武蔵野音大は1929年に富山県出身の福井直秋が創設した学校で、学生数は約1800人(08年)、教育学部はないので音大としては規模が大きい。江古田以外に埼玉県入間と多摩にも校舎がある。楽器博物館は1967年に設置された。
収集した世界の楽器5000点のうち3700点が江古田にある。3つの収納庫に入っているものもあるので陳列されている点数は不明だがかなりの数が展示されている。1階に鍵盤楽器、2階に管弦楽器、3階に民族楽器が並んでいる。
ピアノは、クラヴィコードやチェンバロに始まり、鋳造フレームやフェルトハンマー、鋼鉄弦が使われ音域も88鍵に増し、音の強弱がつき音量が出せるようになり、表現力豊かなロマン派の楽曲が作曲された。
クララ・シューマン愛用のグランドピアノ(絵葉書より)
ピアノ製造には、木工、金工、機械の技術が総動員され「メカの極致」のようなところがある。外観を見ただけでは特徴がよくわからない。
楽器博物館なのにここの楽器は音が出ない。楽器や鍵盤に触れることはできないし、CDも流れていない。しかも楽器のアップの写真撮影は厳禁である。アクションの進化を、チェンバロ、クラヴィコード、ピアノ、リラピアノの模型を壁に掛けて説明していたが、音が出ないので違いはよくわからなかった。
唯一音があったのは、クララ・シューマン愛用のグランド・ピアノだった。1871年のブラウンシュヴァイク社製でクララに献呈された。このピアノはスタインウェイの先輩にあたる楽器で、クララの死後娘が預かっていたが没後100周年の1996年に展示され、97年に武蔵野音大が入手した。99年には「クララ・シューマンの夕べ」で、クララが作曲した「ヴィーンの思い出」(Op.9 1838年作曲 ピアノ川村ゆみ)と「ピアノ・トリオイ短調」(Op.17 コッホ幸子・増田加寿子・クレメンス・ドル)がこのピアノで演奏され、ちょうどそのときの演奏が上映されていた。
その他、背が高く2mもあるキリン・ピアノ、キリンの首が左でなく中央についたリラピアノ、右の部分が本棚になっているキャビネットピアノ、テーブルとしても使用できるスクエアピアノ、鍵盤が6段もあるヤンコピアノ、白鍵と黒鍵が逆になっているポジティフ・オルガンなど変わった楽器があった。さらにツィンバロン、チェレスタ、グロッケン・シュピールなどの金属打楽器も陳列されていた。
メカの極致の楽器なので、20世紀初頭の自動演奏装置付きのピアノが何台か並んでいた。
日本のピアノというとヤマハか河合しか思い浮かばないが、小野ピアノ、茂呂ピアノ、協信社ピアノ製作所など、多くのメーカーがあったことがわかった。
ヴィオラ・ダモーレ(絵はがきより)
2階にはバイオリンなどの弦楽器、ホルン、クラリネットなどの管楽器が展示されていた。これも音を聞けないので違いはわからないが、トランペットの仲間の信号ラッパ、コルネット、フリューゲルホルン、ホルンの仲間のナチュラルホルン、ウィンナホルン、狩猟ホルン、オーボエの仲間のコール・アングレ、ファゴットに似ているがチューバの先祖のオフィクレイド、バリトンサックスのようなコントラバス・クラリネットなど、初めて見る楽器がたくさん展示されていた。
そういう意味では弦楽器は大きさ、太さなど細部の違いがあるが、だいたい現代の楽器と同じだった。強いてあげれば指板だけのミュートチェロや、ラッパが付いたシュトローチェロが変わっていた。
アジアの部屋(奥がインドネシア)
いちばん面白いのは3階の民族楽器である。アジア、日本、中南米・オセアニア、アフリカ、インド・アラブ、ヨーロッパの地域別6室に分かれている。アジアは1室のなかで、タイ、台湾、フィリピン、ベトナム、インドネシア、中国、チベット、朝鮮の国別に分かれている。インドネシアはカネ、竹の木琴、鉄琴、打楽器など、ガムランの楽器が一式並んでいた。
日本は、太鼓、小鼓の打楽器、琴や筝、胡弓のような弦楽器、笙、篳篥(ひちりき)、尺八など管楽器がありなかなか多彩だった。打楽器で「ちんどん」があったのが興味深かった。またムックリ、石笛などのアイヌ、三線、締太鼓の沖縄は別コーナーになっていた。
インド・アラブでは、シタールが美しい。タンブーラやハーモニウムというドローン(低音)を奏する楽器があった。
世界には多くの民族がいる。したがって民族楽器の種類も多いが、打楽器、笛、弦楽器という基本ジャンルは世界共通のようだ。それ以前に、人体を楽器にする歌唱は基本的に人類の生活するところどこにでもある。世界は広いが音楽は世界共通だ。
住所:東京都練馬区羽沢1丁目13-1
電話:03-3992-1121
開館日:月曜~金曜日(祝日を除く)
開館時間 10時~16時
