12月12日(土)午後、水道橋の東京学院でシンポジウム「官僚・メディアと新政権――記者クラブ廃止に向けて」が開催された(主催:人権と報道・連絡会)。パネリストは、西山太吉さん(元毎日新聞記者)、田中康夫さん(衆議院議員)、上杉隆さん(ジャーナリスト)、ディビッド・マックニールさん(インディペンデント紙特派員)という豪華メンバー、司会は浅野健一さん(同志社大教授) だった。90席ほどの座席は満席になった。記者クラブ批判を果敢に続ける上杉さんの話がとりわけ興味深かったので紹介する。
●政治家にとっての記者クラブの3つのメリット
上杉さんの最初の就職先はNHKだった。2年間放送記者を経験したあと、鳩山邦夫衆議院議員の秘書となり2年半メディア担当として99年の都知事選などで報道に対応した。担当になったころ先輩秘書からいくつか教えを受けた。何かマスコミネタになりそうな問題が起きたとき、番記者は放っておいてよいが、フリーの記者や雑誌記者には議員本人に極力会わせる。新聞・テレビは脅せば書かないが、雑誌は予定稿がほぼ出来上がった段階で取材にくる。本人に会わせればトーンが和らぐ可能性もあるし、議員本人の反論を載せてくれるかもしれない。次にその問題記事が出てしまったら、まずお前が編集部に乗り込むか電話で怒鳴りあげる。その後、議員本人が「うちの若いものが失礼なことをして、大変申し訳ない」と電話を入れる。そしてお前がお茶菓子持参でわびを入れる。そのとき記者本人も含めた会食の場の設定をお願いする。その宴会で仕入れた情報を抜け目なく番記者に提供すれば、次に番記者がアラート機能を果たしてくれるかもしれない。
実際にオレンジ共済事件のとき、政治部記者から「社会部がこの件で動いているようなので気をつけたほうがいい」と耳打ちされた。寝耳に水だったが、調べてみるとオレンジ共済の事務所がある中央区担当秘書が献金を受けていた。きちんと届けを出し適法に処理していたが、返金し記者会見を行うことにした。ネガティブな会見は国会内の会見場で開く。記者クラブの所属記者しか出席できないし、質問を事前に集められるからだ。それどころか記者によっては受け答えの指南書まで書いてくれる。森首相のとき話題になったが、日常的に行われている。あとでフリーの記者から記者会見を求められても「もう開催したので、記者クラブに言ってください」と答えれば終わりだ。こうして政治家にとって記者クラブシステムは、アラート機能を果たす、防波堤になってくれる、「会見を開き説明責任を果たした」と新聞に書いてくれる、と3つものメリットがある。便利なシステムだと思った。
●総理単独取材を阻止する記者クラブ
秘書の次に、ニューヨークタイムスの特派員に就職した。小渕総理の単独インタビューのアポを取り付けたとき、官邸から「総理動静」の関係で、取材日時と場所を内閣記者会に連絡してほしいといわれた。連絡すると幹事社から「記者クラブとしては、取材は認められない」と言ってきた。取材するには記者クラブに入る必要があり、それには推薦2社と常駐者を置くことが条件となる。そうすれば順番にインタビューを受け付けるが、いつになるかはわからないといわれた。これには支局長も怒った。総理本人が断ったのなら記事に総理はノーコメントだったと書くことができる。しかし「同業者がダメというのでノーコメントだった」とはアメリカの新聞には書けない。
その後フリーランスになったが、もっとひどい。質問はおろか、正式には官邸に入ることもできない。5月16日の民主党新代表選出の際NHKの生中継があった。質問のためずっと手を上げ続けたが一巡しても当たらない。鳩山新代表が「上杉君、なんで当たらないの」とわたしにささやいた。「嫌われているからですよ」と答えた。代表が、司会をしていた党職員(さきがけ出身)に「何で当てないの」といってやっと最後に当たったので、記者会見の開放について質問をし代表から言質をとった。しかし大相撲中継が始まっており画面には出なかった。
●官僚制度と共存共栄の記者クラブシステム
