国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

仮想敵国インドネシアの脅威から自国を防衛する為にオーストラリアは日本との安保共同宣言を必要とした?

2007年03月18日 | 東南アジア・南アジア・オセアニア
インドネシアはオーストラリアのすぐ北隣に存在し十倍の人口を有し、今後経済成長が予想される。日本が中国に感じているのと同様の脅威をオーストラリアは感じている筈だ。日本の経済的影響力を生かして自国をインドネシアから防衛したいのだろう。オーストラリア側から「自国の広い土地を利用して自衛隊との共同軍事訓練を」との声があるのも、自衛隊が滞在することでインドネシアの脅威に対抗したいのだと思われる。インドネシアは人口の大部分がイスラム教徒だが、オーストラリアに近いニューギニア島西部や小スンダ列島東部ではキリスト教徒が優勢である。分離独立運動も存在し、オーストラリアがそれを支援してきた可能性は高い。2002年に独立した東チモールにオーストラリアは平和維持部隊を展開しているが、これは自国をインドネシアから防衛するための最後の砦への形を変えた占領である。そもそも、東チモールの独立を決定した1999年の住民投票は1997年のアジア金融危機での経済破綻に続いて1998年に起きた民主化運動でスハルト政権が倒されたことがきっかけである。アジア金融危機は東チモールなどのキリスト教徒優位地区を分離独立させる目的でオーストラリアが国際金融資本に依頼して実行したのではないか。日豪両国は安保共同宣言に際してこれらの地域の将来について突っ込んだ秘密合意を行っていると想像する。オーストラリア側としては、東チモールの独立とキリスト教優位状態の維持が最低ラインであり、出来ればイリアンジャヤ、小スンダ列島東部でのキリスト教優位状態を維持したいだろう。しかし、戦国時代末期に侵略を目的とした西九州でのキリスト教布教を経験しその根絶に大きな被害を出した日本にとっては、キリスト教化された地域をイスラムに戻したいというインドネシアの希望はよく分かる。具体的決定については想像するしかないが、日本の軍事力のプレゼンスを望んでいると思われる事から考えて、インドネシア側にやや有利、オーストラリア側にやや不利な内容だったのではないか。将来日本が改憲した後は、在日米軍基地と同様の自衛隊基地がインド洋のシーレーン防衛の明目で設置されるかもしれない。また、ハワード首相の来日直前に米国の最高実力者の一人であるチェイニー副大統領が「イラク派兵への感謝が目的」という明目で日豪両国を訪問したのは共同宣言の根回しが目的だったのだと思う。 . . . 本文を読む
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