入館料:無料
☆全面建替に伴い、2012年9月より約6年休館の予定。
その間、入間に楽器を移し展示する予定である。
収集した世界の楽器5000点のうち3700点が江古田にある。3つの収納庫に入っているものもあるので陳列されている点数は不明だがかなりの数が展示されている。1階に鍵盤楽器、2階に管弦楽器、3階に民族楽器が並んでいる。
ピアノは、クラヴィコードやチェンバロに始まり、鋳造フレームやフェルトハンマー、鋼鉄弦が使われ音域も88鍵に増し、音の強弱がつき音量が出せるようになり、表現力豊かなロマン派の楽曲が作曲された。
クララ・シューマン愛用のグランドピアノ(絵葉書より)
ピアノ製造には、木工、金工、機械の技術が総動員され「メカの極致」のようなところがある。外観を見ただけでは特徴がよくわからない。
楽器博物館なのにここの楽器は音が出ない。楽器や鍵盤に触れることはできないし、CDも流れていない。しかも楽器のアップの写真撮影は厳禁である。アクションの進化を、チェンバロ、クラヴィコード、ピアノ、リラピアノの模型を壁に掛けて説明していたが、音が出ないので違いはよくわからなかった。
唯一音があったのは、クララ・シューマン愛用のグランド・ピアノだった。1871年のブラウンシュヴァイク社製でクララに献呈された。このピアノはスタインウェイの先輩にあたる楽器で、クララの死後娘が預かっていたが没後100周年の1996年に展示され、97年に武蔵野音大が入手した。99年には「クララ・シューマンの夕べ」で、クララが作曲した「ヴィーンの思い出」(Op.9 1838年作曲 ピアノ川村ゆみ)と「ピアノ・トリオイ短調」(Op.17 コッホ幸子・増田加寿子・クレメンス・ドル)がこのピアノで演奏され、ちょうどそのときの演奏が上映されていた。
その他、背が高く2mもあるキリン・ピアノ、キリンの首が左でなく中央についたリラピアノ、右の部分が本棚になっているキャビネットピアノ、テーブルとしても使用できるスクエアピアノ、鍵盤が6段もあるヤンコピアノ、白鍵と黒鍵が逆になっているポジティフ・オルガンなど変わった楽器があった。さらにツィンバロン、チェレスタ、グロッケン・シュピールなどの金属打楽器も陳列されていた。
メカの極致の楽器なので、20世紀初頭の自動演奏装置付きのピアノが何台か並んでいた。
日本のピアノというとヤマハか河合しか思い浮かばないが、小野ピアノ、茂呂ピアノ、協信社ピアノ製作所など、多くのメーカーがあったことがわかった。
ヴィオラ・ダモーレ(絵はがきより)
2階にはバイオリンなどの弦楽器、ホルン、クラリネットなどの管楽器が展示されていた。これも音を聞けないので違いはわからないが、トランペットの仲間の信号ラッパ、コルネット、フリューゲルホルン、ホルンの仲間のナチュラルホルン、ウィンナホルン、狩猟ホルン、オーボエの仲間のコール・アングレ、ファゴットに似ているがチューバの先祖のオフィクレイド、バリトンサックスのようなコントラバス・クラリネットなど、初めて見る楽器がたくさん展示されていた。
そういう意味では弦楽器は大きさ、太さなど細部の違いがあるが、だいたい現代の楽器と同じだった。強いてあげれば指板だけのミュートチェロや、ラッパが付いたシュトローチェロが変わっていた。
アジアの部屋(奥がインドネシア)
いちばん面白いのは3階の民族楽器である。アジア、日本、中南米・オセアニア、アフリカ、インド・アラブ、ヨーロッパの地域別6室に分かれている。アジアは1室のなかで、タイ、台湾、フィリピン、ベトナム、インドネシア、中国、チベット、朝鮮の国別に分かれている。インドネシアはカネ、竹の木琴、鉄琴、打楽器など、ガムランの楽器が一式並んでいた。
日本は、太鼓、小鼓の打楽器、琴や筝、胡弓のような弦楽器、笙、篳篥(ひちりき)、尺八など管楽器がありなかなか多彩だった。打楽器で「ちんどん」があったのが興味深かった。またムックリ、石笛などのアイヌ、三線、締太鼓の沖縄は別コーナーになっていた。
インド・アラブでは、シタールが美しい。タンブーラやハーモニウムというドローン(低音)を奏する楽器があった。
世界には多くの民族がいる。したがって民族楽器の種類も多いが、打楽器、笛、弦楽器という基本ジャンルは世界共通のようだ。それ以前に、人体を楽器にする歌唱は基本的に人類の生活するところどこにでもある。世界は広いが音楽は世界共通だ。
住所:東京都練馬区羽沢1丁目13-1
電話:03-3992-1121
開館日:月曜~金曜日(祝日を除く)
開館時間 10時~16時
入館料:無料
☆全面建替に伴い、2012年9月より約6年休館の予定。
その間、入間に楽器を移し展示する予定である。