多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

美人おかみが待つ阿佐ヶ谷・燗酒屋

2009年09月08日 | 居酒屋・銭湯紹介
阿佐ヶ谷駅北口の飲み屋街を200mほど西に歩くと、黄色いちょうちんが軒先を飾る間口の狭い居酒屋がある。縄のれんをくぐると和服にかっぽう着のおかみが出迎えてくれる。大森一樹『暗くなるまで待てない!』(1974)の金盃森井本店のママさんとちょっと似た感じの女性だ(昔の記憶なので、もしかすると若くて和装であることだけが共通点かもしれないが)。7-8席しかない小さな店なので、いっぱいのことが多い。わたくしは3度目の訪問でやっと入れた。

おかみは神楽坂で料理の修業をし、阿佐ヶ谷で独立したそうだ。毎朝きちんと築地まで買い出しに行っている。
この日のメニューは鱧(はも)の湯引き980円、メゴチと夏野菜の天ぷら880円、シマあじ刺980円、芝海老のかき揚げ750円、こはだ酢〆750円、天然稚鮎の天ぷら700円、真鯛刺880円、ツブ貝刺880円、鶏の龍田揚650円など。
わたしはメゴチと夏野菜の天ぷらを注文した。塩か天つゆかを選べる。塩で食べたが、粉のような塩でとてもうまかった。
器もさわやかな絵柄のものが多い。陶磁器は合羽橋で調達しているそうだ。お新香を頼むと浅漬けか古漬けとどちらがよいかと聞かれた。漬けてから3日目のものを古漬けに分類しているとのこと。
わたし自身は酒の銘柄にはまったくこだわらないが、珍しい地酒を取りそろえていて、詳しく解説してもらえる。

ときどき軒先に吊るした風鈴が風流な音を立てる。
店内では、首振り扇風機と棚の高いところに置いているレトロなラジオが目立つ。どの放送局を選局しているのか聞くと、普通はNHKとのこと。わたくしもパソコンを打ちながらテレビをみることはできないので、通常NHK第一をかけっぱなしにしていることが多い。

カウンターのコーナーに燗漬け器(燗銅壺というそうだ)がある。店に合わせて依頼するオーダー品なのだそうだ。根岸の鍵屋でみたことがある。おかみも何度か鍵屋に行ったことがあるそうで、いろいろ研究されているようだ。この店が開店したのは4年前だが、「使い込んで風格が出てくるとよいのですが」と控えめにおっしゃっていた。
カウンターが低く、料理をつくっている様子がよく見える。いいのかなと思うほどだが、ちょっと得した気になる。
店内の撮影は快諾してもらったが、顔は「自身がない」とのことで背中しか許可が出なかった。なんだが体を動かすのがとても好きな人のようだ。一人客も二人客もあまりしゃべらず、静かに料理ができるのを待っている。会話するのにちょうどよい距離のスペースなのでもったいない気がする。しかし上品な感じの店である。

さいごにへぎそばを頼んだ。ねぎ、あさつき、みょうがなど薬味がうまい。そういえば、お通しのわらびもおいしかった。魚だけでなく野菜もうまい店である。
店を出るときにはわざわざ見送ってくれる。明るいおかみさんだった。

住所: 166-0001 東京都杉並区阿佐谷北2-3-3
電話: 掲載希望せず
営業: 17:00-22:30、日祝休
  エビス中 600、小500、黒ビール ギネス600
  日本酒・本醸造(小)550、純米(小)620、焼酎(芋・麦)580
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