記者クラブ制度はシステムとして完璧だ。アメリカの軍産複合体が軍と産業がかみあわさって強固な権力構造になっているように、記者クラブは官僚制度と支えあっている。メディアの問題というより統治機構の問題である。年金問題や薬害エイズや肝炎のように、行政から発生した問題は、雑誌・フリーランス・インターネット・海外から報道が始まる。しかし役所は記者クラブにニセのデータを投げる。新聞・テレビは役人のいうことを信じ、そのまま発表する。国民はメディアに書いてあることを信じ、フリーの記者が書いているのはインチキだと思う。5-6年たって事実が明るみに出て、それから本当のことが報じられるようになる。これで実害を受けるのは国民だ。その5-6年のあいだに被害を食い止められたかもしれない。「1億総洗脳化社会」が半世紀以上続いている。みごとな制度であり、ここまで完璧なら世界遺産に登録するとよいかもしれない。
また記者クラブの存在は、雑誌やフリーの記者の大部分にとっても「おいしい」制度である。週刊新潮などで、署名のない記事のほとんどはじつは記者クラブの記者のアルバイト原稿である。署名のある記事でも、自分では取材せず記者からもらった情報メモを検証して書いていることがある。政治ジャーナリストで、月1回番記者にごちそうし代わりに情報をもらっている人は多い。記者クラブがなくなれば取材していないことがバレてしまう。そういう人はクラブがなくなると自分のビジネスモデルが崩壊するので抵抗勢力となる。
●鳩山新政権下の記者クラブの現状
新政権成立の前に小沢と鳩山に総理記者会見の開放を約束させた。しかし実現していない。平野博文官房長官が、9月16日の初の総理記者会見の当日に翻意したからだ。わたしが官邸の会見の開放をターゲットにしたのは明確な戦略があった。官邸が開けば他の省庁も開くだろう。総務省が開けば、都道府県が開き市町村も開く。また経済産業省が開けば日本経団連も開き、そうすればトヨタやキヤノンも開くかもしれない。
しかし官邸は開いていない。いまは岡田克也外相の外務省と亀井静香大臣の金融庁のみである。それも外務省では11日かかった。岡田大臣が霞クラブに申し入れたが返答がなく、ついに大臣が「フリーやネットの記者の取材機会を奪うことになる」と強引に開けた。記者クラブは会見をボイコットしようとしギリギリになり出席した。そして読売の記者が「大臣が勝手に会見ルールを壊した。これは国民の知る権利を妨害するものだ」と意見を述べた。不思議そうな顔をしていた外相は「あなたがおっしゃらないほうがいいんじゃないですか」と答えた。外務省の記者会見は記者クラブ主催でなく、唯一外務省主催なので開けやすい条件があった。
亀井大臣には、たまたまテレビ局で会ったときに「陳情」した。翌日「来てくれ」と電話がありいってみると、クラブのメンバー以外はわたくし1人で雰囲気が変だった。質問すると「記者クラブ主催なのでなかなか難しくてね。今日は大臣権限で、友だちということで」とのことだった。2日後「やはり入れない」と連絡があった。しかし亀井さんは火曜・金曜の週2回の会見で、はじめの30分は記者クラブ、後半は大臣室で会見と、世にも不思議な大臣2回会見をすることにした。記者クラブが会見場の使用を認めなかったからだ。ニューヨークタイムスも大きく報道した。
●開放しない3つの理由
記者クラブ側は開放しない理由として、スペース、セキュリティ、主催権の3つを挙げる。しかし簡単に反論できる。まずスペースについてだが、民主党本部の5階の会見場には200人入れる。官邸の記者会見場はその1.5倍のスペースがある。もしそれでも狭いのなら大講堂がある。石原都知事が都庁の講堂を使った前例がある。またNHKにパスが約30枚、朝日に20枚発行されている。最後の手段として、その1割でもフリーに回す方法もある。
セキュリティというのは、どこの馬の骨ともわからない人間が入ると危ないという主張だ。しかし記者の登録は、世界のどこでも個人登録だ。わたしはIOCにもサミットにも、会見に参加した。サミットではインターネットで申し込んでから48時間でパスが発行された。NHKや朝日のような組織に所属していれば無条件にパスが発行される。よこしまな考えをもちアルバイトになった人も入場できることになり、かえって危険なこともある。
