計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

2023年01月の降雪傾向(山形県)

2023年02月03日 | 山形県の局地気象
 2023年が幕を開けて、早くも1か月が過ぎました。この年の1月は変則的な冬となりました。中旬には「冬の中休み」とも言うべき、穏やかな春の陽気も感じられました。しかし、その後は「10年に1度の最強寒波」の襲来により、多大な影響を受けました。

 そこで、この1月の特徴を地上・高層の気象観測データを用いて振り返ってみます。

 輪島・秋田の高層気象観測を基に、「850hPa面の気温ヒストグラム(1月)」を作成し「平年(1991~2020年)」と「本年(2023年)」を比較しました。両地点とも今年の出現気温は、平年に比べ低温側に偏る傾向が見られました。特に秋田の「-21~-18℃」、輪島の「-18~-15℃」は先日の「最強寒波」の影響です。


第1図・850hPa面の気温ヒストグラム(1月)


 続いて、輪島・秋田の高層気象観測を基に「850hPa面の風配図(1月)」を作成し「平年(1991~2020年)」と「本年(2023年)」を比較しました。秋田では「西北西」の風、輪島では「西風」の比率が平年よりも多い傾向が見られます。確かに、予報業務に従事していると「日本海に現れる収束帯が局地的な降雪につながることが多い」ように感じました。


第2図・850hPa面の風配図(1月)


 山形県の今年1月の積算降雪量を平年値と比較しました。積算値の「極大域の位置」は平年と同様でしたが、積算値の「大きさ」を見ると、平年より50cm程度少ない傾向が見られました。


第3図・1月の積算降雪量


 山形県の1月の旬別降雪量を平年と2023年で比較しました。本年1月の上旬は海岸平野部で少雪傾向となる一方、内陸部や山間部では概ね平年と同程度でした。中旬は「冬の中休み」とも言うべき「少雪傾向」でしたが、下旬になると「最強寒波」の襲来に伴い「多雪傾向」に転じた地域も見られます。



第4図・1月の旬別降雪量(旬毎・地点別)
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「10年に一度」の「最強寒波」 | トップ | 寒波襲来の背景にあるもの »

山形県の局地気象」カテゴリの最新記事