多面体F

集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

全国10地域から報告を聞いた2.8総決起集会

2009年02月10日 | 集会報告
2月8日(日)午後、改悪教育基本法の実働化を許さず、都教委の「10.23通達」と君が代処分、「7.15分限指針」撤回を求める「2.8総決起集会」が、お茶の水の全電通会館で開催された(主催 石原・大原都教委の暴走をとめよう 都教委包囲・首都圏ネット 参加280人)。この総決起集会は今年で5回目である。東京都では、昨年7月恣意的に教員を解雇できる「7.15分限指針」を発出、年末には給与に大きな差を付け一般教員を分断化する主任教諭制度の導入が決定した。世界同時不況が深刻化し大量の失業者が生み出されるなか、北海道から福岡まで、東京を含め全国10の地域で闘いを続ける教員・市民が各地の国旗国歌強制反対の取り組みを報告した。

「主任教諭制」導入問題  直塚文雄さん(高校教員)
従来の主任制と異なり、今回の主任教諭制は受験するかどうかが一人ひとりに突きつけられている。主任教諭は入都8年(30歳)で受験でき、主任になるのとならないのでは生涯賃金が1400万違うといわれる。定年近い57歳でも退職金やボーナスで30-40万の差が出る。しかも定年後再雇用以降ですら月額3万以上の差が付くエゲツナイ制度である。
導入の背景は、公務員給与、とりわけ行政職より高い教員の給与の抑制である。しかも働く人間と働かない人間に賃金の差をつけようというものだ。
2008年暮れに導入が押し切られたが、一夜明けると職場の雰囲気が一変し「どうやって主任教諭になるか」と浮足立った雰囲気になっている。受験しても君が代処分者は合格せず、自己申告書を提出していない人は不利になるといわれている。いままで相互批判に基づきフラットだった職場は、「競争と選別」の場になることが懸念される。この事態に注目し、状況をはね返していきたい。

「7・15分限対応指針通知」と闘う  菊岡伸一さん(町田教組)
2008年7月15日、都教委は21項目の分限事由例を含む「分限処分指針」を発表した。この指針がはらむ3つの大きな問題を指摘する。
1 病休、産休、育休、介護を抱える教職員に差別的である。「当日連絡での休暇取得が多い」「繰り返し欠勤する」など休暇の取り方まで分限処分の理由とされる。弱いものを切て捨てようとする姿勢が表れている。
2 主任制度、教員免許更新制度と連動して、簡単に教員のクビを切ろうとしている。町田ではこの3年の新採用者が250人、全体の1/4に達する。学校はてんてこ舞いの状況だ。そして、ボランティア、指導員、巡回相談員、非常勤講師などさまざまな立場の職員の数が増えている。使い捨てでクビを切り、安い労働力で穴埋めしようという意図がみえる。将来的には教育の民営化にもつながる。
3 「君が代」不起立処分者に適用されかねない。事実、この通知がはじめて読み上げられたのは昨年7月の再発防止強制研修の場だった。しかし、今年根津さんの分限免職処分を阻止できれば、全公務員への攻撃であるこの通知を空文化できる。

橋下府政下での非正規教員雇い止め攻撃  武井博道さん(大阪教育合同労組
昨年3月橋下府政は、教務事務補助員350人の給料を切り下げ09年3月末で雇い止めにし、本来1年契約なのに08年7月までの契約を結ばせようとした。それに対し7月15日にストを打った。府教委に対するストは29年ぶりで、大阪府庁の玄関に非常勤職員20人、組合員と支援者200人が座り込み、賃下げを撤回させた。1年契約といっても10年、20年と働いてきた人もいる。その後も団交を繰り返し、非正規雇用の人とともに闘いを進めている。

「10・23通達」との不断の闘い 「君が代」不起立の継続を
根津公子さんは「教師の責任としてウソはつけない。自分の本当の生き方をしたい。だから今年も不起立を貫くが、分限免職が予想される。昨年、大勢の人が立ち上がりクビを阻止できたが、今年は『分限はおかしい』と都教委に声を寄せてほしい。そして都の暴走を止めよう」と語った。
河原井純子さんは、けしてあきらめないと「雑木林の決意」を読み上げた。
渡辺厚子さんは、リフレッシュ休暇闘争がほぼ要求どおりの金額と謝罪文で和解成立する見通しであることを報告し、今年は3年生の担任で不起立を決意していること、3月28日の行動予定と停職中校門前闘争の予定などを述べた。
近藤順一さんは「評論家や学者と違って、現場の教員は不起立・不斉唱を含む多様な行動をすべきだ」と主張した。

