計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

地上天気図の見方・ポイント解説

2013年11月08日 | お天気のあれこれ

 気象情報を理解する上で欠かせないものと言えば・・・それは「天気図」。テレビや新聞、インターネットなどでも見ることのできる地上天気図のポイントを簡単にまとめてみました。

 地上天気図とは例えばこんな感じですよね。



 地図の上に、白い線が何本も描かれ、さらには「」や「」というマーク。さらにはおでんに入っているハンペンカマボコがつながったような記号・・・。実は、これらの一つ一つにも、ちゃんとした「名前」があるのです。

 それでは、名前を書き込んでみますね。



等圧線高気圧低気圧、すべて「」という字が入っていますね。さて、この「圧」とは一体、何の「圧力」なのでしょうか?

 これは「大気」の圧力、つまり「気圧」です。気圧とは、その真上に乗っている大気の重さがズッシリと圧し掛かって生じる圧力のことです。単位にはhPa(ヘクトパスカル)を用います。



 つまり、頭上に乗っている大気が「重い」と気圧は「高く」なり、「軽い」と気圧は「低く」なるわけです。

 この結果、周囲よりも気圧の高い所が「高気圧」、周囲よりも気圧の低い所が「低気圧」になります。そして空気は、気圧の高い所から低い所に向かって押し込まれることで移動します。これがとなるのです。



北半球では、高気圧の中心からは時計回りに風が吹き出し、低気圧の中心に向かって反時計回りに流れ込みます。

 低気圧に流れ込んだ空気はそのまま上へ上へと昇り、上空で雲を生み出します。その後、いずれは高気圧の中心に向かって吹き降りてくるのです。


 続いて、前線とは、北からの「冷たい空気(寒気)」と南からの「暖かい空気(暖気)」がぶつかり合う時に、その境目として現れます。温暖前線寒冷前線の違いは、寒気と暖気のぶつかり方によるものです。



寒冷前線の場合は、既に暖気が存在している所で、寒気がその下にムリヤリ潜り込む形になります。このため先に存在している暖気はグワーッと上に持ち上げられて、真上に向かう上昇気流となります。

温暖前線の場合は、既に寒気が存在している所で、暖気がその上を駆け上がっていく形になります。従って、寒気の斜面上を上昇するような上昇気流になります。

 このような上昇気流の違いは、前線上の雲の形にも現れてきます。



寒冷前線に伴う上昇気流は、真上に向かう上昇気流となります。従って、前線上に生じる雲も、まっすぐ上に広がる背の高い雲(積乱雲)になります。

温暖前線に伴う上昇気流は、寒気の斜面上を上昇するため、前線付近に生じる雲も平べったい層状の雲(乱層雲)になります。



 北側の寒気と南側の暖気が接触すると前線帯となり、その上で反時計回りの渦を生じるようになると低気圧が発達します。

 渦に伴って東側では、南からの暖気が北側の寒気の上を昇って行きます。その一方で、西側では北からの寒気が南の暖気の下に潜り込みます。

 等圧線から風向きを読む方法については「等圧線から風向きを読む」をどうぞ。


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4 コメント

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素晴らしい! (七転び八起き)
2013-11-09 05:55:17
どうも初めまして。
七転び八起きでようやく予報士になったものです。
計算気象予報士さんのブログを愛読しており、気象に限らず社会のこと、学会のことなど共感する所多々あります。
この気象の解説については素晴らしいの一言です。ここまでていねいにわかりやすく説明しているのも希有かと思います。ご苦労様です。
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ありがとうございます。 (qq_otenki_s)
2013-11-09 20:43:59
七転び八起きさん

 この度は、貴重なコメントを頂き、誠にありがとうございます。また、日頃からの御愛読を頂き、とても嬉しく思います。

 私自身、気象とは異なる専門分野の出身という事もあり、気象予報士試験に合格するまではもちろん、合格してからも、知識や概念の理解には苦労しました。今でも何かと苦労と試行錯誤の連続です。

 これまでの歩みを振り返った時、自分が学び、積み重ねてきた知識や理論を整理すると共に、多くに皆様にとって分かりやすく説明したいと思いました。そんなこともあり、気が向いた時に(?)このような解説記事を書いています。

 将来はこのような記事を基に、公開セミナーや講座のようなものを催したり、解説書を世に送り出せたら・・・とも思います。
返信する
今後も活躍下さい (七転び八起き)
2013-11-09 23:19:31
どうもご苦労様です、七転び八起きです。
私の本業は研究機関に勤務する研究者で、気象とは密接な関係はありますがそのものをテーマにしている訳ではありません。しかし気象を学ぶことで、色々視野が広がり、本業にも良い影響が出ていると感じています。
私も昨年・一昨年と予報士試験と平行して全国学会で発表をしたり座長などを務めましたが、仕事と学会、予報士試験の3つを両立するのに苦労しました。よって、本来業務をこなしながら学問的なことを手がけられている計算予報士さんの姿勢に大いに共感するところです。
今年になってからは私の方は自分で研究を手がけるよりも、後進の指導モードにシフトしつつあります。また科学などをみんなにわかりやすく解説する”コミュニケーター”ということにも関心が出てきた所です。
これから冬ですね~! 風邪を引かないように。
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ありがとうございます。 (qq_otenki_s)
2013-11-10 19:18:08
再びのコメントを頂き、ありがとうございます。

 実際に気象業務の世界に身を投じるようになって、
 (1)地域の気象特性やそのメカニズムを解明し、理解を深める事
 (2)それらの知見を始め、気象情報に関する知識を分かりやすく解説する事
 の重要性を感じました。(1)は学問や研究、(2)は事業に分類されると思われます。

 気象技術の高度な知識を学び続けることも必要ですが、その一方で、それまでの自分の知識を整理し、しっかりと土台を固めなくておかないとクライアントを始めとする相手に説明する事が出来ません。

 唯でさえ、コミュニケーションの幅が(専門家の間での)閉鎖的かつ狭くなりがちでありながら、広い範囲のユーザーにとって(正確さも然ることながら)「わかりやすさ」も求められるので、気象に限らず様々な専門知識を「如何にわかりやすく解説するか」については、日夜、試行錯誤の連続です。

 多くの皆様にお役に立てるような解説を目指して行きたいと思います。今後とも宜しくお願い致します。
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