国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

シベリアのサハ共和国で建設が進むアムール=ヤクーツク鉄道とロシアのランドパワーの増大

2007年03月21日 | ロシア・北方領土
アムール=ヤクーツク鉄道の未開通区間であったネリュングリ炭田地区~サハ共和国の首都ヤクーツク間のうち、ネリュングリ炭田地区~トモット駅間の360kmは1985年に工事が開始され、1997年に完成、2004年には旅客輸送も開始されている。残るトモット-ヤクーツク間の建設も2010年を目処に進められているという。 人口二十万人余りのヤクーツクはサハ共和国の中枢であるが、外部との交通網は従来は道路と河川交通と航空輸送だけであった。アムール=ヤクーツク鉄道のルートに並行する基幹道路である連邦道M 56(レナ・ハイウェイ)の写真を見るとぬかるみの悪路だが、永久凍土地帯では降った雨が凍土に遮られて地下にしみ込みにくいこともあるのだろう。トラック輸送に向かない荷物は、短い夏の期間を利用して上流の鉄道駅からレナ川の貨物船に荷物を積み替えてヤクーツクを含む地域全体に運ばれているという。一年分の貨物を夏の間にまとめて輸送して備蓄しておくのである。そのコストの高さは言うまでもない。 アムール=ヤクーツク鉄道が完成すれば、ヤクーツクまでの貨物輸送は従来のトラック+河川交通から鉄道輸送に切り替わることになる。それはヤクーツクへの輸送コストの引き下げと四季を通じた安定した輸送の実現によって、サハ共和国の生活コストを大きく引き下げることになる。サハ共和国の資源の開発コストも引き下げられ、より開発が進むことが期待される。 サハ共和国はロシアの領土の六分の一を占める巨大な国家であり、その住民の過半数はトルコ系とされるヤクート人などのアジア系民族である。天然資源不足と人口過剰に悩む中国は隙あらばこの地域を占領し自国に編入することを狙っていると想像され、ロシアもそれを恐れている。日本はこの地域をオーストラリアと並ぶ安定した資源供給源として確保し中国に侵略されることを防ぐために、ロシア政府、サハ共和国政府と交流を深めていく必要がある。 . . . 本文を読む
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