4月23日に投票された統一自治体選挙(後半)、東京23区では12の区で区長が改選され8区で現職(うち1人は無投票)、4区で新人が当選した。うち女性区長が3人、従来からの3人と合わせると合計6人に増えたことが大きいニュースになった。
区議では維新(東京維新の会)が前回14人だったのが4倍の47人に急拡大、しかも23区中(今回区議選が実施されたのは21区)8区でトップ当選、5区で3位以内だった。参政党もいっきょに13人となった。
定数817のところ、自民が-32人(256→224)、公明が-11人(155→144)、共産が-13人(107→94)と既成政党が振るわず、れいわが14人当選した。なお、立民・国民は4年前と体制が変わっているが今回の当選者はそれぞれ82、22。
この勢いが続くなら維新は次期衆院選・比例で、大阪近辺だけでなく、東京はじめ首都圏でも躍進しそうだ。頭が痛い。
なぜ維新が急増したのか。わたしの地元では維新が断トツのトップ当選、議席は1→2に倍増だったが、票数だけでいえば4人当選可能だった。それは人口が伸びている地域の駅前交差点で昨年秋ごろから、地道に日常活動としてスタッフ8人くらいで街宣を続けていたからだ。ある区民は、区議選というと維新の候補者しかみかけなかったといっていたくらいだ。
もうひとつの風は、女性区議の躍進だった。とくに杉並区は性別非公表の1人を除くと女性が1人多く、武蔵野市は男女同数とニュースにもなった。23区合計で298人(36.4%)で前回より5ポイント増えたそうだ。女性増加の風は、次期国政選挙でも吹くだろう。
今回の選挙で、わたしは保坂さんの世田谷区長選、そのほか3つの市議選・区議選のボランティアを行った。
保坂さんの区長選では、28歳の元財務官僚が政策がらみの論戦をしかけ、今回は「かつてなかった大激戦」、加えてデマ怪電話や新聞折込み、とのメールが地元の人から届いた。わたしは遠方なので本当は2回で終了にしようと思っていたが、そのタイミングのメールだったので3回目の応援にも行った。
開票結果は、保坂18万6000票対内藤14万7000票で4選された。だが初挑戦で4万1000票差、保坂の80%に迫るのは脅威だし、今回は維新・自民推薦で公明は自由投票だったが、公明も推薦を出していれば肉薄していたと思われる。
わたしは4つの選挙にそれぞれ2-5回程度ボランティアに参加しただけなので、あまり大したことはしていない。
ポスティングは累計で3400枚、電話入れ50本弱、チラシの折り・封入などの室内作業、告示日のポスター貼りと証紙貼りといった定番のほか、今回は候補者街宣の旗持ちや戸別訪問の同行も行った。街宣での証紙付きチラシ配布は最近は結構手伝っているが、旗持ちはいちばん最初に選挙ボランティアをした2005年と、2014年に新人候補の応援をして以来なのでほぼ10年ぶりだ。
また今回初めて予定候補の戸別訪問に同行した。用件は、地域の問題に関する行政への要請署名集めだった。戸建て住宅だけ回り玄関チャイムを押して待つ。飛び込み営業のようなものだ。平日昼間なので、在宅の家は少なく、予想通り、在室でもいい反応が返ってくることは少ない。
コロナ以前の一時期、憲法9条改憲反対署名を集めるためグループで団地の戸別訪問をしていたことがあった。議員であれ一般市民であれ、対応はそれほど変わらないことがわかった。ただ、以前からこの方は戸別訪問を熱心にされていると聞いたことはあったが、議員予定候補がこうして一軒一軒直接足を運んでいる姿を実際にみて心を動かされた。
区長・区議選は選挙期間は1週間しかない。いままでわたしにとって選挙ボランティアというと、在勤中は平日は夜だけだったので電話入れ、退職後は告示前のポスティングが主だった。選挙なので、もちろん公選法の枠内のことしかできないが、今回の選挙ではある候補はポスティングは業者に発注したとのことだった。たしかに集合ポストの脇にゴミ箱のあるマンション(たとえばわたしが住むところ)では、4割は即ゴミ箱行きなので、(予算の問題はあるが)いい選択のようにも思う。また電話帳からの電話入れは、いまどき携帯電話のみの人も多いし、詐欺電話予防で掲載しない人も多い。さらに告示翌日から期日前投票できるので、(本当は投票していなくても)「投票ずみです」と答える人もいる。戦術としての電話入れの有効性は低まるばかりだ。
デジタル時代ではあるが、有権者に直接顔を見せ、直接声をかけるといった運動の「原点」はやはり重要だ。
区議選と同時に区長選も行われた。ただ、わたしの居住区では現職1人しか候補者がおらず無投票で再選された。無投票という話を聞いたとき、政党間の調整がうまくいかなかったのかと思ったが、よく考えると区民にも責任があると思う。対立候補がいないということは、現区長の施策にすべて満足という意思表示になってしまう。なかなかできることではないが、選挙直前でなく、日ごろからの地道な活動が重要ということだ。
今回応援した候補4人とも無事に当選した。過去のある時期には、選挙応援するたびに落選だったので、当選はやはりうれしい。とくに新人が2人当選したことはうれしかった。
選挙は一種の祭りだ。ボランティアも、同じ候補者の応援に集まった人なので価値観も似ていることが多い。室内作業のなかでの雑談も充実した話、役に立つ情報も多く有益なことが多い。ただ今回はたまたま会話の機会が少なく、その点やや残念だった。
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