場でもあった。キャンドルをもつ市民は「私たちが民主主義だ」「ここが民主主義だ」と叫んだ。スマホとインターネットで武装した多くの市民が直接民主主義を勝ち取った。韓国の民主主義は「今後の民主主義とは何か」という世界のモデルになるかもしれない。
このキャンドル集会の特徴は、組織された労働者、農民と未組織の多くの市民との結び付きだった。この間鉄道労働者が74日の長期ストを打った。農民は、1894年の甲午農民戦争の魂をもってトラクターやトラックでソウルを目指した。市民はストを支持し、農民にはカンパをし3億ウォンも集まった。
●政権交代と統一への道
キャンドル革命は3段階で発展している。第一段階は2016年10月29日から年末までで、キャンドルデモに1000万人が参加し弾劾訴追案が可決された。いまは第二段階で3月に弾劾審判が終了するといわれる。朴槿恵は退陣するだろう。第三段階では、早ければ5月に大統領選が行われ政権交代が成し遂げられるだろう。野党の3予定候補の支持率を足すと70%になる。しかし政権交代はスタートに過ぎない。サード配備反対、非正規雇用撤廃、財閥解体のスローガンを掲げてわたしたちは前進する。また現在四分五裂している野党をひとつに統一する論議も始まっている。6.15共同宣言実践民族共同委員会は北と南と海外の全民族大会を開催することを決定した。
キャンドル革命は、進歩政党の建設、自主・平和・統一の道を進むだろう。
GSOMIAと安保法制が引き込む戦争への道
半田滋さん(東京新聞論説兼編集委員)
GSOMIA(ジーソミア 秘密軍事情報包括保護協定)は、武器技術に限らず、作戦計画などあらゆる軍事分野の文書、写真、メモ・スケッチ、録音、口頭などの軍事情報漏えいを厳しく防止する協定だ。かつてアメリカから強く要望されていたのに日本政府は「スパイ防止法につながるおそれがある」ことを理由に長い間結んでいなかった。中国潜水艦の火災情報(2005年)とミサイル防衛(MD)システムの日本での管理・補修を契機に07年8月日米GSOMIAが締結された。その後「おそれ」たとおり安倍が特定秘密保護法を2013年に制定した。
一方日本には情報公開法があるが、政府は消極的で、とくに防衛省が後ろ向きなことは今年発覚した南スーダン派遣自衛隊の日報問題をみても明らかだ。
その後日本はインド、オーストラリアなどともGSOMIAを結び、2016年秋の韓国は7か国目になる(韓国にとっては34か国目)。
その影響はすぐに現れた。今年1月20日日米韓の3か国で、北朝鮮のミサイル発射に対処する共同訓練が、3か国の軍艦を使って行われた。過去2回の訓練は日米、米韓2国間の情報交換だったのが、今回は3か国間でより密接に情報を共有できるようになった。日本にとってのメリットは、北朝鮮がミサイルを発射したときに、韓国は北朝鮮に地理的に近いので、地上レーダーにより瞬時に打上げ情報をもらえることがある。韓国にとっては、日本の水中聴音システムや対潜水艦センターの情報を得られることがある。
米軍は韓国にTHAAD(サード)を配備しようとしている。THAADもPAC3と同じく迎撃ミサイルだが、PAC3の射程が20-30kmなのに比べ50kmと射程が2倍近く長いので、防御範囲が広い。
かつて1993年に北朝鮮が核を開発するためNPT脱退を表明したとき、アメリカは寧辺(ニョンビョン)を空爆しようとしたが、被害があまりにも大きいので断念した。そのとき日本からの出撃や港を借りるなど後方支援1059項目を要請した。このとき日本は戦争への協力はできないと断った。しかしその後ガイドライン改定、周辺事態法、閣議決定による集団的自衛権の行使容認と、アメリカへの戦争協力体制を推し進め、ついに2015年9月安保法制を成立させアメリカの戦争を全面支援する体制ができた。しかも日韓GSOMIAがあり、韓国にはTHAADが配備されようとし、日本にはイージス艦とPAC3がある。アメリカが北朝鮮に戦争をしかけようとしたときに、日韓GSOMIAとTHAADはアメリカの背中を押す仕掛けとして機能する。