主催権に関しては、記者クラブは民間の親睦団体に過ぎない。公の機関が便宜を与えるのは憲法89条「公の財産の支出又は利用の制限」に反し、法的にもおかしい。
●10年前との違い
10年前は記者クラブの問題をいっても日本のメディアは黙殺し、認知しないので存在しない問題だった。しかしいま「官邸追放」の動画がニコニコ動画に出ると、かつてわたくしのことを「民主党の犬」「ウソツキ」と書いていた2チャンネルなどのネットが、「マスゴミと闘うGJ(グッドジョブ)、上杉ガンバレ」などと評価を一転させた。やっとこの問題が認知されるようになりつつある。官邸に「公約違反」とメールの抗議文が届いたり、平野官房長官の議員会館の事務所に抗議電話が殺到したそうだ。
世論の後押しはやはり力強い。また国民の利益にもなる。そういう意味で、市民の方の後押しをお願いしたい。
マックニールさんも、首相記者会見で質問のできないオブザーバーという立場に抗議し、20分間手を上げ続けたエピソードを披露した。また宮内庁の記者会見で、雅子さんの病気に関し皇太子の見解を質問したら官僚は困ったような顔をして完全に無視し、しばらくして民放女性記者がおずおず手を上げ、まったく関係のないささいな質問をし官僚を助けた話をした。官僚は皇太子を守る自分の仕事を行ったにすぎないが、女性記者は本来宮内庁を攻撃する仕事のはずなのに、宮内庁とともに(記者と)闘う立場に立ったことを非難した。
田中さんは、長野県知事当時の2001年6月末に「脱・記者クラブ宣言」をし記者クラブを撤去し、オープンな表現センターを設置した。しかし「記者クラブを廃止しただけでは問題は解決しない。活発な記者会見や質疑応答になるかどうかは別の問題だ」と体験を話した。
西山さんは「日本のメディアは権力の監視機能が弱い。それにもかかわらず欧米以上に重要な位置にある。国民の政治意識が低いからだ」と述べた。
☆わたくしは「週刊上杉隆」を愛読しているので、上杉さんが記者クラブ問題についてたびたび発言していたことは知っていた。しかしこれほど露骨に大新聞やテレビ局の記者が取材活動を妨害していることは知らなかった。また記者クラブが、結果として政治家や行政を守るガードマンの機能を果たしているという問題点が、具体的なお話でよくわかった。ただ、官僚主催で司会を官僚がやるより、記者クラブ所属でなくてもよいのだが、追及する側が司会をしたほうがよいと思うのだが、どうだろうか。
●政治家にとっての記者クラブの3つのメリット
上杉さんの最初の就職先はNHKだった。2年間放送記者を経験したあと、鳩山邦夫衆議院議員の秘書となり2年半メディア担当として99年の都知事選などで報道に対応した。担当になったころ先輩秘書からいくつか教えを受けた。何かマスコミネタになりそうな問題が起きたとき、番記者は放っておいてよいが、フリーの記者や雑誌記者には議員本人に極力会わせる。新聞・テレビは脅せば書かないが、雑誌は予定稿がほぼ出来上がった段階で取材にくる。本人に会わせればトーンが和らぐ可能性もあるし、議員本人の反論を載せてくれるかもしれない。次にその問題記事が出てしまったら、まずお前が編集部に乗り込むか電話で怒鳴りあげる。その後、議員本人が「うちの若いものが失礼なことをして、大変申し訳ない」と電話を入れる。そしてお前がお茶菓子持参でわびを入れる。そのとき記者本人も含めた会食の場の設定をお願いする。その宴会で仕入れた情報を抜け目なく番記者に提供すれば、次に番記者がアラート機能を果たしてくれるかもしれない。
実際にオレンジ共済事件のとき、政治部記者から「社会部がこの件で動いているようなので気をつけたほうがいい」と耳打ちされた。寝耳に水だったが、調べてみるとオレンジ共済の事務所がある中央区担当秘書が献金を受けていた。きちんと届けを出し適法に処理していたが、返金し記者会見を行うことにした。ネガティブな会見は国会内の会見場で開く。記者クラブの所属記者しか出席できないし、質問を事前に集められるからだ。それどころか記者によっては受け答えの指南書まで書いてくれる。森首相のとき話題になったが、日常的に行われている。あとでフリーの記者から記者会見を求められても「もう開催したので、記者クラブに言ってください」と答えれば終わりだ。こうして政治家にとって記者クラブシステムは、アラート機能を果たす、防波堤になってくれる、「会見を開き説明責任を果たした」と新聞に書いてくれる、と3つものメリットがある。便利なシステムだと思った。
