国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

間宮海峡トンネル建設+改軌で樺太の鉄道がロシア本土に直結される計画の目的は何か?

2007年03月22日 | ロシア・北方領土
樺太を鉄道で本土と一体化することで、中国軍が中露国境を越えて侵入してきた際の極東地区の住民の避難先として確保する。樺太南部のユジノサハリンスクをロシア東部地域の首都、あるいは臨時首都候補として整備する。最悪の場合は極東のロシア人は樺太の橋頭堡に脱出して日本の支援の元に本土奪還の機会を待つこともできる。ナポレオン戦争や第二次世界大戦で、ロシア軍は西方からの敵の侵入に対してどんどん東へ撤退する戦術を採った。日中戦争でも中国国民党政府は南京から奥地の重慶へと撤退した。しかし、現在のロシア極東は中露国境沿いに人口も交通網も集中しており、奥地へ撤退するための交通機関も、奥地の拠点もない。中国の脅威を考慮して、国境から離れた地域に拠点を置き本土と鉄道で直結するのは合理的である。核ミサイル時代に通常兵器のみの使用を前提とした戦術が果たしてどこまで有効なのかは分からない。ただ、現在のロシア極東は通常兵器レベルでも中国軍の脅威に対して脆弱であると言える。そして、現状では中露関係は比較的良好だが、将来ダマンスキー島事件の様な軍事対立が起きないという保証は何もない。それに対しては、ハバロフスク・ウラジオストク・ブラゴベシシェンスクの三都市は最前線の軍事要塞的地域とし、現在のウラジオストクの都市機能をナホトカと樺太南部に、ハバロフスクやブラゴベチェンスクの都市機能をコムソモリスク・ナ・アムーレに移すような政策が考えられる。そして、バム鉄道が複線電化されてシベリア鉄道のメインルートとなり、現在のシベリア鉄道は北朝鮮への鉄道輸送を行うローカル線に転落することになる。ハバロフスク・ウラジオストク・ブラゴベシシェンスクの三都市は中国が全く脅威でなかった時代に国境沿いに建設された。国境沿いの方が、満州を植民地支配するのに好都合でもあったのだろう。しかしながら、中国の経済的躍進、あるいは人口の激増は今やロシア極東に対する大きな脅威となっている。この現状で、ハバロフスクやウラジオストクに更に中枢機能を集中させるのか、それとも国境から遠いコムソモリスク・ナ・アムーレ、ナホトカ、樺太南部などに中枢機能を移すのか?その答えは恐らく数年以内に分かるはずである。 . . . 本文を読む
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