6月11日(火)夜、全労済ホールで非戦を選ぶ演劇人の会のピースリーディング第16回「いま、憲法のはなし――戦争を放棄する意志」をみた。舞台は青バックに白抜き文字のタイトル、素っ気のないパイプ椅子が20脚ほど半円形に並んでいるだけというシンプルなもの。ピースリーディングをみるのはこれで6回目になるが、今回もずいぶん内容の濃い台本だった。
主人公は、65歳の日本国憲法(高橋長英)と当時の中学生用社会科教科書「あたらしい憲法のはなし」(七味まゆ味)だが、安倍晋三(益岡徹)、石原慎太郎(ゴリ)、橋下徹(土屋良太)、櫻井よし子(西山水木)、雨宮処凛(みやなおこ)、大江健三郎(首藤健祐)、伊藤真(岸田敏志)、伊勢崎賢治(辻輝猛)など改憲・護憲の多くの論客(役柄)が登場する(役者の総数は20人。1人で3役、4役をこなすので役数は79)。高江の伊佐さん(岸田敏志)、イラク派兵差止め訴訟の川口創弁護士(平岳大)、一水会の鈴木邦男さん(辻輝猛)の発言など、よく調べて台本をつくっている。石破茂(丸尾聡)や自民党改正案(大月ひろ美、松金よね子、円城寺あやの3人組)には笑ってしまった。
自民党改正案は、9条の問題だけでなく、日本国憲法の3大方針の「基本的人権の尊重」の危機であることも強調していた。たとえば、憲法97条「基本的人権の本質」、すなわち「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」は全文削除だそうだ。
流暢なスピーチがさらさら流れていくので、ちょっと頭がついていかないところもあった。たとえば、9条を軍事戦略として使うとか、高遠菜穂子さん(古村比呂)の「9条があったから人質にとられても殺されずにすんだ」という話はシナリオをよく読んでみたいと思った。シナリオはそのうちこのサイトにアップされるようだ。
ピースリーディングなので、演技はほとんどないが、イスに座った松金よね子さんのピンと伸びた背筋や、古村比呂さんが他人のセリフを傾聴する真剣なまなざしなど強く印象に残った。
役者では、雨宮処凛役のみやなおこさんの存在感が強かった。ガレッジセールのゴリさんもなかなかよかった。わたしはWktkラヂオ学園くらいしか知らなかったが目をパチパチする石原慎太郎役にせよブッシュ役にせよ大したものだった。一方、年老いて滑舌も悪くなった山本亘の姿はショックだった。
終演後、第2部として川口創さんと根岸季衣さんのトークショーがあった。川口さんは弁護士2年目の2004年2月にイラク派兵差止訴訟を提訴。弁護団事務局長を務め、08年4月、「航空自衛隊のイラクでの活動は憲法9条1項に違反」との違憲判決を勝ち取った。その結果18年12月航空自衛隊はイラクから撤退した。
そしていま自民党内で国家安全保障基本法案が進展している。この法案はきわめて問題が多い。たとえば国の交戦権を認め憲法9条2項を骨抜きにする。「自衛隊は秩序の維持に当たる」とあり、原発反対デモの「鎮圧」に自衛隊が使われる可能性がある。また「我が国と密接な関係にある他国に対する,外部からの武力攻撃が発生した事態」すなわち憲法違反の集団的自衛権を当然のこととしている。集団的自衛権は旧ソ連がチェコに侵入したように大国が小国を攻撃するときに利用される。こんな法案が内閣法制局で認められるわけがないので、自民党は議員立法で法律を制定しようとしている。つまり法律で憲法を破壊するというわけだ。
自民党はすでに昨年7月にこの法案を機関決定している。立憲主義や9条を壊す国家安全保障基本法案は要注意である。
憲法は「守る」ものではなく、「使う」ものだ。一人ひとりは微力かもしれないが、無力ではない。あきらめず、声をあげ続けることが大切だ。
会場の全労済ホール
☆安倍は参議院選が終わるまで改憲問題は寝たふりと報じられていたが、そんなことはない。自民党の参議院選の選挙公約の最終ページに「さあ、時代が求める憲法を」というタイトルで「天皇の元首制」「国防軍の設置」「「緊急事態条項」新設」などをアピールしている。