●総理単独取材を阻止する記者クラブ
秘書の次に、ニューヨークタイムスの特派員に就職した。小渕総理の単独インタビューのアポを取り付けたとき、官邸から「総理動静」の関係で、取材日時と場所を内閣記者会に連絡してほしいといわれた。連絡すると幹事社から「記者クラブとしては、取材は認められない」と言ってきた。取材するには記者クラブに入る必要があり、それには推薦2社と常駐者を置くことが条件となる。そうすれば順番にインタビューを受け付けるが、いつになるかはわからないといわれた。これには支局長も怒った。総理本人が断ったのなら記事に総理はノーコメントだったと書くことができる。しかし「同業者がダメというのでノーコメントだった」とはアメリカの新聞には書けない。
その後フリーランスになったが、もっとひどい。質問はおろか、正式には官邸に入ることもできない。5月16日の民主党新代表選出の際NHKの生中継があった。質問のためずっと手を上げ続けたが一巡しても当たらない。鳩山新代表が「上杉君、なんで当たらないの」とわたしにささやいた。「嫌われているからですよ」と答えた。代表が、司会をしていた党職員(さきがけ出身)に「何で当てないの」といってやっと最後に当たったので、記者会見の開放について質問をし代表から言質をとった。しかし大相撲中継が始まっており画面には出なかった。
●官僚制度と共存共栄の記者クラブシステム
記者クラブ制度はシステムとして完璧だ。アメリカの軍産複合体が軍と産業がかみあわさって強固な権力構造になっているように、記者クラブは官僚制度と支えあっている。メディアの問題というより統治機構の問題である。年金問題や薬害エイズや肝炎のように、行政から発生した問題は、雑誌・フリーランス・インターネット・海外から報道が始まる。しかし役所は記者クラブにニセのデータを投げる。新聞・テレビは役人のいうことを信じ、そのまま発表する。国民はメディアに書いてあることを信じ、フリーの記者が書いているのはインチキだと思う。5-6年たって事実が明るみに出て、それから本当のことが報じられるようになる。これで実害を受けるのは国民だ。その5-6年のあいだに被害を食い止められたかもしれない。「1億総洗脳化社会」が半世紀以上続いている。みごとな制度であり、ここまで完璧なら世界遺産に登録するとよいかもしれない。
また記者クラブの存在は、雑誌やフリーの記者の大部分にとっても「おいしい」制度である。週刊新潮などで、署名のない記事のほとんどはじつは記者クラブの記者のアルバイト原稿である。署名のある記事でも、自分では取材せず記者からもらった情報メモを検証して書いていることがある。政治ジャーナリストで、月1回番記者にごちそうし代わりに情報をもらっている人は多い。記者クラブがなくなれば取材していないことがバレてしまう。そういう人はクラブがなくなると自分のビジネスモデルが崩壊するので抵抗勢力となる。
●鳩山新政権下の記者クラブの現状
新政権成立の前に小沢と鳩山に総理記者会見の開放を約束させた。しかし実現していない。平野博文官房長官が、9月16日の初の総理記者会見の当日に翻意したからだ。わたしが官邸の会見の開放をターゲットにしたのは明確な戦略があった。官邸が開けば他の省庁も開くだろう。総務省が開けば、都道府県が開き市町村も開く。また経済産業省が開けば日本経団連も開き、そうすればトヨタやキヤノンも開くかもしれない。
しかし官邸は開いていない。いまは岡田克也外相の外務省と亀井静香大臣の金融庁のみである。それも外務省では11日かかった。岡田大臣が霞クラブに申し入れたが返答がなく、ついに大臣が「フリーやネットの記者の取材機会を奪うことになる」と強引に開けた。記者クラブは会見をボイコットしようとしギリギリになり出席した。そして読売の記者が「大臣が勝手に会見ルールを壊した。これは国民の知る権利を妨害するものだ」と意見を述べた。不思議そうな顔をしていた外相は「あなたがおっしゃらないほうがいいんじゃないですか」と答えた。外務省の記者会見は記者クラブ主催でなく、唯一外務省主催なので開けやすい条件があった。
