先日の記事「前線形成と鉛直循環の励起」では、下層の水平面上における前線の形成や消滅に伴って、鉛直面上にも二次循環が現れる、と言う話題に触れました。
そこで、今回は上空の水平風の強弱に伴って生じる鉛直循環の話題に触れたいと思います。上空のジェット気流の中で、特に風速の大きい領域を「ジェットストリーク」と言います。
次の図では、ある等圧面上のジェット気流の様子を模式的に表してみました。左側が西(風上)、右側が東(風下)に相当します。
等圧面高度は下(南)から上(北)に掛けて低下します。ジェット気流を流れる空気塊に着目すると、北向きに気圧傾度力、南向きにコリオリ力が働いており、この両者が釣り合った地衡風となっています。
(1)の段階では等高度線の間隔は広く、(2)の段階に進むとその間隔が狭くなっています。その後、(3)まで進むと再び間隔は広がる場を想定します。
(1)→(2)の変化では、等高度線の間隔が狭まるので、気圧傾度力は強まります。これに伴い、コリオリ力も順応して強まります。両者の釣り合いの結果、地衡風の速度も大きくなります。
(2)→(3)の変化では、等高度線の間隔が広がるので、気圧傾度力は弱まります。これに伴い、コリオリ力も順応して弱まります。両者の釣り合いの結果、地衡風の速度も小さくなります。
このように、風上から風下にかけて等高度線の間隔が変化するのに伴い、気圧傾度力も変化します。ただし、気圧傾度力の変化とコリオリ力の順応は常に同時に進むわけではありません。
(1)→(2)に変化する途中の(1)’では気圧傾度力が強まるのに対し、コリオリ力の順応が遅れています。地衡風のバランスが崩れ、気圧傾度力の方が強い状態となり、空気塊は北側に引き寄せられようとします。つまり、従来の地衡風(西風成分)の他に、新たに非地衡風成分(南風成分)が励起されます。
(2)→(3)に変化する途中の(2)’では気圧傾度力が弱まるのに対し、コリオリ力の順応が遅れています。地衡風のバランスが崩れ、コリオリ力の方が強い状態となり、空気塊は南側に引き寄せられようとします。つまり、従来の地衡風(西風成分)の他に、新たに非地衡風成分(北風成分)が励起されます。
このように、コリオリ力の順応の遅れに伴って、(過渡的に)地衡風のバランスが崩れ、新たに非地衡風成分が励起されます。さらに、この非地衡風成分によって二次的な鉛直循環が作り出されます。
風上側(1)’の循環は直接循環であり「フロントリシス」に対応します。(1)→(2)の変化は等高度線の間隔を狭める(フロントジェネシスに相当する)ものであるため、この状態を解消する(等高度線の間隔を広げる)方向に働きかける循環が現れます。
風上側(2)’の循環は間接循環であり「フロントジェネシス」に対応します。(2)→(3)の変化は等高度線の間隔を広げる(フロントリシスに相当する)ものであるため、この状態を対抗する(等高度線の間隔を狭める)方向に働きかける循環が現れます。
この結果、上層では次のような収束域と発散域を生じます。
この図のように、下層からの上昇流が上層に達すると発散域となる一方、上層で収束すると下降流に転じます。
そこで、今回は上空の水平風の強弱に伴って生じる鉛直循環の話題に触れたいと思います。上空のジェット気流の中で、特に風速の大きい領域を「ジェットストリーク」と言います。
次の図では、ある等圧面上のジェット気流の様子を模式的に表してみました。左側が西(風上)、右側が東(風下)に相当します。
等圧面高度は下(南)から上(北)に掛けて低下します。ジェット気流を流れる空気塊に着目すると、北向きに気圧傾度力、南向きにコリオリ力が働いており、この両者が釣り合った地衡風となっています。
(1)の段階では等高度線の間隔は広く、(2)の段階に進むとその間隔が狭くなっています。その後、(3)まで進むと再び間隔は広がる場を想定します。
(1)→(2)の変化では、等高度線の間隔が狭まるので、気圧傾度力は強まります。これに伴い、コリオリ力も順応して強まります。両者の釣り合いの結果、地衡風の速度も大きくなります。
(2)→(3)の変化では、等高度線の間隔が広がるので、気圧傾度力は弱まります。これに伴い、コリオリ力も順応して弱まります。両者の釣り合いの結果、地衡風の速度も小さくなります。
このように、風上から風下にかけて等高度線の間隔が変化するのに伴い、気圧傾度力も変化します。ただし、気圧傾度力の変化とコリオリ力の順応は常に同時に進むわけではありません。
(1)→(2)に変化する途中の(1)’では気圧傾度力が強まるのに対し、コリオリ力の順応が遅れています。地衡風のバランスが崩れ、気圧傾度力の方が強い状態となり、空気塊は北側に引き寄せられようとします。つまり、従来の地衡風(西風成分)の他に、新たに非地衡風成分(南風成分)が励起されます。
(2)→(3)に変化する途中の(2)’では気圧傾度力が弱まるのに対し、コリオリ力の順応が遅れています。地衡風のバランスが崩れ、コリオリ力の方が強い状態となり、空気塊は南側に引き寄せられようとします。つまり、従来の地衡風(西風成分)の他に、新たに非地衡風成分(北風成分)が励起されます。
このように、コリオリ力の順応の遅れに伴って、(過渡的に)地衡風のバランスが崩れ、新たに非地衡風成分が励起されます。さらに、この非地衡風成分によって二次的な鉛直循環が作り出されます。
風上側(1)’の循環は直接循環であり「フロントリシス」に対応します。(1)→(2)の変化は等高度線の間隔を狭める(フロントジェネシスに相当する)ものであるため、この状態を解消する(等高度線の間隔を広げる)方向に働きかける循環が現れます。
風上側(2)’の循環は間接循環であり「フロントジェネシス」に対応します。(2)→(3)の変化は等高度線の間隔を広げる(フロントリシスに相当する)ものであるため、この状態を対抗する(等高度線の間隔を狭める)方向に働きかける循環が現れます。
この結果、上層では次のような収束域と発散域を生じます。
この図のように、下層からの上昇流が上層に達すると発散域となる一方、上層で収束すると下降流に転じます。