わたしたちの運命のカギを握るのは金正恩とトランプだ。トランプの目下の課題は、中東でのISへの対処と北朝鮮の核の2つだ。2月の日米首脳会談の共同声明には、「日米両国の各々の役割、任務及び能力の見直しを通じたものを含め、日米同盟を更に強化するための方策を特定するため、日米安全保障協議委員会(SCC:「2+2」)を開催する」と書かれている。われわれは非常に危険な時を迎えている。この事態をむざむざと見過ごしてよいはずはない、ということだけは確信をもって申し上げたい。
中原道子さん(VAWW RAC共同代表)
最後に、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、VAWW RAC、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会の3つの団体からアピールがあった。
このなかで中原道子さん(VAWW RAC共同代表)の、主に少女像に関するスピーチを紹介する。
2015年12月28日の日韓合意に像の撤去は一言も入っていない。最近、日本政府は平和の少女像(正式名は平和の碑)のことを「慰安婦の像」と呼ぶことに決めた。これは侮辱である。野党の予定候補は日韓合意を破棄すると言っている。
プサンの少女像は若者や市民がつくった。これに日本の総領事が撤去を要請し、いったん撤去されると抗議が殺到し、ふたたび建てられた。日本政府が、韓国市民の自由な活動を弾圧する理由がどこにあるのか、日本の憲法21条は表現の自由の権利を認め、韓国の憲法でも表現の自由、政治活動の自由が保障されている。それを日本政府がこのようなかたちで弾圧することがけして許せない。わたしたちはこの問題を記憶にとどめ、記録に留め、後世に伝える運動を続けていく。
☆キャンドル革命の「私たちが民主主義だ」「ここが民主主義だ」というアピールは、2年前の国会前でのシールズのアピールを思い出させる。ただ日韓の違いは日本の2015年8月30日が12万人だったの対し、ソウルは100万人、労働者のストや農民のトラクター・デモがあったこと、そして韓国では大統領の職務執行停止に追い込んだことだ。
トランプの朝鮮半島問題への介入の懸念を聞いたが、集会の1週間後ティラーソン国務長官が、トランプの名代として中国、韓国、日本を3月中旬に訪問し、北朝鮮への対応を協議すると報じられた。
わたくしが初めてこの集会に参加したのは2007年の88周年のときなので、毎回参加しているわけではないが、もう10年になる。この10年はあまり明るいとはいえず、むしろ最近数年は厳しい集会が多かった。ところが今回は非常に明るく元気な集会だった。理由は朴槿恵大統領を職務停止、さらに退陣間近にまで追い込んだキャンドル革命成功を語る韓国ゲストの報告がとても明るく力強かったからだ。
一方、日本では安倍の暴走が続き、昨年11月日韓のあいだでは歴史上初の軍事協定、GSOMIA(秘密軍事情報包括保護協定)が締結された。主催者あいさつで、渡辺健樹さん(日韓民衆連帯全国ネットワーク共同代表)は「日米韓三国軍事同盟をもう一歩高い段階に押し進め、非常に危険な段階に至った。われわれは日米韓の民衆連帯でこれに立ち向かいたい」と述べた。
そこでキャンドル革命について韓国で実際に闘っている方の報告とGSOMIAに関する半田滋さん(東京新聞論説兼編集委員)の講演を紹介する。ただわたくしが軍事問題に疎いこともあり、GSOMIAと安保法制がいかに危険かということが中心になっている。
韓国のキャンドル革命と平和運動
キム・ジャンホさん(インターネット現場言論『民プラス』編集局長)
●キャンドル革命の始まり
朴槿恵(パク・クネ)大統領は2012年12月の選挙で当選し就任したが、スタートから選挙への世論操作事件で不正にまみれていた。2014年4月16日セウォル号沈没事件で高校生を含む304人が死亡したが、このとき朴槿恵は7時間も所在不明だった。後になり、チェ・スンシルの知合いの美容整形医の整形手術を受けていたのではないかとの疑惑も囁かれた。国民は「はたして国とな何なのか」という疑問を抱き始めた。
2015年11月13万人の労働者、市民が、学生がデモ行進を行おうとしたとき、警察の高圧放水で白南基(ペク・ナムギ 69歳)が倒れ翌年9月に死亡した。
2016年4月の総選挙で野党が勝利し、与野党逆転の構図が生まれた。保守のなかで、朴政権では持ちこたえられないのではないかと、陣営が割れはじめた。
