国際情勢の分析と予測

地政学・歴史・地理・経済などの切り口から国際情勢を分析・予測。シャンティ・フーラによる記事の引用・転載は禁止。

ネオコンが夢見たイスラム圏民主化の進展

2011年01月27日 | 中近東地域
チュニジアで親欧米的な独裁政権が倒れた。同様の独裁打破を叫ぶ動きがエジプトやアルジェリアなどに拡大している。ウィキリークスやフェイスブックなどのインターネットメディアがこれらの動きに深く関与しているという情報がある。しかし、常識的に考えればウィキリークスやフェイスブックは国際金融資本を含む欧米支配階層の強い影響下にあり、その意向を反映していると思われる。欧米支配階層はかつてウクライナやグルジアでカラー革命を扇動したのと同様に、現在は中近東・北アフリカで革命を扇動しているのだ。かつてネオコンはイスラム圏を民主化すべきとの主張を掲げてイラク侵略を行ったが、現在行われているのはそのイスラム圏の民主化そのものであり、ネオコンが深く関与している可能性がある。ただ、民主化されたイスラム圏は脱宗教化しておらず、欧米型の民主政治ではなく現在のイラクと同様の宗教指導者による統治に移行するのではないかと想像する。その目的はよく分からないが、アラブ諸国を混乱させ弱体化させること、サウジアラビアなどの君主制非民主主義産油国を脅迫して欧米の国際戦略に従わせることなどが考えられるだろう。  中近東や北アフリカでは出生率が高い状態が続いており、人口の多くが若年層で占められる不安定な状況である。彼らは失業やインフレに苦しんでおり、革命の温床となる不満は鬱積していた。欧米支配階層はこれに火をつけたのだ。今後最も注目されるのは、アラブ圏最大の国家であるエジプトと、聖地メッカの支配者であり世界最大の石油輸出国であるサウジアラビアに革命が波及するか否かである。エジプトの混乱は海運の大動脈であるスエズ運河の運行に影響を与える。サウジアラビアの王政転覆は湾岸諸国の石油輸出を減少させる可能性が高い。どれも世界経済への影響は非常に大きいが、どちらもインフレ促進要因である。両国の今後が注目される。 . . . 本文を読む
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