この店に初めて先輩に連れていっていただいたのは1991年秋のことなので、もう15年も前になる。
カウンター10席、小上がり3人の小さな店。基本的に料理は注文なしで次々に出てくる。
かつて、紀伊国屋の田辺茂一氏、文春の池島信平氏、東大の相良守峯先生、教育大の吉田精一先生、上野動物園の林寿郎さんらも贔屓にされていたらしい(もちろんわたくしが知らない時代の話)。先代ママ存命のころは夏季ゼミナールというイベントがあり、先日亡くなられた観世栄夫さんや上野動物公園の先生方の「丹頂鶴の二重唱」といった出し物もあった。客に大学の教員が多かったことから当時は「新宿利佳大学」とも呼ばれた。ママが学長、生徒会長が金子嗣郎先生(初代は相良守峯先生)だった。
この店は、客のだれとも自由に話してよいという暗黙のルールがあり、いろんな方のお話や漫談をお聞きした。故人に限定して挙げると、金子嗣郎先生(都立松沢病院)、廣西元信先生(通称マロ 松濤館)、徳川宗賢先生(国立国語研究所)、村上兵衛さん(評論家)らのお顔をなつかしく思い出す。
店はメトロビル3階にある。3軒酒場が並んでいる一番右の店
二代目ママの荒木かずほさんは東京芸術座の女優。かつてオムスク(ロシア)を中心に安部公房の「砂の女」の「女」を演じていたこともある。1970年に紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞した。
店のほうは、いまから8年前に引き継いだ(先代ママと縁戚関係はない)。
店には劇団の創設者・村山知義が描いた「荒木かずほ像」(コピー)がある。この絵はママさんが20代のときのもの。村山知義の印象を聞くと、柔和な人だったという。わたくしは著作から「頑固で、偏屈な人ではないか」という印象を得ていたので意外な感じがした。村山の晩年、ペンを持てなくなったころにはテアトロに連載中の「演劇的自叙伝」の口述筆記を交代でやったそうだ。
価格は5000円前後。わたくしの行く店のなかでは高いほうだが、3月にコントをやったときには2回練習をみていただいたので、レッスン代も含めれば安いものだ。
住所 新宿区歌舞伎町1-23-14メトロビル3階
電話 03-3203-2681
月~金 18時~0時まで
☆『新宿「利佳」の二十年』(1978年12月文藝春秋事業出版)『新宿利佳の三十年』(1989年8月新潮社)がいずれも私家本として発刊されている。通販の古書販売で購入可能
カウンター10席、小上がり3人の小さな店。基本的に料理は注文なしで次々に出てくる。
かつて、紀伊国屋の田辺茂一氏、文春の池島信平氏、東大の相良守峯先生、教育大の吉田精一先生、上野動物園の林寿郎さんらも贔屓にされていたらしい(もちろんわたくしが知らない時代の話)。先代ママ存命のころは夏季ゼミナールというイベントがあり、先日亡くなられた観世栄夫さんや上野動物公園の先生方の「丹頂鶴の二重唱」といった出し物もあった。客に大学の教員が多かったことから当時は「新宿利佳大学」とも呼ばれた。ママが学長、生徒会長が金子嗣郎先生(初代は相良守峯先生)だった。
この店は、客のだれとも自由に話してよいという暗黙のルールがあり、いろんな方のお話や漫談をお聞きした。故人に限定して挙げると、金子嗣郎先生(都立松沢病院)、廣西元信先生(通称マロ 松濤館)、徳川宗賢先生(国立国語研究所)、村上兵衛さん(評論家)らのお顔をなつかしく思い出す。
店はメトロビル3階にある。3軒酒場が並んでいる一番右の店
二代目ママの荒木かずほさんは東京芸術座の女優。かつてオムスク(ロシア)を中心に安部公房の「砂の女」の「女」を演じていたこともある。1970年に紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞した。
店のほうは、いまから8年前に引き継いだ(先代ママと縁戚関係はない)。
店には劇団の創設者・村山知義が描いた「荒木かずほ像」(コピー)がある。この絵はママさんが20代のときのもの。村山知義の印象を聞くと、柔和な人だったという。わたくしは著作から「頑固で、偏屈な人ではないか」という印象を得ていたので意外な感じがした。村山の晩年、ペンを持てなくなったころにはテアトロに連載中の「演劇的自叙伝」の口述筆記を交代でやったそうだ。
価格は5000円前後。わたくしの行く店のなかでは高いほうだが、3月にコントをやったときには2回練習をみていただいたので、レッスン代も含めれば安いものだ。
住所 新宿区歌舞伎町1-23-14メトロビル3階
電話 03-3203-2681
月~金 18時~0時まで
☆『新宿「利佳」の二十年』(1978年12月文藝春秋事業出版)『新宿利佳の三十年』(1989年8月新潮社)がいずれも私家本として発刊されている。通販の古書販売で購入可能
今は北海道網走におりますが、年に1回から2回は東京に来てゴールデン街の花の木に行っております。どこかの酒場でお会し、利佳の話を肴に御一緒出来れば幸いです。
(2008年10月10日の記事を参照)