亀井大臣には、たまたまテレビ局で会ったときに「陳情」した。翌日「来てくれ」と電話がありいってみると、クラブのメンバー以外はわたくし1人で雰囲気が変だった。質問すると「記者クラブ主催なのでなかなか難しくてね。今日は大臣権限で、友だちということで」とのことだった。2日後「やはり入れない」と連絡があった。しかし亀井さんは火曜・金曜の週2回の会見で、はじめの30分は記者クラブ、後半は大臣室で会見と、世にも不思議な大臣2回会見をすることにした。記者クラブが会見場の使用を認めなかったからだ。ニューヨークタイムスも大きく報道した。
●開放しない3つの理由
記者クラブ側は開放しない理由として、スペース、セキュリティ、主催権の3つを挙げる。しかし簡単に反論できる。まずスペースについてだが、民主党本部の5階の会見場には200人入れる。官邸の記者会見場はその1.5倍のスペースがある。もしそれでも狭いのなら大講堂がある。石原都知事が都庁の講堂を使った前例がある。またNHKにパスが約30枚、朝日に20枚発行されている。最後の手段として、その1割でもフリーに回す方法もある。
セキュリティというのは、どこの馬の骨ともわからない人間が入ると危ないという主張だ。しかし記者の登録は、世界のどこでも個人登録だ。わたしはIOCにもサミットにも、会見に参加した。サミットではインターネットで申し込んでから48時間でパスが発行された。NHKや朝日のような組織に所属していれば無条件にパスが発行される。よこしまな考えをもちアルバイトになった人も入場できることになり、かえって危険なこともある。
主催権に関しては、記者クラブは民間の親睦団体に過ぎない。公の機関が便宜を与えるのは憲法89条「公の財産の支出又は利用の制限」に反し、法的にもおかしい。
●10年前との違い
10年前は記者クラブの問題をいっても日本のメディアは黙殺し、認知しないので存在しない問題だった。しかしいま「官邸追放」の動画がニコニコ動画に出ると、かつてわたくしのことを「民主党の犬」「ウソツキ」と書いていた2チャンネルなどのネットが、「マスゴミと闘うGJ(グッドジョブ)、上杉ガンバレ」などと評価を一転させた。やっとこの問題が認知されるようになりつつある。官邸に「公約違反」とメールの抗議文が届いたり、平野官房長官の議員会館の事務所に抗議電話が殺到したそうだ。
世論の後押しはやはり力強い。また国民の利益にもなる。そういう意味で、市民の方の後押しをお願いしたい。
マックニールさんも、首相記者会見で質問のできないオブザーバーという立場に抗議し、20分間手を上げ続けたエピソードを披露した。また宮内庁の記者会見で、雅子さんの病気に関し皇太子の見解を質問したら官僚は困ったような顔をして完全に無視し、しばらくして民放女性記者がおずおず手を上げ、まったく関係のないささいな質問をし官僚を助けた話をした。官僚は皇太子を守る自分の仕事を行ったにすぎないが、女性記者は本来宮内庁を攻撃する仕事のはずなのに、宮内庁とともに(記者と)闘う立場に立ったことを非難した。
田中さんは、長野県知事当時の2001年6月末に「脱・記者クラブ宣言」をし記者クラブを撤去し、オープンな表現センターを設置した。しかし「記者クラブを廃止しただけでは問題は解決しない。活発な記者会見や質疑応答になるかどうかは別の問題だ」と体験を話した。
西山さんは「日本のメディアは権力の監視機能が弱い。それにもかかわらず欧米以上に重要な位置にある。国民の政治意識が低いからだ」と述べた。
☆わたくしは「週刊上杉隆」を愛読しているので、上杉さんが記者クラブ問題についてたびたび発言していたことは知っていた。しかしこれほど露骨に大新聞やテレビ局の記者が取材活動を妨害していることは知らなかった。また記者クラブが、結果として政治家や行政を守るガードマンの機能を果たしているという問題点が、具体的なお話でよくわかった。ただ、官僚主催で司会を官僚がやるより、記者クラブ所属でなくてもよいのだが、追及する側が司会をしたほうがよいと思うのだが、どうだろうか。