国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

中国とタジキスタンの領土紛争が決着

2011年01月15日 | 中近東地域
タジキスタンと中国の国境協定が決着した。中国側は当初は約2万8500平方キロの“返還”を求め続けていたが、結局2002年、1千平方キロの割譲で合意した。更に、タジキスタン国内の反発を巨額の融資で押さえ込み、タジキスタン下院での国境協定可決に持ち込んだのだ。領土問題での大幅譲歩と巨額の融資を行ってまでも、中国はタジキスタンとの国境を確定させて関係を改善したいと考えていたのだと思われる。その目的は、漢民族とイラン民族の結合、つまり儒教イスラム連合の結成ではないかと思われる。 タジキスタンの主要民族であるタジク人は旧ソ連圏中央アジア諸国の中では唯一イラン系民族である。トルコ東部のクルディスタンからイランを経てアフガニスタン・タジキスタン・パキスタン西部に至る高原・山岳地帯にイラン系民族が居住しているのだ。仮に今後米軍がアブガニスタンから撤退すれば、中国がタジキスタン・アフガニスタンを経由してイランと鉄道・パイプラインなどで直結する事態が起きることが十分考えられる。サミュエル=ハンチントンが著書「文明の衝突」で最も恐れた儒教イスラム連合の完成である。現在米国や欧州の国々がアフガニスタンに軍隊を駐留させていることで、このイランと中国の直結は回避されている。米国のアフガン攻撃の真の目的は、イランと中国の間に楔を打ち込んで両民族の結合を阻止することであった可能性がある。だとすれば、恐らく今後数十年に渡って欧米諸国はアフガニスタンに軍隊を駐留させ続けることになると思われる。 . . . 本文を読む
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