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集会報告、読書記録、観劇記録などの「ときどき日記」

迫力の演奏 馬場管70回定期演奏会

2007年07月21日 | 観劇など
7月15日午後、台風襲来のさなか杉並公会堂で開催された高田馬場管弦楽団第70回定期演奏会を聞きに行った。
馬場管を聞き始めたのは92年の40回定期のころなので、すでに15年になる。

私の目当ては指揮者の森山崇氏。指揮台の上でジャンプするのでジャンピング・コンダクターと呼ばれた。師匠の山岡重信氏は、いったん指揮台に膝を沈め、そこからグウッと上に伸び上がる動きだったが、森山さんはピョーンと、それこそ地上30センチくらい跳び上がるのだ!これは、猿之助など歌舞伎役者のようで、見ものだった。しかしプログラムによれば、97年の50回定期「ばらの騎士」で足を踏み外す落下事故を起こし、以降「ウケ狙いでジャンプするのは気をつけ」るようになったとのことである。
いまは垂直運動をやめ、音楽に合わせ指揮台の右コーナーから左コーナーへ、再び左から右へとダンスをするがごとく優雅に水平運動をするので、ワルツィング・コンダクター(ワルツィング・キャットじゃないですよ)の異名をとる。
スタイルはともかく、音楽の盛り上げ方がすばらしい。この日の曲目は
 メンデルスゾーン/交響曲第5番「宗教改革」
 チャイコフスキー/「イタリア奇想曲」
 レスピーギ/「ローマの松」

の3曲だった。とくに「イタリア奇想曲」と「ローマの松」の最終部分の盛り上がりがすごかった。「アッピア街道の松」は吹奏楽版で酒井正幸指揮・豊島区立第十中学校の演奏を日比谷野音で聞いたことがある。始まりのあたりは、十中の演奏のほうがうまいような気がした。ところが終末部の迫力がまったく違う。かなり長い小節を使った盛り上がりなのだが、森山さんがどのように組み立てているのかは録音を繰り返し聞かないとわからない。
またこの楽団のコンサートにはいろいろ珍しい楽器が登場する。この日は、6人のバンダが登場した。レスピーギは楽譜で「古代ローマの楽器・ブッキーナをフリューゲルホーンで代用する」よう指示しているそうだ。現在日本で通常使用されているのはピストン式フリューゲルホーンだが、この楽団では「レスピーギが想定していたのは中部ヨーロッパで使用されていたロータリー式のはず」との考えのもと自力でロータリー・フリューゲルホーン、ワグナー・チューバ、バス・ロータリー・フリューゲルホーンをそれぞれ2台ずつ購入して使っていた。音色がどう違うのか、私にはよくわからなかった。
またメンデルスゾーンの4楽章では、低音楽器セルバンの代用でオフィクレイドという初見の楽器を使用していた。
杉並公会堂は1957年に開館し、当時「東洋一の文化の殿堂」と呼ばれ、音響のよさからレコーディングスタジオとしても利用された。かつて中野・杉並・練馬の第三学区には手ごろなホールがなく、早稲田高等学院、東京立正高校の定期演奏会を聞きにいった記憶がある。
それが2006年6月1日にリニューアルオープン、まったく様相が変わっていた。

ガラス張りの外観

客席数1190席の大ホール サントリーホールのように舞台後方にも客席がある

☆森山崇さんは1946年生まれ。早稲田大学理工学部卒業、早稲オケでは打楽器を担当。1974年の馬場管創立以来、指揮者として活躍。かつては印刷会社の社員だったが今は音楽三昧の生活とのこと。
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