7月、弾道弾迎撃ミサイルTHAAD(サード)をソンジュ(星州)に配備することが発表された。ソンジュは朴一家の墓のある大統領支持基盤の強い地域だったのに、大きな反対運動がまき起こった。最初は「サードのソンジュ配備反対」だったが、やがて「朝鮮半島のどこにもサードはいらない」と反旗が振りかざされた。しかも女子中高生が先頭に立っていた。
10月14日、テレビ局JTBCがチェ・スンシルの国政への不正介入の証拠を入手し、真相を暴露した。チェは何の権限もないのに、朴の服装から海外訪問まで介入し、側近は利権をむさぼった。サムスンはチェとその娘に数百億ウォンを出資した。このJTBC報道はキャンドル革命の導火線に火をつけた。
2016年10月29日ソウルで3万から始まったキャンドルは、3週間のあいだに全国で100万に増えた。
●キャンドルの3つの意味
まずキャンドルは「怒りのキャンドル」として始まった。チェ・スンシルの国政への不正介入に対する怒りだ。チェは新興宗教の巫女のようなこともしていたので、国民はショックを受けた。さらに主治医の目から隠れてチェが紹介した医者や美容整形医が官邸に出入りしていた。また、社会の格差、家賃が払えず死んだ3人の母など「Hell朝鮮」に対する若者の怒り、社会を根本から変えないといけないという怒りのキャンドルだ。
次に「省察のキャンドル」という意味がある。ずっと朴槿恵を支持してきた保守層の「朴槿恵に投票して申し訳なかった。これまでは食べるのに精いっぱいで政治に関心がなかった」という反省だ。
さらに「希望のキャンドル」という意味もある。既成政党は無気力だったので、国民は保守の国会議員の口座に18ウォン(2円足らず 18ウォンにはコン畜生という意味がある)寄付し300ウォンかかる領収証を送付してほしいと頼む運動も起こり、政治家のスマホには抗議メールが殺到し熱くなった。弾劾訴追案が可決され、サムスンの副会長が逮捕され、社会を変えられるという希望をもった。
キャンドル集会は集団的知性と直接民主主義とが出会う場でもあった。キャンドルをもつ市民は「私たちが民主主義だ」「ここが民主主義だ」と叫んだ。スマホとインターネットで武装した多くの市民が直接民主主義を勝ち取った。韓国の民主主義は「今後の民主主義とは何か」という世界のモデルになるかもしれない。
このキャンドル集会の特徴は、組織された労働者、農民と未組織の多くの市民との結び付きだった。この間鉄道労働者が74日の長期ストを打った。農民は、1894年の甲午農民戦争の魂をもってトラクターやトラックでソウルを目指した。市民はストを支持し、農民にはカンパをし3億ウォンも集まった。
●政権交代と統一への道
キャンドル革命は3段階で発展している。第一段階は2016年10月29日から年末までで、キャンドルデモに1000万人が参加し弾劾訴追案が可決された。いまは第二段階で3月に弾劾審判が終了するといわれる。朴槿恵は退陣するだろう。第三段階では、早ければ5月に大統領選が行われ政権交代が成し遂げられるだろう。野党の3予定候補の支持率を足すと70%になる。しかし政権交代はスタートに過ぎない。サード配備反対、非正規雇用撤廃、財閥解体のスローガンを掲げてわたしたちは前進する。また現在四分五裂している野党をひとつに統一する論議も始まっている。6.15共同宣言実践民族共同委員会は北と南と海外の全民族大会を開催することを決定した。
キャンドル革命は、進歩政党の建設、自主・平和・統一の道を進むだろう。
GSOMIAと安保法制が引き込む戦争への道
半田滋さん(東京新聞論説兼編集委員)
GSOMIA(ジーソミア 秘密軍事情報包括保護協定)は、武器技術に限らず、作戦計画などあらゆる軍事分野の文書、写真、メモ・スケッチ、録音、口頭などの軍事情報漏えいを厳しく防止する協定だ。かつてアメリカから強く要望されていたのに日本政府は「スパイ防止法につながるおそれがある」ことを理由に長い間結んでいなかった。中国潜水艦の火災情報(2005年)とミサイル防衛(MD)システムの日本での管理・補修を契機に07年8月日米GSOMIAが締結された。その後「おそれ」たとおり安倍が特定秘密保護法を2013年に制定した。