自民は大勝するつもりでいる。なんとか阻止したいものだ。
主人公は、65歳の日本国憲法(高橋長英)と当時の中学生用社会科教科書「あたらしい憲法のはなし」(七味まゆ味)だが、安倍晋三(益岡徹)、石原慎太郎(ゴリ)、橋下徹(土屋良太)、櫻井よし子(西山水木)、雨宮処凛(みやなおこ)、大江健三郎(首藤健祐)、伊藤真(岸田敏志)、伊勢崎賢治(辻輝猛)など改憲・護憲の多くの論客(役柄)が登場する(役者の総数は20人。1人で3役、4役をこなすので役数は79)。高江の伊佐さん(岸田敏志)、イラク派兵差止め訴訟の川口創弁護士(平岳大)、一水会の鈴木邦男さん(辻輝猛)の発言など、よく調べて台本をつくっている。石破茂(丸尾聡)や自民党改正案(大月ひろ美、松金よね子、円城寺あやの3人組)には笑ってしまった。
自民党改正案は、9条の問題だけでなく、日本国憲法の3大方針の「基本的人権の尊重」の危機であることも強調していた。たとえば、憲法97条「基本的人権の本質」、すなわち「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」は全文削除だそうだ。
流暢なスピーチがさらさら流れていくので、ちょっと頭がついていかないところもあった。たとえば、9条を軍事戦略として使うとか、高遠菜穂子さん(古村比呂)の「9条があったから人質にとられても殺されずにすんだ」という話はシナリオをよく読んでみたいと思った。シナリオはそのうちこのサイトにアップされるようだ。
ピースリーディングなので、演技はほとんどないが、イスに座った松金よね子さんのピンと伸びた背筋や、古村比呂さんが他人のセリフを傾聴する真剣なまなざしなど強く印象に残った。
役者では、雨宮処凛役のみやなおこさんの存在感が強かった。ガレッジセールのゴリさんもなかなかよかった。わたしはWktkラヂオ学園くらいしか知らなかったが目をパチパチする石原慎太郎役にせよブッシュ役にせよ大したものだった。一方、年老いて滑舌も悪くなった山本亘の姿はショックだった。
終演後、第2部として川口創さんと根岸季衣さんのトークショーがあった。川口さんは弁護士2年目の2004年2月にイラク派兵差止訴訟を提訴。弁護団事務局長を務め、08年4月、「航空自衛隊のイラクでの活動は憲法9条1項に違反」との違憲判決を勝ち取った。その結果18年12月航空自衛隊はイラクから撤退した。
そしていま自民党内で国家安全保障基本法案が進展している。この法案はきわめて問題が多い。たとえば国の交戦権を認め憲法9条2項を骨抜きにする。「自衛隊は秩序の維持に当たる」とあり、原発反対デモの「鎮圧」に自衛隊が使われる可能性がある。また「我が国と密接な関係にある他国に対する,外部からの武力攻撃が発生した事態」すなわち憲法違反の集団的自衛権を当然のこととしている。集団的自衛権は旧ソ連がチェコに侵入したように大国が小国を攻撃するときに利用される。こんな法案が内閣法制局で認められるわけがないので、自民党は議員立法で法律を制定しようとしている。つまり法律で憲法を破壊するというわけだ。
自民党はすでに昨年7月にこの法案を機関決定している。立憲主義や9条を壊す国家安全保障基本法案は要注意である。
憲法は「守る」ものではなく、「使う」ものだ。一人ひとりは微力かもしれないが、無力ではない。あきらめず、声をあげ続けることが大切だ。
会場の全労済ホール
☆安倍は参議院選が終わるまで改憲問題は寝たふりと報じられていたが、そんなことはない。自民党の参議院選の選挙公約の最終ページに「さあ、時代が求める憲法を」というタイトルで「天皇の元首制」「国防軍の設置」「「緊急事態条項」新設」などをアピールしている。
自民は大勝するつもりでいる。なんとか阻止したいものだ。