◎神機発動
有る婦人が合気道開祖植芝盛平の姿を見ていたところ、彼の身体から無数の線が出ていて、それはタワシのようであり、それに触れると相手は一瞬にすっとんだという。
このようなハリネズミ様の武人の姿と言えば、国宝信貴山縁起絵巻にある剣の護法童子である。病気の醍醐天皇に乞われ、クンダリーニ・ヨーギ命蓮が呪法でこの病を平癒させるのだが、その証拠に遣わしたのが剣の護法童子。
剣の護法童子に前から立ち会うならば、くるくる回転する法輪ではじき飛ばされ、後ろから攻めかかれば、ハリネズミのような鎧形の剣で寄せ付けない。
剣の護法童子が人間として登場したならば、植芝盛平のように相手が彼の身体に触れる前にすでに投げられていた武技を持つ武道家がふさわしい。
植芝盛平が綾部の本宮山で修行中、毎日ある時間が来ると彼は神がかりの状態(神機発動)になったという。これ以後、剣の切っ先が来る前に小豆大の白い玉が見えるようになり、剣も銃弾もよけることができるようになった。人間技でなく、神技である。