一方日本には情報公開法があるが、政府は消極的で、とくに防衛省が後ろ向きなことは今年発覚した南スーダン派遣自衛隊の日報問題をみても明らかだ。
その後日本はインド、オーストラリアなどともGSOMIAを結び、2016年秋の韓国は7か国目になる(韓国にとっては34か国目)。
その影響はすぐに現れた。今年1月20日日米韓の3か国で、北朝鮮のミサイル発射に対処する共同訓練が、3か国の軍艦を使って行われた。過去2回の訓練は日米、米韓2国間の情報交換だったのが、今回は3か国間でより密接に情報を共有できるようになった。日本にとってのメリットは、北朝鮮がミサイルを発射したときに、韓国は北朝鮮に地理的に近いので、地上レーダーにより瞬時に打上げ情報をもらえることがある。韓国にとっては、日本の水中聴音システムや対潜水艦センターの情報を得られることがある。
米軍は韓国にTHAAD(サード)を配備しようとしている。THAADもPAC3と同じく迎撃ミサイルだが、PAC3の射程が20-30kmなのに比べ50kmと射程が2倍近く長いので、防御範囲が広い。
かつて1993年に北朝鮮が核を開発するためNPT脱退を表明したとき、アメリカは寧辺(ニョンビョン)を空爆しようとしたが、被害があまりにも大きいので断念した。そのとき日本からの出撃や港を借りるなど後方支援1059項目を要請した。このとき日本は戦争への協力はできないと断った。しかしその後ガイドライン改定、周辺事態法、閣議決定による集団的自衛権の行使容認と、アメリカへの戦争協力体制を推し進め、ついに2015年9月安保法制を成立させアメリカの戦争を全面支援する体制ができた。しかも日韓GSOMIAがあり、韓国にはTHAADが配備されようとし、日本にはイージス艦とPAC3がある。アメリカが北朝鮮に戦争をしかけようとしたときに、日韓GSOMIAとTHAADはアメリカの背中を押す仕掛けとして機能する。
わたしたちの運命のカギを握るのは金正恩とトランプだ。トランプの目下の課題は、中東でのISへの対処と北朝鮮の核の2つだ。2月の日米首脳会談の共同声明には、「日米両国の各々の役割、任務及び能力の見直しを通じたものを含め、日米同盟を更に強化するための方策を特定するため、日米安全保障協議委員会(SCC:「2+2」)を開催する」と書かれている。われわれは非常に危険な時を迎えている。この事態をむざむざと見過ごしてよいはずはない、ということだけは確信をもって申し上げたい。
中原道子さん(VAWW RAC共同代表)
最後に、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、VAWW RAC、「高校無償化」からの朝鮮学校排除に反対する連絡会の3つの団体からアピールがあった。
このなかで中原道子さん(VAWW RAC共同代表)の、主に少女像に関するスピーチを紹介する。
2015年12月28日の日韓合意に像の撤去は一言も入っていない。最近、日本政府は平和の少女像(正式名は平和の碑)のことを「慰安婦の像」と呼ぶことに決めた。これは侮辱である。野党の予定候補は日韓合意を破棄すると言っている。
プサンの少女像は若者や市民がつくった。これに日本の総領事が撤去を要請し、いったん撤去されると抗議が殺到し、ふたたび建てられた。日本政府が、韓国市民の自由な活動を弾圧する理由がどこにあるのか、日本の憲法21条は表現の自由の権利を認め、韓国の憲法でも表現の自由、政治活動の自由が保障されている。それを日本政府がこのようなかたちで弾圧することがけして許せない。わたしたちはこの問題を記憶にとどめ、記録に留め、後世に伝える運動を続けていく。
☆キャンドル革命の「私たちが民主主義だ」「ここが民主主義だ」というアピールは、2年前の国会前でのシールズのアピールを思い出させる。ただ日韓の違いは日本の2015年8月30日が12万人だったの対し、ソウルは100万人、労働者のストや農民のトラクター・デモがあったこと、そして韓国では大統領の職務執行停止に追い込んだことだ。
トランプの朝鮮半島問題への介入の懸念を聞いたが、集会の1週間後ティラーソン国務長官が、トランプの名代として中国、韓国、日本を3月中旬に訪問し、北朝鮮への対応を協議すると報じられた。