◎プラーナ(気)の見方
(2011-01-10)
ハタ・ヨーガの経典に出ている気は、10種であり、うち五種が主要五気であるが、それは、中国の五気に照応するのだろうか。
まずハタ・ヨーガの五気。
1.プラーナ気:心臓に位置。鼻頭から心臓までの間にとどまり、息を運ぶ
2.アパーナ気:会陰に位置。臍から足の裏までの間にとどまり、体の汚れを取り去る。
3.サマーナ気:へそに位置。心臓から臍までの間にとどまり、食物を消化、吸収する。
4.ウダーナ気:のどに位置。鼻頭から頭までの間にとどまり、上昇する。
5.ヴィアーナ気:全身に行き渡っている。
(参考:続ヨーガ根本経典/佐保田鶴治/平河出版社)
中国の五気(黄帝内経)
1.木(陰中の陽) :風:(肝・胆) (生)
2.火(陽中の陽) :暑:(心・小腸) (長)
3.土(陰中の至陰):湿:(脾・胃) (化)
4.金(陽中の陰) :燥:(肺・大腸) (収)
5.水(陰中の陰) :寒:(腎臓・膀胱)(蔵)
対応部位でいえば、心臓のプラーナ気が「暑」にあたり、会陰のアパーナ気が「寒」で、ヴィアーナ気が「湿」、上昇のシンボルであるウダーナ気は、陽属性だろうから「風」、サマーナ気は、「燥」というところか。
但し、五化(五つの機能みたいな)の配当は、生長化収蔵となっており、ハタ・ヨーガの五気が肉体機能で説明しているのに対し、動植物の活動の時間的な推移とおぼしき説明となっているので、きちんと一対一対応とは言えないように思う。
いずれにせよ、同じ気を扱って、かつエーテル体レベルの体系を説明しようとするものだから、インドだろうが中国だろうが、もともとの説明にあまり乖離があるはずもない。
むしろ中国では、四位一体に1を加えた五行理論に忠実なあまり、わかりにくくしたというきらいがあるのかもしれない。
インドには、主要5種以外にナーガ気というのがあり、これは、おくびの気であるが、またナーガ気は、意識を生ずるとされる。
近代西欧文明は、意識偏重型のアポロン型文明。だから現代社会で、きちんと適応して生きれば生きるほど、意識を鮮明に持たねばならないが、そのことは結局胃にストレスをかけることになり、おくびのナーガ気を酷使する生活形態になっているのだろうと思う。意識的に生きるのは、胃に負担がかかるのだ。