東京の被処分者たちの闘いの報告
「君が代」不当処分撤回を求める会から、裁判や再発防止研修ゼッケン着用の人事委員会審理の状況について、被処分者の会から3月26日の東京「君が代」裁判判決(第一次)などの状況について、藤田勝久さんから1月26日に「藤田裁判」の上告趣意書を最高裁に提出した報告があった。

全国からの報告

北海道  北教組組合員
北海道教職員組合(北教組)は、今年も「君が代不起立」を組織決定し、「立たない、歌わない、弾かない」を貫く。そして差別と選別の「特別支援教育」反対闘争を展開している。また、昨年1月の24年ぶりの時限スト15000人の大量処分を強行したことに対し、人事委員会にマンモス提訴を行っているところだ。
宮城  土屋聡さん
評価制度は実施されているが自己申告書は出していない。職務命令は出たが処分は出ていない。教育長は「大したことないから、チャチャッと書いてパーッと出してください」などと言うが、子どもたちに恥ずかしい行動は取れない。宮城には分限処分された教員がたくさんいる。孤立させないよう支援をしている。意見の違う人ともつながりあうことしか、こちらの武器はない。
新潟  被処分者の会
2006年に処分された高校教員の人事委員会公開口頭審理が昨年12月から始まった。県教委が、口頭で職務命令を出したとする職員会議には、じつは当該教員が欠席であったことが判明し、しかもその後県教委の発令日は二転し、でたらめな処分であったことが明らかになった。次回は2月24日に開催される予定だ。
三重  冨田正史さん
90%の組織率を誇り、国歌斉唱の職務命令は出ないので処分もない。評価制度は全国で46番目に導入され2008年に試行段階に入った。また「教え子を法廷に送るな」をスローガンに裁判員制度反対を支部決定して取り組んでいる。
愛知  小野政美さん
トヨタショックで野宿者が増え、学校に来れない日系ブラジル人の子どもが増えている。12月にシンポジウムと「教育格差告発ホットライン」を行ったところ「母子家庭で母が倒れ、子どものアルバイト代で家計を支えている」という声が寄せられた。
京都  「心の教育」はいらない!市民会議
京都では、商工会議所が提唱する「ジュニア京都検定事業」、31社が学校施設にブースを開設した「スチューデントシティ・ファイナンスパーク事業」、16社の創業者のマンガ人物伝を教材にする「京都モノづくりの殿堂事業」など、まるで公教育が財界の下請機関になったかのような事業がつぎつぎに導入され、財界がカネと意見で教育内容に介入している。「心の教育」はいらない!市民会議は、これらに反対し、6つの住民訴訟を起こした。京都市教委に対するパイオニア委託事業訴訟は07年の地裁勝訴に続き、08年10月高裁でも勝訴した。タウンミーティング不正国賠訴訟は08年12月、地裁では敗訴したがこれから高裁に舞台を移す。自称「教育先進都市」の教育行政にストップをかけたい。
大阪  新勤評訴訟・井前弘幸さん
昨年12月25日新勤評反対訴訟は地裁で敗訴した。裁判所は被告すら主張していない論理を判決で展開した。事実でないことが法廷でまかり通っている。まず、自己申告票不提出による不利益は「ない」どころではなく「不利益は当然」とした。そして、本来一体である評価・育成システムと給与を別々にして合理性を判断した。さらに「教育目標の決定に、すべての教職員が参画し、保護者からの意見を聞いている」とした。そんな事実はない。1月7日に控訴した。この運動は教職員5万人のうち2万人にニュースを配布するところまで広がった。今後もさらに広げていきたい。
福岡  義務制教員
今年わたしたちの実行委員会は、「不起立」を宣言したうえで不起立行動に入る。
学習指導要領の強制に反対するため、すべての分会に討議資料を配布した。来年本格実施される免許更新に、今年791人が受講したが、うち5人が不合格になった。予備講習の段階でこの結果である。
神奈川  心の自由裁判原告
君が代不起立者の県教委による個人名収集が始まり、07年県審査会が、08年県審議会がそれそれぞれ「不適当」と判断したのに08年の卒入学式でも同じことを続けた。そこで08年11月原告団18人が県教委を相手取り提訴した。第1回口頭弁論は3月9日に行われる。先行する「こころの自由裁判」は2月に結審し7月16日に判決が出る。

最後に「地域の学校の校長に職務命令を出すなと申し入れる」「根津さんの解雇をなんとしても阻止する」「卒業式・入学式でのビラまき行動に参加する」など6つの具体的行動が提起され、集会決議を採択し会を閉じた。最後はいつものように「団結ガンバロー」のシュプレヒコールが会場にこだました。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 居心地はよいものの。ブック... | トップ | 北村小夜の「戦争は教室から... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

集会報告」カテゴリの最新記事