荻窪駅からわずか500m歩くだけでボーッとしてしまう32度の酷暑のなか、杉並公会堂で高田馬場管絃楽団第72回定期演奏会を聞いた。
いつもは開演15分前に会場に入っていたが、たまたまその前の用事が早く終わったため開場5分後に到着した。ところがその時点ですでに8割ほど席が埋まっていたため、やっと後ろから6列目の席を確保できた。合唱団の家族もいるので1190席が瞬く間に満席になった。2階の背面も満杯、ロビーのディスプレイしか見られない人が数十人出現したのいうのだから悲惨だ。アマチュアのコンサートでこれほどの大入り満員は珍しい。
この日のプログラムは下記の通り。
ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より
第3幕への前奏曲、徒弟たちの踊り(3幕5場)、第1幕への前奏曲
ベートーヴェン/交響曲第9番二短調 作品125「合唱付き」
ソプラノ:小林 菜美 アルト:林 美智子 テノール:高橋 淳 バリトン:黒田 博
合唱:合唱団さきたま、JPTA男性合唱団(合唱指揮:岡本 俊久)
真夏だが第九なのである。
この曲は1824年、ベートーヴェンが53歳のときに作曲し5月7日に初演された。死の3年前のことである。しかしシラーの詩に曲を付ける構想はボン大学の学生だった22歳のときから持っていた。ベートーヴェンの学生時代はフランス革命直後である。その後ナポレオンの飛躍と凋落の30年をはさみ「Freude,
schoner Gotterfunken」(歓喜よ、神々の麗しき霊感よ 注 原文oのウムラウトは表示していない)で有名な合唱付きの交響曲という異例な形式で完成させた。
わたくしの目当てはワルツィング・コンダクター森山崇氏の第九の指揮だった。1,2楽章をそつなく仕上げると、合唱団120人あまりと4人の独唱者が入場し舞台は俄然華やかになる。
4楽章のなかほどで、コントラバス、チェロの低音と管楽器など高音が交互に出てくるところがある。舞台左に8本のコントラバス、右奥に金管とティンパニー、その前に木管と、ちょっと変わった配置にしていたが、その効果が十分発揮されていた。
森山さんの最後の盛り上げ方には今回もやはり感心した。リズムが走ることもなく、オケが絶叫することもない。しかし最後の数十小節徐々に音楽は盛り上がりフィナーレで頂点に達する。「ブラボー」の声まで計算に入れた綿密な組み立てをしているように思えるくらいだった(わたくしも、その他大勢の一員として、思わず「ブラボー」の声を上げてしまった)。
見た目も、振り下ろし、伸び起こし、足踏みと指揮のパフォーマンスの数々を楽しめた。75分の長丁場のせいか手すり(背もたれ)付きの指揮台を使用していたが、まったく不要で活発な指揮だった。
ところで森山さんがジャンピング・コンダクターと呼ばれたことは前回書いたが、1月の「のだめカンタービレ」新春スペシャルにそっくりの指揮者が出ていた。石井正則が演ずる片平元という千秋のライバル指揮者である。また森山さんは、だれかに似ているような気がしていたが、ウディ・アレンのように思える。
独唱者ではテナーの高橋淳氏がハリのある声を出していた。演奏のほうは4楽章だけでなく、ベルリオーズの「幻想交響曲」のような派手な感じにまとめていた2楽章もよかった。大合唱団に負けないメリハリの利いた馬場管らしい好演だった。
馬場管というとマーラー、ブルックナーという気がしていた。しかし、作曲家別ランキングの1位はベートーヴェンで18回、2位がモーツァルト、ブラームスで16回だそうだ。交響曲1~8番はそれぞれ2,3回演奏されたが、第九は25年の歴史で初演奏とのこと。合唱団を集めるのが難しいのだろう。
☆荻窪駅前の焼鳥屋でチューハイや生ビールをあけている人を大勢みかけた。本当においしそうだった。
いつもは開演15分前に会場に入っていたが、たまたまその前の用事が早く終わったため開場5分後に到着した。ところがその時点ですでに8割ほど席が埋まっていたため、やっと後ろから6列目の席を確保できた。合唱団の家族もいるので1190席が瞬く間に満席になった。2階の背面も満杯、ロビーのディスプレイしか見られない人が数十人出現したのいうのだから悲惨だ。アマチュアのコンサートでこれほどの大入り満員は珍しい。
この日のプログラムは下記の通り。
ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より
第3幕への前奏曲、徒弟たちの踊り(3幕5場)、第1幕への前奏曲
ベートーヴェン/交響曲第9番二短調 作品125「合唱付き」
ソプラノ:小林 菜美 アルト:林 美智子 テノール:高橋 淳 バリトン:黒田 博
合唱:合唱団さきたま、JPTA男性合唱団(合唱指揮:岡本 俊久)
真夏だが第九なのである。
この曲は1824年、ベートーヴェンが53歳のときに作曲し5月7日に初演された。死の3年前のことである。しかしシラーの詩に曲を付ける構想はボン大学の学生だった22歳のときから持っていた。ベートーヴェンの学生時代はフランス革命直後である。その後ナポレオンの飛躍と凋落の30年をはさみ「Freude,
schoner Gotterfunken」(歓喜よ、神々の麗しき霊感よ 注 原文oのウムラウトは表示していない)で有名な合唱付きの交響曲という異例な形式で完成させた。
わたくしの目当てはワルツィング・コンダクター森山崇氏の第九の指揮だった。1,2楽章をそつなく仕上げると、合唱団120人あまりと4人の独唱者が入場し舞台は俄然華やかになる。
4楽章のなかほどで、コントラバス、チェロの低音と管楽器など高音が交互に出てくるところがある。舞台左に8本のコントラバス、右奥に金管とティンパニー、その前に木管と、ちょっと変わった配置にしていたが、その効果が十分発揮されていた。
森山さんの最後の盛り上げ方には今回もやはり感心した。リズムが走ることもなく、オケが絶叫することもない。しかし最後の数十小節徐々に音楽は盛り上がりフィナーレで頂点に達する。「ブラボー」の声まで計算に入れた綿密な組み立てをしているように思えるくらいだった(わたくしも、その他大勢の一員として、思わず「ブラボー」の声を上げてしまった)。
見た目も、振り下ろし、伸び起こし、足踏みと指揮のパフォーマンスの数々を楽しめた。75分の長丁場のせいか手すり(背もたれ)付きの指揮台を使用していたが、まったく不要で活発な指揮だった。
ところで森山さんがジャンピング・コンダクターと呼ばれたことは前回書いたが、1月の「のだめカンタービレ」新春スペシャルにそっくりの指揮者が出ていた。石井正則が演ずる片平元という千秋のライバル指揮者である。また森山さんは、だれかに似ているような気がしていたが、ウディ・アレンのように思える。
独唱者ではテナーの高橋淳氏がハリのある声を出していた。演奏のほうは4楽章だけでなく、ベルリオーズの「幻想交響曲」のような派手な感じにまとめていた2楽章もよかった。大合唱団に負けないメリハリの利いた馬場管らしい好演だった。
馬場管というとマーラー、ブルックナーという気がしていた。しかし、作曲家別ランキングの1位はベートーヴェンで18回、2位がモーツァルト、ブラームスで16回だそうだ。交響曲1~8番はそれぞれ2,3回演奏されたが、第九は25年の歴史で初演奏とのこと。合唱団を集めるのが難しいのだろう。
☆荻窪駅前の焼鳥屋でチューハイや生ビールをあけている人を大勢みかけた。本当においしそうだった。