出町柳から叡山電車の2両編成の電車に乗ると二軒茶屋あたりからだんだん山に入っていく。30分ほど乗り終点鞍馬のひとつ手前の貴船口で降りると、そこはハイキングの出発点のような場所だった。
さらに30分ほど杉の木立ちをながめながら川沿いの山道を上ると貴船神社がある。
伝説では第18代反正天皇の時代(5世紀初め)の創建ということになっている。祭神は「高おかみ神」という水の神である。すでに平安時代には有名な神社で、和泉式部集のみならず赤染衛門集、後拾遺和歌集、新古今和歌集にも登場する。1039年(長暦3年)後朱雀天皇が制定した二十二社に選定されている。二十二社には伊勢神宮、春日大社、下鴨神社、伏見稲荷大社、八坂神社、北野天満宮、住吉大社などいまでも大手の神社が入っている。社殿は本宮・中宮・奥宮の3つに分かれ700mの間に点在して建っている。
ここは毎晩深夜2時、丑の刻に白装束で藁人形に五寸釘を打ち込み憎い男への呪をかける丑の刻参りで有名な神社である。宇治の橋姫伝説から謡曲「鉄輪(かなわ)」が生まれた。わたくしは貴船のことを、2005年の創作舞踊「陰陽師―鉄輪恋鬼孔雀舞(おんみょうじ かなわぬこい、はるのパヴァーヌ 作・夢枕獏)で知った。下記はこの創作舞踊のHPの宇治の橋姫伝説と鉄輪の解説である。
宇治の橋姫はつわりに苦しんでいたので、夫に「七尋のワカメを海で採って来てください」と頼みます。しかし、海に出かけた夫は美しい龍神に囚われてしまいます。橋姫は憎い龍神を呪うことを考え、心願成就で知られた貴船に参詣し「私を鬼に変身させてほしい、 そして龍神を呪いたい」と祈願しました。すると、貴船の神より「髪を松やにで固めて角を作り、その先に火を灯し、鉄輪を被って、三本の松明を持ち、 宇治川に22日間浸りなさい」とお告げがあり、そのお告げのとおり、一心不乱に宇治川に浸った橋姫は鬼となったというものである。
鉄輪のほうは、下京に住む男が後妻を迎えたことを妬み、先妻は後妻に対して呪いを考え、貴船に参詣し、神のお告げを受ける。一方、下京の男は先妻の鬼と化した悪夢に悩まされ、安倍晴明の元を訪ねる。女は、 男の命をとろうと立ち迫りますが、やがて晴明の呪術が勝り、鬼は消え失せる。
こんな山奥まで、しかも深夜訪れるだけでも大変な執念である。
なお神社の説明では「丑の年、丑の月、丑の日、丑の刻に祭神が降臨しあらゆる心願成就に霊験あらたか」で、必ずしも呪だけではないそうだ。
こういう恐ろしい伝説の舞台である一方、貴船神社は和泉式部の和歌から縁結びの神としても知られる。中宮は別名、結社(ゆいのやしろ)とも呼ばれる。夫の心変わりに悩んだ和泉式部は貴船にお参りし、歌を詠んだ。
物思へば沢の螢も我が身よりあくがれ出ずる玉かとぞ見る
(あれこれと思い悩んでここまで来ますと、螢が貴船川一面に飛んでいます。そのはかない光は、まるで自分の魂が体から抜け出て飛んでいるようでございます)
貴船の神の返歌
奥山にたぎりておつる滝つせの玉散るばかり物な思ひそ
(しぶきを上げて飛び散る奥山の滝の水玉のように(魂が抜け出て飛び散り消えていく=死ぬかと思うほど)そんなに思い悩みなさるなよ)
その後まもなく願いが叶えられ、夫婦仲が円満に戻ったということだ。
願いをかなえるため、女性たちが列をつくって並んでいる。
社殿の裏には、絵馬がたくさん掛けられている。この神社は絵馬発祥の社でもある。
たいていは「良縁結婚」といったものだが、なかには「彼氏がほしいです」「○○さんと結婚できますように」という願望や、すでに結婚したカップルの「二人にとって一生涯が幸せで健康に送れますように」というお礼参りのものもある。なお絵馬のほかに結び文もある。神社で「えんむすび特別祈願」を3000円で受けられる。
神社の脇には清流、貴船川が流れ川床料理の店が並んでいる。しかし値段は流しそうめん3500円、ざるそば2300円、にしんそば2300円、すきやき6000円など完全な観光地料金になっている。それにもかかわらず客は大入り、さすが観光産業都市・京都である。
☆こんな山の中にもかかわらず民主・前原誠司(事務所は修学院 前・民主党党首)のポスターがところどころに貼ってあった。なお京都駅周辺では、にっくき自民・伊吹文明(事務所は四条烏丸 2006年の教育基本法改訂、2007年の沖縄戦高校歴史教科書書換え時の元・文科大臣)のポスターが目立った。
