計算気象予報士の「知のテーパ」

旧名の「こんなの解けるかーっ!?」から改名しました。

いよいよ冬の到来です。

2020年12月17日 | 山形県の局地気象
 先の週末からいきなり本格的な寒波に見舞われました。本格的な雪の季節の到来です。この季節には2種類の特徴的な気圧配置があります。それは西高東低型(いわゆる冬型の気圧配置)と南岸低気圧型です。前者は日本海側の降雪、後者は太平洋側の降雪に関係しています。


 西高東低型では日本海側中心の降雪、南岸低気圧型では太平洋側中心の降雪となる傾向があります。また上空の強い寒気の南下で大雪となる背景には、ラニーニャ現象や負の北極振動等の影響があります。他にも日本海寒帯気団収束帯や黒潮大蛇行等の影響が加わる事もあるのです。

 冬型の気圧配置の場合は、日本海上の等圧線に注目します。冬の季節風の向きは、高気圧側から低気圧側に向かって等圧線を斜め右に横切る方向として推定されます。


 等圧線の走向が縦に並んでいるか、横に傾いているか、それとも「く」の字状に折れ曲っているかによって、雪の降りやすい場所も変わります。

 さて、私の故郷でもある山形県は複雑な地形を持っています。この地形により様々な地域気象のバリエーションを見せてくれます。冬の降雪は生活する上では悩みの種ですが、研究対象としては興味深いものです。


 山形県に住んでいた頃、冬の季節風と降雪パターンの間に関係があると気付き、研究を重ねました。北西季節風が弱いと降雪域は海側に偏り、内陸側の広範囲で放射冷却が進みます(I字型)。一方、季節風が強まると降雪域は内陸側へ広がるため、内陸側の低温域は狭まります(C字型)。


 北西季節風が弱いと、西置賜では季節風の影響を直接受けるのに対し、米沢は夜間冷気湖の形成や地形起因の南風が支配的となります。降雪は弱いものの、放射冷却や水道管の凍結に注意が必要です。一方、北西季節風が強まると米沢でも風が強まり、積雪の増加や吹雪での交通の影響に注意が必要となります。

 ついでに、(一社)日本気象予報士会の会報「てんきすと」第108号(2017年9月)には、私の山形県に関する研究成果が見開き2ページに渡って掲載されています。


 記事の中では、三次元熱流体数値モデルとニューロ・モデルによる取組みを紹介し、一連の解析結果を基に「山形県内の冬の気象特性」を考察しています。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 数理モデルによる予測と予報 | トップ | 師走の強い寒波 »

山形県の局地気象」カテゴリの最新記事