多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

ブックフェア2013

2013年07月23日 | 日記
今年も東京ビッグサイトにブックフェアを見に行った。今年は20回の記念フェアだ。
わたくしが行ったもっとも古い会場の記憶は池袋のサンシャインだった。その後、幕張メッセに行ったこともある。調べてみると現在の東京国際ブックフェアになったのは94年の幕張からだそうだ。ビッグサイトに移ったのは97年なので、それからでも16年になる。今年も電子出版EXPOとともに開催された。
いつも梅雨明けの暑い時期にある。しかし今年は7月3日から6日で梅雨末期の時期だった。

今年の目玉は3Dだった。
凸版印刷の3Dプリンターには驚いた。ケロロ軍曹の30センチくらいの人形が何体か展示されていた。プリンターというので、まず形を成型しておき、プリンターで表面に色を着色するのだと思った。しかしそうではなく3次元データをもとに、石膏で成型するところからやるのだそうだ。つまりだんだん盛り上がって出来上がるという。
3次元データがないときは実物をスキャンしてつくるそうだ。コンパニオンの女性が20センチくらいの小さな人形をもっていた。なんと本人のミニチュアである。服のしわやホクロまでリアルに再現されているとのことだった。
パナソニック映像の3Dプラズマディスプレイをみた。5面のディスプレイを半円形に並べてある。5台のカメラで撮ったグランドキャニオンや渡月橋の桜など風景動画が映し出されていたがたしかに迫力がある。迫力については映画「三丁目の夕日'64」でみていたが、こういう展示でも、使い方によっては注目を浴びるかもしれない。
3Dとは関係ないが、堀内印刷が透明テキストPDFを出展していた。PDFの図表や写真以外の文字部分をOCRで読み取りテキスト化したものだ。テキストなのでほかのかたちに変換して利用できるし、検索もできる。どういう役に立つのかよくわからないが、先物買いする客もいるという。

手にもっているのが自分自身のミニチュア。左は3Dプリンタ
昨年のブックフェアは楽天Kobo touch発売直前で実機のデモに人気が集中した。あれから1年、日本語タイトルは14万点、ベストセラーのカバー率80%というからなかなか大したものだ。今年はkobo gloを展示していた。フロントライトを搭載しており暗いところでも読みやすい。
koboのこの1年の実売数を係りの人に聞いてみた。公表していないとのことだった。どうやらあまり売れていない様子だ。毎年「電子書籍元年」といっているが、まだ道は遠いようだ。
なお大日本印刷のブースでは、hontoプラスという月刊PR誌を発刊したというのが目玉だった。あまり大したことはないニュースである。

さて紙の本のほうだが、今年は目玉といえるようなブースは見当たらなかった。
出版梓会は「生きる力 本の力2013」という大きな看板を掲げて、筑摩書房、有斐閣、ミネルヴァ書房など21社が共同で出展していた。
書物復権9社の会では、岩波は今年8月に創業100年、向かいの春秋社は95年ということだった。まさに老舗である。河出書房新社は「文藝」(改造社版)発刊80年、文藝賞50回で、河出になってからだと69年である。創刊号の表紙には「特別寄稿 ゴーリキイ」の文字が見える。当時の編集長は上林暁、河出のときは野田宇太郎だった。高橋和巳(65年)や「追悼 野間宏」(91年)の表紙の号も展示されていた。
驚くようなタイトルのトンデモ本の幸福の科学出版は相変わらずで、「公開霊言 東條英機「大東亜戦争の真実」を語る」、「神に誓って「従軍慰安婦」は実在したか」、「本多勝一の守護霊インタビュー 自虐史観の発端をつくった「南京大虐殺」事件」といったタイトルの本が並んでいた。
国書刊行会は、山尾悠子作品集成 種村季弘傑作撰など今年も良書をたくさん出品していた。またエイ出版社(エイは木ヘンに世)はムックなど雑誌が多いせいだろうが、とてもきれいなブースだった。新しい出版社だと思ったのだが、創業40年ということだった。
今年は手塚プロダクションが、結構大きなスペースで手塚治虫書店というブースを出していた。展示図書は、秋田書店、小学館、講談社などが発行した漫画の単行本だった。

毎年楽しみにしていた造本装幀コンクールだが今年はほとんど見る時間がなかった。購入したパンフによると文部科学大臣賞「われた魯山人」(フォクシー)、経済産業大臣賞「アルケオメトリア 考古遺物と美術工芸品を科学の眼で透かし見る」(東京大学総合研究博物館)、東京都知事賞「浮遊的前衛」(東京大学出版会)である。いずれも完成度が高い。しかしワクワクするようなものはない。東大が3冊中2冊というのはどんなものなのだろう。たぶん東大出版会に見る目のある人がいるのだろう。

手持無沙汰そうな作家・ライターゾーン
それより、今年は写真、イラスト、漫画など、個人出展のクリエイターEXPO東京というゾーンがあった。漫画、作家、映像、音楽など10のジャンルから成るが、漫画、イラスト、絵本などビジュアル系のクリエイターはよいとしても、作家・ライターはどんなものだろう。終日閑をもてあましているような出展者もたくさん並んで座っていた。

☆会場を出たのが夕方だったので、大井町で下車し、東小路飲食街という看板の通りの立ち喰い寿司「いさ美寿司」に入った。「小僧の神様」のころは立ち食いが一般的だったというが、わたしは初めてだ。いかは60円、まぐろ、青柳、エビが100円、「あまちゃん」で人気のウニですら200円という安さだった。なお日本酒や焼酎は400円、お酒を2本と結構食べて2300円だったので寿司屋としては破格の価格である。
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