さらに30分ほど杉の木立ちをながめながら川沿いの山道を上ると貴船神社がある。
伝説では第18代反正天皇の時代(5世紀初め)の創建ということになっている。祭神は「高おかみ神」という水の神である。すでに平安時代には有名な神社で、和泉式部集のみならず赤染衛門集、後拾遺和歌集、新古今和歌集にも登場する。1039年(長暦3年)後朱雀天皇が制定した二十二社に選定されている。二十二社には伊勢神宮、春日大社、下鴨神社、伏見稲荷大社、八坂神社、北野天満宮、住吉大社などいまでも大手の神社が入っている。社殿は本宮・中宮・奥宮の3つに分かれ700mの間に点在して建っている。
ここは毎晩深夜2時、丑の刻に白装束で藁人形に五寸釘を打ち込み憎い男への呪をかける丑の刻参りで有名な神社である。宇治の橋姫伝説から謡曲「鉄輪(かなわ)」が生まれた。わたくしは貴船のことを、2005年の創作舞踊「陰陽師―鉄輪恋鬼孔雀舞(おんみょうじ かなわぬこい、はるのパヴァーヌ 作・夢枕獏)で知った。下記はこの創作舞踊のHPの宇治の橋姫伝説と鉄輪の解説である。
宇治の橋姫はつわりに苦しんでいたので、夫に「七尋のワカメを海で採って来てください」と頼みます。しかし、海に出かけた夫は美しい龍神に囚われてしまいます。橋姫は憎い龍神を呪うことを考え、心願成就で知られた貴船に参詣し「私を鬼に変身させてほしい、 そして龍神を呪いたい」と祈願しました。すると、貴船の神より「髪を松やにで固めて角を作り、その先に火を灯し、鉄輪を被って、三本の松明を持ち、 宇治川に22日間浸りなさい」とお告げがあり、そのお告げのとおり、一心不乱に宇治川に浸った橋姫は鬼となったというものである。
鉄輪のほうは、下京に住む男が後妻を迎えたことを妬み、先妻は後妻に対して呪いを考え、貴船に参詣し、神のお告げを受ける。一方、下京の男は先妻の鬼と化した悪夢に悩まされ、安倍晴明の元を訪ねる。女は、 男の命をとろうと立ち迫りますが、やがて晴明の呪術が勝り、鬼は消え失せる。
こんな山奥まで、しかも深夜訪れるだけでも大変な執念である。
なお神社の説明では「丑の年、丑の月、丑の日、丑の刻に祭神が降臨しあらゆる心願成就に霊験あらたか」で、必ずしも呪だけではないそうだ。
こういう恐ろしい伝説の舞台である一方、貴船神社は和泉式部の和歌から縁結びの神としても知られる。中宮は別名、結社(ゆいのやしろ)とも呼ばれる。夫の心変わりに悩んだ和泉式部は貴船にお参りし、歌を詠んだ。
物思へば沢の螢も我が身よりあくがれ出ずる玉かとぞ見る
(あれこれと思い悩んでここまで来ますと、螢が貴船川一面に飛んでいます。そのはかない光は、まるで自分の魂が体から抜け出て飛んでいるようでございます)
貴船の神の返歌
奥山にたぎりておつる滝つせの玉散るばかり物な思ひそ
(しぶきを上げて飛び散る奥山の滝の水玉のように(魂が抜け出て飛び散り消えていく=死ぬかと思うほど)そんなに思い悩みなさるなよ)
その後まもなく願いが叶えられ、夫婦仲が円満に戻ったということだ。
願いをかなえるため、女性たちが列をつくって並んでいる。
社殿の裏には、絵馬がたくさん掛けられている。この神社は絵馬発祥の社でもある。
たいていは「良縁結婚」といったものだが、なかには「彼氏がほしいです」「○○さんと結婚できますように」という願望や、すでに結婚したカップルの「二人にとって一生涯が幸せで健康に送れますように」というお礼参りのものもある。なお絵馬のほかに結び文もある。神社で「えんむすび特別祈願」を3000円で受けられる。
神社の脇には清流、貴船川が流れ川床料理の店が並んでいる。しかし値段は流しそうめん3500円、ざるそば2300円、にしんそば2300円、すきやき6000円など完全な観光地料金になっている。それにもかかわらず客は大入り、さすが観光産業都市・京都である。
☆こんな山の中にもかかわらず民主・前原誠司(事務所は修学院 前・民主党党首)のポスターがところどころに貼ってあった。なお京都駅周辺では、にっくき自民・伊吹文明(事務所は四条烏丸 2006年の教育基本法改訂、2007年の沖縄戦高校歴史教科書書換え時の元・文科大臣)のポスターが目立った。